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小林由美 / 新潮社 (1件のレビュー)
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総合評価:
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yasz
今から10年ほど前の2006年11月に転職をしたのですが、その頃に、この本の著者である小林女史が「超・格差社会アメリカの真実」という本を出されたようです。それから10年、アメリカにおける格差はさらに広…まった感がありますが、その現状と未来を、米国に在住しているアナリストとしてみた見地から書かれたのがこの本です。 かつて1%の富裕層が富をかなり所有するとされていましたが、今ではさらにその1割の0.1%の超富裕層が、富を収奪する社会になってきたようです。この歪みが、昨年(2016)の米国大統領でのトランプ氏の当選にも繋がっているのでしょうか。 アメリカは日本や欧州と比べて、また中国やインド・ロシアと比較しても、安定的に成長すると予測されていますが、果たしてどうなるのでしょうか。この本はアメリカの将来を警告を確かにしていますが、強くなった部分はしっかりと記述されています、製造業や世界をまたにかける米国企業がその一例でしょうか。 普段は本業で忙しい様子で、執筆にあてる時間が少ないのでしょうか、アマゾンで調べてもほかに書かれている本が無いようですが、続編をぜひ読んでみたいと思いました。 以下は気になったポイントです。 ・エジプトのファラオ、トルコのスルタン、中国の皇帝、ロシアのツァー等、権力と富が少数に集中すれば、残る人々の生活や自由、基本的人権すら脅かされる、この変化を経験しているのがアメリカ(p3) ・米国上位1%の最低所得額は、42万ドル、82万世帯、10%は、12万ドル、825万世帯(p21) ・インフレを差し引いた実質所得は、24年間(1991-2014)で、高卒で横ばい、大卒10%しか上昇していないが、大学教育コストは、年5%上昇している(p44) ・政府保証付きの学生ローンは、銀行ローンとは異なり、自己破産しても債務から消えず、返済義務を一生背負う(p49) ・住宅のサブプライムローンが、学生ローンに代替された。政府保証があるので、学生ローンは証券化して市場で売買可能(p51) ・自動運転の限定的実用化は加速するだろう、フォード・ウーバー・グーグルで協力、2021年までに無人運転車を発売するとしている、ピッツバーグでは自動運転タクシーサービス実験を開始、乗車料金を無料にして実験参加を呼びかけている(p57) ・製造業の復活と言われる動きとして注目したいのは、石油製品の製造が増えている、シェールガス・オイルの発掘が急増しているため(p60) ・自動車、住宅(セキュリティや家電機器の制御)、ウェアラブル(身体、衣服につける)、製造の自動化、がIOTを推進するエンジンとなる(p62) ・3Dプリンターのポイントは、1)素材を積み上げてつくるので素材の無駄を省ける、2)複雑な形状を直接作れる、アッセンブリー工程が削減可能、3)すぐ製造できるので在庫不要(p64) ・建設会社は3Dプリンターで家を建てる実験が始まっている、既に多くの3Dプリンタ工場が稼働している(p65) ・組み立て工程で生じた不具合を、部品を製造している前工程の工場に自動的に通知し、そこでも問題解決できる仕組みに拡張するのが、インダストリー4.0である(p70) ・海外へ移転した段階で、すでに自動化しやすい形になっている、作業を移転したのは自動化へ向けての一歩であった(p72) ・ビックデータは、1)パワフルコンピュータ(並列処理得意とするグラフィックス用半導体)、2)インターネット、3)価格ゼロに近い記録装置、が揃うことで始まった(p108) ・データ資産は「モノ」資産とは根本的に違うことからこそ、根本的に違う扱いが必要になるが、社会も政治もその点をどう扱うべきか、議論にもなっていない(p115) ・データ分析も因果関係は不要、相関関係をみつければ良くなる、人間に必要なのは、相関関係を見つけさせる数式を作り、その分析結果から数式を改良したり、新しい数式を作ることだけ(p132) ・ウーバーは2009年に20代の創業者がアイデアを考え出して2011年に営業を開始した、創業から6年程度(2017当時)、タクシーを必要とする乗客と、白タク運転手として登録している人をマッチングするWeb経由の配車サービス、これがシェアリングエコノミー、オンデマンドエコノミー、自分が持っている空いた時間や使っていない部屋を、それを使い人とシェアする(p145) ・ブロックチェーンの導入により、コストの低い制度を作ることが可能、電話線が敷設されていない地域で、地上電話を飛び越して最初から携帯電話が普及、携帯電話での決済が真っ先に普及するのと同じ(p158) ・工業は商業の生産性が上がってくると、生産財は土地から生産設備・エネルギー源となった。情報革命においては、情報という生産財が登場した。その新しい生産財を誰が手に入れて、情報処理コストの低下から生じる恩恵は誰が受けるかが今が大事なこと(p162) ・製造業の利益が大きく増えた理由の一つは、作業プロセスからコストの高い労働力を取り除くことに最も成功したから(p174) ・拡張現実は、現実の空間にコンピュータで作り出した情報や画像・音などをホログラムで重ね合わせるもの。ある人物を見ると、その人に関する情報が空間に浮かび上がる。ポケモンGOもその一つ(p178) ・シェールガスは、深海底油田と異なり、開発に必要な設備投資額は3桁小さく、開発期間も短く、少額ずつの分割投資もできるので、産出量が一気に増えた(p185) ・石油は世界的な価格コントロールの仕組みができているので、アメリカのシェールガス産出企業も、新たなガス田開発はできないけれども既に生産しているガス田は生産を続けられるという、ロシア政府が破たんもしないという価格帯に戻ってしまった(p186) ・GEは大統領になるレーガンをPR担当に雇って、GEは企業は善良な市民というイメージを広めて、一般市民を味方にして労働組合を懐柔する戦略にでた、レーガンは所属政党を民主党から共和党に変え、GEのバックアップで政治家へ転身して66年にカリフォルニア知事になった、レーガンとGEの30年に及ぶ協働はレーガン政権で結実した。ジャックウェルチの選択と集中は、独占禁止法の骨抜きによって実効を上げた(p192) ・カリフォルニア州は常に民主党、テキサス州は常に共和党が勝ち、反対票も含む州の全票を獲得するので、3位以下の党から立候補しても当選は不可能となり、2大政党政治が続くことになる(p197) ・労働者の味方だったはずの民主党が、クリントン政権のころから都市の進歩派富裕層を資金源に取り込み、彼らの利益を代表するようになった(p197) ・トランプ大学は提訴されていた、当選直後に25億円の損害賠償で若いした、まだ75件の訴訟が待ち構えている(p200) ・トランプの選挙公約である所得税減税(実現可能なもの)で対象となるのは、所得税全体の3割を払っているトップ1%の高所得者層と、利益の大きい大企業のみ、大半の労働者が払っている「給与税」についての減税の話はない(p201) ・スタンダードオイルは分割により34に分かれたが、株主が分割前と同じであったので、相互に競争するインセンティブは無かった。本格的な競争が出てきたのは、灯油に代わってガソリンが主要用途となり、テキサスで大油田が発掘されて、石油産業が大きく変貌したとき(p229) ・まとめてクラウド、マイノート人生設計というソフトを設計した(p226、238) 2017年4月23日作成続きを読む
投稿日:2017.04.22
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