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野口悠紀雄 / 講談社現代新書 (8件のレビュー)
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総合評価:
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おおつか
このレビューはネタバレを含みます
為替と世界主要国の経済の関係についてよく学ぶことができた。 日本の衰退の原因が製造業への固執によりIT産業へ移行できなかったことだという話は前から聞いていたが、具体的な企業名やデータが示されることで根本的な理解を得ることができた。 日本の産業はつい最近まで「良いものを高く売る」ことで多額の貿易黒字を出していたというイメージだが、 製品のコモディティ化=“良いもの”を生み出しづらくなっている グローバル化による新興国の市場成長=所得水準の低い国の市場では、“良いもの”の需要が弱い この2点が産業衰退の原因だと思った。 自分は高度サービス業務に従事しているが、業務のマニュアルは全て外資の後追いになっていて、日本の後れを強く感じている。 グローバル化で成長国と成熟国の差がすごいスピードで縮まっていく今、ここが正念場だと思う。
投稿日:2024.02.11
あああら 1646886番目の読書家
世界経済入門 (講談社現代新書) 新書 – 2018/8/22 日本は新しい条件に合った新しい産業構造に転換しなければならない 2018年10月18日記述 野口悠紀雄氏による著作。 日本経済入門の姉妹本になる。 2018年8月20日第1刷発行。 現在、特に1990年代以降の世界がいかに変化してのか。 日本人が学校で習った事の先を解説している。 本書のコアメッセージは日本は新しい条件に合った新しい産業構造に転換しなければならないことである。 印象に残った点を列挙してみると われわれは、地図を見るときに、無意識に国土の広さを見ています。 そして国土面積が広い国は大国であると考えています。 しかし、国土が広くても、使えない土地が多ければ無意味です。 使える土地にどれだけの人間が住み、どのような経済活動を行っているかが重要なのです。 1990年代以降、日本でアメリカやイギリスにおけるような産業構造の転換が進んでいないのは、日本が、内向きの閉ざされた社会になったからです。 企業も内部者だけで共同体を組織して生き延びようとします。 海外からの経営の拒否は、日本が衰退した大きな原因の1つです。 海外企業による日本企業の買収を、外国に支配されることだとしてネガティブに捉えるのでなく、日本を活性化するための手がかりだとしてポジティブに捉えることが必要です。 日本もイギリスも海に囲まれた国ですが、イギリスが世界に向かって開かれた「海洋国家」であるのに対して、日本は海によって外国から遮断された「島国」であると言わざるをえません。 リカードの比較生産費の理論 どの国も相対的な優位性を持つ産業に特化して、その生産物を輸出するのが良い。 そして、相対的な優位性を持たない生産物は他国から輸入すべきだ 実際には輸入品に対して高い関税をかけたり、あるいは直接的な輸入規制をするといったことが行われてきました。 しかし、「そうするよりは、貿易を自由にして、その後に適切な再配分を行うほうがよい」というのが、比較生産費の理論が提言するところです。 比較優位原則を無視して食料自給率にこだわるのは、合理性を欠く、愚かな考えです。 つまり、自給率は低いほうがよいのです。 日本で食料を国内生産するのは割高です。 だから、外国から輸入すれば安くなります。 日本人は高い食料を買わされて、その分だけ貧しくなっているのです。 輸出制限や売り惜しみが起きると言う人もいます。しかし、そんなことをすれば真っ先に困るのは供給者です。 アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの農業生産者は、ビジネスとして農業生産を行っています。 国が輸出禁止命令を出せば、農業生産者からの強い反発は必至でしょう。 日本にとって必要なのは、TPPやFTAのような閉鎖的クラブを結成してブロック化を進めることでなく、国内既得権益集団の抵抗を排して、人材と資本の面で日本を世界に向かって開くことです。 