【感想】太平洋 その深層で起こっていること

蒲生俊敬 / ブルーバックス
(18件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • mario3

    mario3

    何一つ知識のないジャンルは、ブルーバックスや岩波ジュニア新書で知ることが多い。
    なんといっても分かりやすいので重宝している。

    海ものは好きだけど、詳しいことは全然知らない世界。
    今回もこの本で楽しく入門の扉を叩いてきた。

    深海の研究は難しく、特に世界でも指折りの最深の場所、日本海溝周辺の研究はようやくはじまったと言えるらしい。
    圧力との戦い、遠き場所での孤立無援のチャレンジャーという点でも、同じ時期に進められてきた、宇宙の研究と似ているとのこと。

    読んでいて面白かったのは、空気中と水中では、音と光のあり方が反対だという点。
    水中では、光はすぐに失われてしまうが、音は空気中より遥かに速く、遠くまで伝えることのできる存在だそう。

    太平洋の深い海中に、日本の古代天皇たちの名が連なっていることは今回初めて知った。
    その命名に関わった米国人の博士の意図が今もよくわかっていないこと、その人物が本書では他に二箇所にわたって名を出すほど、海の研究で多彩な功績を残した人物であることなど、はじめて知りました。
    潜水の技術の発展、海の深さをどう測るか、測量は古来即ち軍事利用されうるジャンルなのでそこが太平洋戦争を経てどう動いてきたか、を読み取るのは面白かった。
    マイクロプラスチックがここまで深海にも影響を及ぼしていること、これからの環境問題について考える際の大きな事実となりそう。
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    投稿日:2024.01.15

  • あるふぁ

    あるふぁ

    このレビューはネタバレを含みます

    最初は内容難しいなぁと少しモチベーションが低下していたが、読み進めるうちに太平洋の環境への影響力の大きさを痛感した。また太平洋、特に深海の神秘さが伝わってきてどんどん読み進めた。

    第一部
    「太平洋とはどのような海か」
    熱水プルームの存在が、地球に豊富な金属資源をもたらしてくれていると分かり、海底火山の重要性を再認識した。
    地球温暖化により深海の温度もここ100年で1度以上上昇した。さらに二酸化炭素の増加が海水の酸性化に繋がったり、難溶性プラスチックが海底に大量に蓄積していたりすることを知り、早急に環境問題に対処する必要があると感じた。

    第二部
    「聳え立つ海底の山々」
    海底火山の観測の話を通じて、自然の力の凄まじさを感じた。

    第三部
    「超深海の科学」
    深海にはまだまだ未知の世界が広がっていて、奥の深い世界であること、超深海探査の難しさを、複数の冒険者の功績や取り組みを学ぶことで少しは理解できた気がする。

    2023/12/31読了

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    投稿日:2023.12.31

  • whitepapersort

    whitepapersort

    読ませる書き方でよかった
    深海探索の歴史は興味深かった
    深度の記録が徐々に塗り替えられていく
    1万メートルの深海へ行ったのは3人しかいないのは意外
    海底火山の噴火で観測隊が全滅した事件は読みごたえがあった続きを読む

    投稿日:2019.09.07

  • arafunesan

    arafunesan

    このレビューはネタバレを含みます

    2019/09/04:読了
     面白かった。
     海水、海底、海の山「海嶺と島弧海底火山」、海溝に臨んだ人達、どれも新鮮だった。
     この人の本、わかりやすい。

    【もくじ】

    第1部 太平洋とはどのような海か
     第1章 「柔らかい」太平洋――広大な海を満たす水の話
     第2章 「堅い」太平洋――その海底はどうなっているのか

    第2部 聳え立つ海底の山々
     第3章 ハワイ沖に潜む謎の海底火山
     第4章 威風堂々! 天皇海山群の謎
     第5章 島弧海底火山が噴火するとき――それは突然、火を噴く

    第3部 超深海の科学――「地球最後のフロンティア」に挑む
     第6章超深海に挑んだ冒険者たち――1万メートル超の海底を目指して
     第7章 躍進する超深海の科学 

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    投稿日:2019.09.04

  • mishuranman

    mishuranman

    このレビューはネタバレを含みます

    海水の動きから超深海まで、そして超深海微生物のPCBsで終わる。目まぐるしいが、それも含めて研究史から最新の話まで、大きく、深い。

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    投稿日:2019.06.09

  • korisu3964

    korisu3964

    読んでいてワクワクするような稀有な科学読み物。ほとんど一気読みでした。

    宇宙飛行士が550人を数える時代に1万メートル超の海溝底に到達したのは3人だけ。太平洋の平均深度は4188メートルもあり、最も深いマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵は1万920メートルもあります。
    著者の蒲生俊敬さんは研究船や潜水艦によるフィールド調査をこよなく愛し、乗船観測は1740日に及び深海潜水船での潜航経験を15回持つ海洋研究者。本書を読んでいると蒲生さんの海洋愛がひしひしと感じられます。
    「世界最大の広さを誇」る「太平洋を、三次元の視点で眺めながら、ぼく自身の調査経験や知識の及ぶかぎりにおいて、これは重要と思われる話題を選んで紹介」した本書を、著者は「たいへん楽しく」書いたとエピローグで述べています。楽しく書かれた本は、読んでも楽しいということがわかりました。

    本書は3部構成になっています。
    まずは水の部分である「柔らかい」面と、底面を構成する「堅い」両面から、太平洋を学術的に考察。ここでは北半球の気温を守ってくれている「ブロッカーのコンベアベルト」や海溝型地震を引き起こす「プレートテクトニクス」がやさしく説明されています。びっくりしたのはチャレンジャー海淵で採取されたエビから「マイクロプラスチック」に由来すると思われる高濃度のPCBsが検出されたこと。人工汚染物質がなぜ1万メートルの深さに到達したのかが説かれ、「マイクロプラスチック」の恐ろしさを理解できます。
    第2部、第3部では、海山と海溝の話。天皇の名前を冠した海山と、誰がどうして海山に天皇の名前を付けたのかという興味深いエピソードや、超深海への挑戦、超深海に棲む生物の話が語られます。

    最後に、著者は「世界で最も多くの超深海水をEEZ内に保有するわが国」の太平洋に対する責務を強調します。そして、ここまで読んで太平洋の偉大さ、面白さ、そして危うさを理解した読者は、著者の訴えに共鳴できるはずです。1963年9月に書かれた「ブルーバックス発刊のことば」に非常に近い、面白い科学読み物。是非お読みくださいの★★★★★。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.09

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