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北野勇作 / 河出文庫 (38件のレビュー)
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総合評価:
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kemukemu
カメはなぜか好まれている。 助けたカメは竜宮城へ連れて行ってくれるし。 ガメラは子どもの味方だし。 ウサギにだってかけっこで勝つし。 「亀は意外と速く泳ぐ」って題名の映画まであるし(意外って言われる…のも心外)。 「この宇宙のすべては、たったふたつの要素に分けることができる。すなわち、甲羅の内と外」 分かるような分からないような……ま、いいか。 かめくんはかめくんであって、カメではないのだから……,続きを読む
投稿日:2024.02.08
imemuy
のほほんとしたストーリーながら、変な生物との戦い、メカであるかめくんの特殊さなど想像の余地の大きい、SFのようなファンタジーのような物語でした。
投稿日:2022.08.19
おさるのかごや
時代設定はかなり先の未来のはずなんですが、現代のほんわかした日常的なお話でした。こういう作品好きです。?
投稿日:2021.11.18
isutabi
【感想】 なんか、そこはかとなくかなしい。読んでる最中からずっとかなしかった。淡々とかめくんの日常が描かれ、いい感じなんやけどいつかこの暮らしは失われるんやろなと思えたからかな。 ずっと読もうと思って…たけどなかなか読む機会がなかったのをようやく読んだ。 【一行目】 不動産屋がかめくんに斡旋してくれたのは、クラゲ荘という木造二階建てのアパート。玄関の土間には大きな靴箱があって、そこで履き物を脱いでスリッパと履き替える。 【内容】 カメ型ヒューマノイド、かめくんの市井の暮らしと人間たちとの心暖まる交流を淡々と綴る。 ▼かめくんについての簡単なメモ 【嘘】かめくんたちは嘘をつけないように作られている。 【ウナギ電気】かめくんの部屋に前の住人が残していったクーラーのようなものを引き取っていった。電気屋の従業員は体格も顔も皆よく似ていて区別がつかない。 【映画】かめくんの好きな映画は「魔女の宅急便」「ガメラ2/レギオン襲来」「肉弾」など 【カシワギハル】クラゲ荘の管理人。お婆さん。こすっからいがかめくんの入居を認めてくれた人でもある。アニメ世代。 【仮想現実】現実の方を仮想現実に合わせるということも発生してくる。 【カメ・イン】機械の助けで甲羅の中に入り込むこと。甲羅の中を動き回ることが可能になるらしい。 【亀手紙/カメール】普段はなるべく互いの行動圏に近づかないようにしているが複数が必要になったらメールが来て集まる。 【かめくん】人工的に作られた亀に似た存在の一体。ポケモンのゼニガメに似てなくもない。前の会社が吸収合併されクビになり独身寮を追い出されたのでクラゲ荘に入居した。フォークリフトも使えるので新しい仕事にありつくことができた。 【亀記憶/カメモリー】甲羅内部に記憶が積み重なってゆき大きく成長していく。甲羅さえ無事なら甲羅運搬用四肢が修復不可能なほど破損(死)しても載せ換えが可能? 【キヅガワ】進歩の塔の博物館に新しい展示物をつけたり開発したりする会社の社員。 【キノネ主任】前の会社の上司。かめくんに好意的でなにかと気にかけてくれた。本物の亀についてもレプリカメについても詳しい。 【クーラー】かめくんの部屋には前の住人が残していったクーラーがあるが勝手に作動して困らせる。ウナギ電気による撤去作業ではまるで戦場のような大騒ぎになりひょこひょこ歩くクーラー相手になんとか勝利をもぎ取った。 【クラゲ荘】木造二階建てのアパート。共同トイレ、四畳半ほどの中庭がある。かめくんは一階の一番奥の部屋に住むことになった。 【クレーン】護岸工事に使われている世界一高いギネスにも載っているクレーンなのだが二年前の台風で倒れそのままになっていたが再立ち上げ式が行われる。 【甲羅】かめくんの甲羅のキールは三本でクサガメと同じ。シリコンとセラミックでできている甲羅のてっぺんの六角形に情報が納められているらしい。記憶量と比例して大きくなってゆく。カメは甲羅とともに世界を動かしているのと同義だ。非破壊検査によって甲羅のなかの地図を作成するというのがミワコさんの研究テーマでかめくんは協力している。