【感想】他人の不幸を願う人

片田珠美 / 中公新書ラクレ
(3件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • yz127

    yz127

    わかる、と思った。でも他人の不幸を願う人への処方箋が一般的でイマイチ説得力がない。

    ・近くの人(同級生、同僚、同性)に羨望を抱きやすい
    →たしかに遠くの人(芸能人や全く交流がなかった同級生)の幸せなどどうでもいいし何も感じないが、仲のいい友人や見下していた同性の幸せ報告の方が胸をざわつかせる、特に自分が上手くいってない時。あの人より努力してるのに的な。

    ・羨望の最大の要因は自己愛。自己愛が強い人をほど自分自身を過大評価しがちなので自分が劣っている、負けたということを受け入れられない。

    ・羨望は他人が持っているのに自分は持っていないという欠乏感から生み出される。自分がそれを失った、奪われたと感じる。

    ☆他人の不幸を願う人の特徴
    ・とにかく不公平を嘆く
    ←不公平に抗議してもどうにもならない。結局はそういうものだとあきらめて受け入れるしかない。自分の努力が足りないのに全部不公平のせいにしない。

    ・ネガティブ思考で物事をとらえる
    ←羨望が強いと悲観的になりやすい。

    ・口を開けば批判ばかり
    ・同情という仮面を付けて

    ・過剰すぎるほどの好奇心
    うらやましい相手について根掘り葉掘り聞かずにはいられない

    ・不幸の種を見つけて安堵する
    ・羨望の対象の前ではそっけない態度

    ☆他人の不幸を願う欲望が強くなった理由
    ・一億総比較社会(ネットの普及)
    ・画一的な価値観にとらわれる(特に学歴と収入)
    ・「讃嘆のこもった羨望」「抑うつ的羨望」「敵意のこもった羨望」の中で「敵意のこもった羨望」が強くなってきている
    ・格差固定で不公平感がますますつのる

    ・肥大した自己愛と自己評価(少子化)
    学校でも「やればできる」「だれでも無限の可能性がある」という幻想を吹き込んでいる。「なりたい自分」の自己愛的イメージだけが際限なくふくらんでいき、消費社会の「あきらめない」「夢はかなう」といったコピーのせいもあって「あきらめ・断念」を受け入れられない人が増える。
    特にこうありたいという自己愛的イメージの人ほど「自分はこんなものじゃない」と自分を過大評価しがちなのであきらめきれない。当然「己に対する過大評価から生じる」怒りも抱きやすくなる。

    →似たようなこと、内田樹も言ってたな。

    ・自己責任の重圧(結婚など)

    ☆処方箋
    ・羨望のマイナス面を知る
    ・隣の芝生はそんなに青くない、何事もマイナス面がある

    自分に自信がなく何らかのコンプレックスを抱いている人ほど付随する価値を高めることによって自分の付加価値を高めようとする。夫の勤務先、年収、子どもの通う学校、ブランド物のバッグなど。

    「夫はイケメンでもないし平社員で給料も高くない、ローンはあるし子供を私立に通わせられない。海外旅行にも行けない」という専業主婦。じゃあお前が働けよ、と言いたくなる。

    ・あなたがうらやんでいるあの人は、あなたから何かを取ったわけではない
    ・羨望している暇はない

    ☆フレネミー
    Friend とEnemy。表面上ではいかにも友達のようにふるまいながら、裏では敵のように行動する。
    「セックス・アンド・ザ・シティ」シーズン③エピソード16
    映画「ミーン・ガールズ」
    向田邦子「胡桃の部屋」『隣の女』所収
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    投稿日:2020.01.28

  • kasaji

    kasaji

    この方面を研究している人にとっては当たり前なのかもしれないが、現在起こっている事例を基に分析しているのは素人には分かりよい。

    投稿日:2015.10.27

  • henahena1

    henahena1

     「口を開けば批判ばかり」、「悪いニュースが大好物」、「過剰すぎる好奇心」といった特徴を持つ「他人の不幸を願う人」とは、具体的にどういう人を言うのか、なぜこういう人は増えているのか、自分がこういう人にならないためにどういう風に物事を考えればよいか、といったことについて述べた本。
     とにかく、読むと暗い気持ちになる本。「17世紀のフランスの名門貴族」である「ラ・ロシェフコー」という人のことばが何度も引用されるが、その中でも「親友が逆境に陥ったとき、我々はきまって、不愉快でないなにかをそこに見出す」(p.64)という言葉が最も印象に残った。(ドイツの詩人、シラーの「友情は喜びを二倍にし、悲しみを半分にする」(p.68)ということばとあまりにも対照的。)人間が本来的に持つ羨望に由来する、人間の「イヤらしい」部分をこれでもかというくらいに突き付けられる本。
     こういう攻撃的な羨望にまみれた人の特徴がいくつか挙げられているが、その「見分け方」の1つとして「何かの計画を話してみるといい。すぐさま、それを実現するにはどれほど多くの困難が伴うかを延々と話すだろう」(p.88)とあり、しかも「かなり強い『感染力』がある」(同)ということらしく、この辺は納得できてしまう。本当にイヤだなあ、と思いながら、おれはどの程度なんだ、と自問自答してみることになり、「さすがにここまでではないから、良かった~、世の中こんな酷い人いるんだ~、やだやだ」と思って安心してしまう時点で、既に自分よりも酷い人を見て安心する心理、というのが働いていると思うと、やっぱり嫌気がさしてしまう。おれも社会人になってから特にネガティブ思考で愚痴も多くて、周りの人を不快にさせたことも多い気がする。最近になって、ある種の諦めというか、年下の人であってもすごい有能で、この人おれよりも周囲に必要とされている人なんだなと多々思っても、おれはおれだし仕方ないか、とか、それ以外の部分で勝っているところもあるから大丈夫、とか自分で慰めて防衛規制できているように思う。それでもやっぱりネガティブ思考で人を羨むという気持ちは押さえられない時もあって、じゃあどうすればいいんだという「処方箋」を読んでみるが、そんなに説得力があるものでもなく、とにかく羨望がいかに厄介なものであるかということだけが強調されている。せいぜい、色んな事例に出てくるイヤな人を反面教師にすることくらいが本当の処方箋じゃないのか、と思えてくる。とにかく、「フレネミー」(「表面上はいかにも友達のようにふるまいながら、裏では敵のように行動する人」(p.182))にはならないようにしよう。(15/10/01)
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    投稿日:2015.10.01

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