それは農業と人材・資本面での開国をはかるということです。 これはFTAやTPPで行うようなことではなく、日本が自ら行うべきことです。 これは国内の政治問題ですから、日本が一方的に自由化すればよいのです。 農業が開国できないのは、農業や農家のためでなく、それを票田とする政治家がいるからです。 そして、農林水産省や農協があるからです。 2017年のビックマック価格ランキングでは、ビックマックの価格は、アメリカで5.30ドル、日本で380.00円でした。 これらの価格が同じでなければならないとすると5.30ドル=380円 つまり、1ドル=71.7円となります。 2018年1月の実際のレート112円と比較すると、36%も円安ということになります。 1つの商品だけ取り上げて「適切な」為替レートといえないことはもちろんです。 しかし、現在の為替レートがかなり円安に偏ったものであることは、確認できます。
投稿日:2021.12.17
かーくん
世界経済のことについて基礎的な知識が欲しいと思い読んでみた。FTAのような経済協定は自由貿易とは逆のブロック経済であるという考えは、反対に習っていたのでほんとはどっちなんだろうかと疑問に思った。日本が今は昔と違って技術力が弱まって国際的な地位も落ちていることはよくわかった。香港やシンガポールが技術力と経済力に強いことは意外だった。中国の成長や新興国の成長と日本企業の進出は別の話など、いろんな話が地域別に書いてあり、知らなかった考え方も多かったので勉強に、なった。
投稿日:2021.08.13
eisaku0330
世界レベルの知識が必要な時代 日本経済理解のためにも 日本の地位低下と、中国の地位向上が対照をなす 製造業・輸出の役割交替 日本は新たな戦略ポジションを見つけられないまま漂流している 戦略不在 菅総理…のもと、デジタルとグリーンが新たな戦略構想だが 掘り下げが必要 1.GDP 1人当たり 貿易 対外純資産 成長のテコは 2.貿易 日本の対外資産1,000兆円 米国双子の大赤字 3.リカード「比較生産費の理論」世界的水平分業の時代→コロナで変わるか? 4.実効為替レート 5.アメリカ経済 高賃金の成長 低賃金労働は移民 製造業からITへ 6.中国 投資主導40%日本20% ルイスの転換点 BAT 7.アジア Leap Frog 8.EU 金融は統一 財政は独自 ターゲット2 ギリシアの救済永遠?続きを読む
投稿日:2020.12.20
ioio2323
総括/レビュー 貿易に関して中心に述べられた本 章別に振り返り 第1章 世界の中の日本 ・GDPが世界を見る指標であるということ、日本の成長率に対して他国はどうなっているかを比較する(世界のGD…Pに対して日本はいくら占めているか6.6%) ・貿易額も見る。日本は対外純資産はストック(世界一位の約349兆円)としてかなりあるが、現在フローの部分が弱い。昔は製造業が強かったため、ストックがあるが、現在は製造業以外の技術進歩が起こっていない+人口減により、日本の力が落ちている。 第2章 貿易などを通じる国と国とのつながり ・貿易収支や経常収支などの、国際収支についての章。アメリカが経常赤字でも生き残れている理由は、単純にドルが強いから。革新的な産業力が、海外からの資本を惹きつけている。 この章で述べられていることの本質があまりつかめなかった。原因としては自分が国際収支に関して知識が全然なかったため。この部分を再度突き詰める。 ・原油価格が下がると、日本の貿易収支が上がるという構造を初めて知った。この部分に関して今後深堀。 第3章 自由貿易はなぜ望ましいか? ・比較生産費説を用いた、自由貿易の正当性を論じた章。現在活発であるETFやFTA、TTPなどは、域内では上手くいくものの、域外(特に中国)とのやり取りには今後障壁が生まれてしまうため、問題がある。特にTTPに関しては、加入による恩恵は年間2000億円程度しかなく、政治的な対中政策としての意味合いが強い。 ・食料自給率についても興味深いものがあった。現在日本で取り出されている食料自給率は、政治的な意思が介入した、操作された数字が消費者に出回っている。 →理由としては、農民優遇の政策や税金補助に対して批判をかわすため。票田にしている政治家がいる。