ミワコさんが一句「思い出の数と重さや冬甲羅」p.39 【甲羅ブーム】女子高生の間で甲羅を着ることが流行っている。音楽ユニット「ジュピター」によるそうだがもっと大きな組織による甲羅人間テストの可能性も? 【ゴム区画】進歩の塔の博物館にある木星と同じ環境を保たれている区画で木星からの採取物がハンナマで保管されている。ときどき暴れだす。 【ザリガニイ】新しい仕事での敵? コンテナの中に時折入っている。元々は映画会社が木星を舞台にした映画を作ろうとしてタンパク質工学を用い作った怪物。違法な自己増殖機能を付けたせいで繁殖した。 【仕事】だいたい何をやってるのかわからないものだ。 【自転車】かめくんは自転車に乗っているところを想像できなかった。おそらく規格が異なるからだろう。 【四天王寺】西門の手前が超空間ゲートになっていて路面電車で木星までいくことができる。 【シナリオ】毎回の戦闘にはシナリオがある。その中には戦闘後が描かれていることもあり、銭湯で湯船に浸かりつつ「戦闘のあとの銭湯がいちばんだよなあ」と言うようなものもある。 【シノノメ】かめくんの新しい就職先の女。 【シバマさん】中州中央図書館の館長さん。五十八歳。機械全般が苦手でスキャナを割ってしまう。子供の頃機械に噛まれたのかもしれない。 【ジュピター】音楽ユニット。甲羅ブームをつくったらしい。メンバーはリーダーのKM、フクスケ、ミッキー、ヨーコ。「LOVE――カメ人間になりたくて」で紅白にも出場。 【寿命】カメの寿命は一万年くらいあるそうだが買って数日後にその一万年を迎えるものも多い。 【食事】少なくともパンの耳と、キャベツと、イカのフライと、リンゴ(特に紅玉)と、セロリと、カニカマボコ、スルメ、蕎麦、ネギは食べられ、エスプレッソコーヒーは飲めるるようだ。酒も呑めるようだが記憶が飛んでしまう。 【ショルダーバッグ】職場のシャワー室を片付けたときたくさん出てきた「祝・万国博覧会開催」と描かれた青いショルダーバッグをかめくんは愛用している。 【人工知能】かめくんの人工知能はわからないことはとりあえず保留してそのまま先に進むことが可能。 【進歩の塔】万国博覧会場にあるシンボルタワー。ヒトの形を模している。内部は博物館になっている。かめくんの働く倉庫と地下でつながっており、メンテナンスも倉庫の者が行いチェックを博物館の者が行う。博物館の名称は元は「民族博物館」だったが今は「戦争博物館」。 【戦争】終ったとされているが今も続いているというウワサも。かめくんはおそらく戦闘用なのではないかと思われる。戦争に関する情報にプロテクトがかかっているようだ。 【タヌキ饅頭】火星銘菓。低重力下で練り合わされた生地とこしあんの具合がなんともいいらしくもらえると無条件で嬉しい。 【卵】本物の亀もレプリカメも卵から生まれるらしい。 【ツミキ】かめくんの新しい就職先の男。 【手】かめくんの手は多機能、高機能だ。 【展示資料管理用人工知能】進歩の塔の博物館の展示物を展示の指示を出す。人工知能自身展示物のひとつで未だ戦争を続けているつもりらしい。それゆえ展示はとても分かりにくい。 【電磁ハタキ】進歩の塔の博物館のメンテナンスに使う静電気を利用したよく埃が取れるハタキ。 【冬眠】レプリカメにもその機能はあるはずなのだがかめくんはやり方を忘れてしまった。 【図書館】かめくんは図書館が好きだ。 【中州中央図書館】かめくんの出合った煉瓦色の図書館。ミワコさんは「セントラル」と呼ぶ。館長のシバマさん、司書のヒガさん、ミギタさん、そしてアルバイトのミワコさんの四人が働いている。 【中庭】クラゲ荘にある四畳半ほどの中庭でかめくんは杭のようなものの断面に目玉のようなものがある存在を見かけた。 【匂い】かめくんは図書館の匂いが好きらしいので嗅覚があるようだ。 【猫】ミワコさんは外周十キロの島の猫地図を作るための調査のアルバイトでひと夏ずっと猫のお尻を追いかけていたことがあった。そういう猫に詳しい人によるとイエネコはわりと保守的なのでかめくんがクラゲ荘で見かけたチンチラは何らかの理由があって最近散歩コースを変えたと思われた。かめくんはその猫と交流を持てるようになった。 【はみ出しスクール水着】ツミキさんが貸してくれたビデオ。 【万国博覧会場】古ぼけた未来と戦争の跡が残っている。 【パンの耳】かめくんはパンの耳が好物。歯ごたえがあってよい。「やっぱりパンは、耳だよね」p.16。ぼくもそう思う。耳を切り落としてるサンドウィッチなんてもったいないなあというか美味しさの七割を切り落としてると思う。 