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井上靖 / 新潮文庫 (25件のレビュー)
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海と青硝子
平安時代、つまり貴族の時代が、完全に破壊されて鎌倉時代、つまり武士の時代に移ってゆくその時に治天の君として生き抜いた後白河院。4人が語る院の姿は、激流の中で動かない巨岩のような印象を受けました。
投稿日:2023.05.05
hemulen
いつかの大河ドラマの清盛と、今やってる鎌倉殿の13人を必死で思い出しながら読んでる。難しい、観ててよかった。 権威権力は持っているけれど実力(軍事力)を持たない朝廷=後白河法皇が、 軍事力を持つ者らと…どのように戦ったか。その時の大勢力に対し、対抗勢力に力をもたせ戦わせることで牽制し、戦わせてやがて滅びていくのを見ている。不気味で冷静で、軍事力はないが権威あるものの戦い方。 後白河法皇、第一部〜第三部、言うことバラバラやん!って思ってたけど、第四部で、実は一目的は貫してるってことがわかった。続きを読む
投稿日:2022.06.12
gaaco
『しろばんば』『敦煌』『額田女王』『孔子』。 これまでに読んできた井上靖作品は、これが全て。 後白河を取り上げたものがあったのか、と驚きもあって手にした。 ちょうど先日、アンソロジーで『梁塵秘抄』に触…れたばかりだったことだし。 源平争乱のあの時代、白河、後鳥羽、崇徳、後白河あたりの天皇家の確執に、摂関家、武家の覇権争いが重なる。 その構図の複雑さに、どうしてもこの時代を扱ったものを避けて通りたくなる。 だから、四つの章の語り手が、平信範、建礼門院中納言(健御前)、吉田経房、九条兼実と移り変わっていくこの小説はの結構は、表現効果の見事さはわかっても、少しつらい。 近づいて来る者たちに心を許さず、自分に離反する時期が来たら切り捨てる。 こうして一人生き延びたのが後白河という帝王だった、というのが、この作品での後白河像だ。 乱世の中、語ることと書き残すことで身を支えてきた貴族社会の人々の無力感を思ってしまった。続きを読む
投稿日:2020.11.15
yasq di Fontana
平安末期から鎌倉初期、つまり院政期から武士の台頭、保元・平治の乱、平家全盛と没落から鎌倉幕府の時代、年代で言えば12世紀の日本の中央権力の有様を復習できる、またある程度わかっていないと読んでもなんのこ…とかわからない。 院政の始まりの部分はいまいちわからない―中公文庫の「日本の歴史 6:武士の誕生」でわかった。道長から次の次の代ですでに院政の萌芽があったのだ。驕れる者は久しからず! 院政の権力自体にパワー的な無理があったから武士が台頭したのかな・・・たぶん。院政の守護者としての北面の武士。ということは道長の時代の武力はいかに存在していたのか、というテーマもまたある。 しかし、こうして歴史ものを読んでいくと江戸250年の平和の実現は相当にすごいことだ。250年も続く事自体が驚くべき。それは逆説的に「なぜ、それ以前の時代は平和が長続きしないのか」という問いを発することになる。鎌倉幕府も室町幕府も。 一番単純に言えば「辺境がある間は平和にはならない」という大胆なまとめかな。島国なので、まあ主な島だけに限ってでいいのだが、日本という国土の中に辺境がある間は、辺境の支配と中央の支配が別であるわけで、支配力と支配力の衝突は常に起こり平和にはならない。秀吉・家康によって辺境は消滅した。 世界に敷衍すれば・・・地続きに辺境があれば平和にはならないのだろう。山とか川とか自然の障壁があればそうでもないかもしれない。資本主義もまた同じか あるいは逆か続きを読む
投稿日:2018.10.13
fumi19850511
後半流し読み。 なんだか平安時代の話は苦手である。 とっつきにくいというか。 まぁ、知識がないだけなのであろう。
投稿日:2018.01.22
zoologic
時代は平安末期から鎌倉幕府の始まるくらいまで、公家の衰退が進む中、公家のトップとして武家の勃興と渡り合う後白河院の生涯を四人の語り手が読み解く。日本史でも、あるいは時代劇時代小説でも影の薄い時代かなと…思うが、藤原摂関家、平清盛、木曽義仲、源義経、源頼朝など顔ぶれは豪華。もっと掘り下げたい欲求と、南北朝時代の本も読みたくなった。続きを読む
投稿日:2016.06.11
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