農林水産省や農協への忖度。 ・日本の製造メーカーの垂直統合の問題点を指摘。特にEVになった後、エンジン部品などの複雑な構造は不要になってくるため、世界の様々な部品メーカーから購入して組み立てる水平構造でも事足りるようになる。選択と集中が大事であり、優位性があるところに任せるのが効率的だが、日本企業はまだそのあたりの重要性を理解していない。 第4章 為替レートと国際課税の仕組み ・実効為替レートやビックマック指数を用いた、現在の円は理論値より円安になっているという説明。特に90年代中ごろより購買力が低下し半分ほどになっている。 ・配当に関する税処理の仕方、タックスヘイブン対策をしているものの、現地政府が口座情報を完全に差し出すことの難しさもあり、税金逃れを完全に取り締まるのは難しい。また、付加価値税は輸出側はゼロ税率、輸入側が他の財・サービスと同一の税率を課す。各国の税率の違い、消費者の立場からみたら、国内で生産された財と輸入された財の際がなくなるため、これは国際的に標準となっている。 第5章 新しい産業で成長するアメリカ ・アメリカでは、製造業よりも金融保険、専門的ビジネスサービスの付加価値が増えているが、トランプ大統領が法人税を引き下げたり、米中貿易摩擦を引き起こして製造業をアメリカに回帰させようとしている。現在複雑なサプライチェーンをすでに敷いている中で、簡単にアメリカに製造業が戻るとは考え難いし、全額に対して関税がかかると、製品に対して4.6%ほど価格が転嫁されることを考えると、消費者や企業に対する影響は大きい。 アメリカが世界をけん引する、という政治的な意図のもとで、中国に対して肉弾戦を仕掛けているように感じる。 ・アメリカでは2027年には、フリーランス(他からも収入を得ているという意)が労働者の50%を超えるという試算がされている。自分もどこから収入を得られるか、その強みと力はどこから得られるか考えながら勉強していきたい。 ・アメリカは、トランプを除けば脱製造業、工業化を果たし、成長している。日本も製造業からの脱却(=比較生産費説に則って)をしなければ、どんどん取り残されてしまう。 第6章 中国経済はどこまで成長するか 第7章 アジアNIESとASEANの経済 第8章 ヨーロッパ経済とEU続きを読む
投稿日:2020.03.22
mangatoclassic
日本という国の先行きにはいろいろ暗い話が沢山だ。一方で、メディアなどには「日本すごい」論もいっぱい。一体どっちがほんとなの!? これを経済という面から読み解いていくと、国際社会における日本の立ち位置が客観的に見えてくる。 GDPや対外純資産でいうと、世界の中で依然プレゼンスを占めているが、フィンテックなどでは大きく出遅れ、技術力は伸びていない。 経済的観点から言うと自由貿易や移民は、日本のように人口減少が見込まれる成熟社会では望ましいが、保護主義的・閉鎖的な傾向がある。 購買力平価でみた為替レートも長引くデフレでどんどん下がっており、貧しくなっている。 だいたい予想通りの健康診断書。 一方本書の後半は、成長を遂げるアメリカと中国の経済について、そのパワーの源泉はどこにあるかを分析し、その流れで東南アジアやEUにまで話がつながっていく。 ここら辺から見えてくるのは、フィンテックなどの新しい産業へと構造転換しているところは強く、伝統的な製造業に固執しているところは次第に取り残されているということだろう。ドイツは後者だし、日本もそうかもしれない。 でも、本書の説明はあくまで経済に絞った話で、実際の世界は政治で動いている部分も相当あるから、もちろんこれで全てが説明しきれているわけではない。自由貿易と一口に言ったって、商習慣とか労働に対する考え方の違いといった数字に還元できない部分が様々な問題を引き起こしたりするわけである。 この本から見えてくるのは、世界は経済の理屈では説明しきれない不透明さをますます抱え込みつつある、という逆説ではないだろうか。昨今、地政学がしばしば人々の口の端に上るのは、政治的なリスクをどう織り込んでいくのかに関心が集まっていることの表れなのだろう。 野口先生の説明は、難しい概念も相変わらずわかりやすい。
投稿日:2019.11.09
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