【ヒガさんとミギタさん】中州中央図書館の司書。双子かと思われるくらいよく似ているが血縁ではなく長く一緒に働いているうちにお互いがお互いをコピーしあって似てきたのだとか。二人とも四十代だと思われる。人間かどうかよくわからない。 【ぷしゅぷしゅ】かめくんは興奮するとぷしゅぷしゅ鼻を鳴らす。リンゴが目の前にあるときとか、銭湯を見つけたときとか。 【フレーム】かめくんの内部にある情報はそのときの必要に応じフレームを組み換え使えるようにする。 【マンドリン】かめくんがずっと欲しかった楽器。カメに似ている。 【ミワコ】中州中央図書館で週四日アルバイトしている。河出文庫の表紙カバー絵は彼女だろう。卒論のテーマはカメ。ミワコさんと一緒にいると夕焼けを見たときのような感覚を覚えるかめくん。ミワコさんを見ているとなぜか嬉しいかめくん。 【機械亀/メカメ】かめくんの新しい職場の亀型フォークリフト。汎用カメ型作業機械というのが正式名称。カメのメカで通称メカメ。タンパク質系マシンで常に腹を空かしており戦闘に勝利した後ザリガニイにむしゃぶりついたりする。 【ヌートリア】図書館近くの川にいるらしい。人を化かしたりするらしい。 【夕焼け】かめくんも夕焼けを見るとあやふやで頼りない感じ、ミワコさんいわく寂しさとか悲しさを感じる。 【模造亀/レブリカメ】かめくんたち本当の亀でない存在をそう呼ぶこともある。何体稼働中なのか不明。木星近辺で多くが壊れ、多くが冬眠中のもよう。 【六角形】世界は入れ子になった六角形の集まりでできているとかめくんは推論する。 【路面電車】通天閣のふもと、かつてのルナパークあたりが始発駅で木星まで行くことができる。元々は進歩の塔の博物館展示物に対するかめくんのアイデアだったらしい。とあるアナウンサーは誤変換による事故でいまだ通天閣と木星の間のどこかにいる。 【ワープロ】前の職場で使っていたがキノネ主任がくれた。どうやらかめくんはこれを使って会話したり書いたりしていると思われる。青いショルダーバッグにぴったり収まる。さまざまな実用文例が収まっていてかめくんの一部となっている。 【笑い】かめくんは練習しているのだがうまくできない。続きを読む
投稿日:2021.02.14
橘
かめくんはなんとなく大きいと思っていましたが、今回改めて(?)「ミワコさんより少し背が低い」ということに気付きました。かわいい。 これはかめくんの周りでわいわいしてしまうのもわかるな。。 かめくんの世…界はいつもちょっと寂しくて良いです。河川敷や夕暮れや図書館の描写も好きです。 かめくんの好きな映画「肉弾」観てみたいです。 冬眠するかめくんからは、このかめくんの記憶が削除されてしまうのかな。儚い。続きを読む
投稿日:2020.08.01
NORIS
2019.8.11市立図書館(→2019.9.13購入) 北野勇作かめ(レプリカメ)三部作(?)、最初の作品。火星とか木星、それに戦争という焦臭い話題が出てくる、まだ人間がいる世界なのが、続く『どろん…ころんど』『カメリ』とはちょっと違う雰囲気だが、現実と虚構の境界があるようなないような、地に足がついているはずがふと気がつくと空に浮かんでいるようなふしぎさはかわらない。 本能のようにフォークリフトを操ることができるかめくんが、それまで雇われていた会社を解雇され社員寮を出て、アパートを借りてあらたな職を得て暮らした数ヶ月。基本的にあらかじめプログラムされたことやあたえられたシナリオ通りにしか動けないながらも、大家さんや会社のひと、図書館のひと(とくにバイトのミワコさん)やノラネコ(?)と交流しながら機械なりにあれこれ推論するかめくんはカメリ同樣どこかけなげで応援したくなる。それだけに最終章がせつなくて、描かれないその先が気がかりでたまらない。かめくんはかめくんとしてひょうひょうとあり続けるのかも知れないけれど… わたしはSFはほとんど読まないのだが、どうやら北野勇作はSF作家らしく、この作品も日本SF大賞を受賞しているらしく、自分の中の「SF」観がちょっと変わった気がする。こういう哲学的というか思考実験のような作品もSFというなら、案外すきな世界かもしれない。 そしてこの世界にはすでにかめくんのような存在が生まれつつあるような気がしてならない。続きを読む
投稿日:2019.08.13
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