【感想】シェイクスピア全集 尺には尺を

ウィリアム・シェイクスピア, 小田島雄志 / 白水Uブックス
(5件のレビュー)

総合評価:

平均 2.8
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ブクログレビュー

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  • chiakihirano

    chiakihirano

    10月に新国立劇場で行なわれるシェイクスピア、ダークコメディ交互上演の予習として読みました。

    英文科だったのでシェイクスピアは『オセロー』、『冬物語』なんかを授業で読んでおり、わりと好きだったりします。実際読んでみるとどれも話の展開がおもしろいんですよね。

    台詞に関しては原文は韻をふんでいたり比喩も多いのでなかなか難しい。これは役者さんが流暢に語ってくれてこそ耳にスッと入ってくるものなのでしょう。

    原文はほとんど古文のようなもので現代英語ともだいぶ違う。小田島雄志さんの訳は掛け言葉や韻をダジャレのように訳していて、元の意味よりも読んだときに楽しめるようにだいぶ意訳していると思われます。

    新国立劇場ではこの小田島訳が原作として使われるようですが、さすがにこのままだと舞台の台詞にはならないので(文字として読んで理解できても耳で聴くと理解しにくい台詞が結構ある)そこはまたいろいろ変更されるのかな。

    『尺には尺を』、『終わりよければすべてよし』、どちらもシェイクスピアの問題作と言われるだけあって結末の展開が強引すぎるし、複雑な性格と言ってしまえば聞こえはいいけど捉えどころが難しい登場人物だったり、話自体は難解ではないけれど演出によってだいぶ印象が変わってきそうな物語です。

    岡本健一が『尺には尺を』で演じるアンジェロは自分の正義と欲望の狭間で揺れる人物、というか婚約者を捨てておいて若い娘を口説く一方で婚前交渉をした男を死刑にしようとする為政者。健ちゃんがこれをどう演じるのか楽しみです。

    男闘呼組ファンからは「王子」とか「フランソワ」と呼ばれる健一さんが『終わりよければすべてよし』で死にかけたフランス王を演じるという配役もまた興味深い。

    二作とも中嶋朋子とソニンが演じる2人の女性との間で「ベッド・トリック」があり、私が観劇予定の日には学校団体が入るそうなんですが(学校で劇を見させられたりするあれですね)、「処女」とか「貞潔」なんて言葉が飛びかうこの芝居を今どきの学生たちがどう見るのか、こちらもちょっとドキドキします。
    (シェイクスピア時代の倫理観、けっこうひどい。)



    以下、引用。

    58
    兄は死ぬ覚悟ができていません。料理用に鳥を絞めるにも季節というものがあります。地上の私たちのたべものさえそれだけ気をくばるのに、天に捧げるいのちをぞんざいにあつかっていいでしょうか?

    61
    私たちは自分を尺度に他人を判断はできません

    88
    おれだって死ぬと決まれば、死の暗闇を花嫁のように迎え、この両腕に抱きしめるだろう。

    198
    『尺には尺を』という題名の典拠となった聖書の文句
    「あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう」
    『マタイによる福音書』7章二節



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    投稿日:2023.09.26

  • lhpemberton

    lhpemberton

    このレビューはネタバレを含みます

    ベッドトリックと変装という2つの仕掛けが楽しませてくれる劇。公爵が真の姿を現すシーンは、歌舞伎のハレを思わせるので日本人受けもよさそうだが、日本ではほとんど上演されていないようだ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.03.21

  • shocoron

    shocoron

    水戸黄門とか遠山の金さん的な感じというの理解した…主要キャラクターみんな考え方ねじまがってる(^ω^)ルーシオが好きだなぁw公爵とのやりとり笑ったw

    投稿日:2013.01.12

  • watakats

    watakats

    機転の利く医者の娘が爵位ある若者の妻となる物語、男はみなまぬけ役。 原題:Measure for Measure

    投稿日:2011.07.16

  • Cymbeline

    Cymbeline

    この劇の題名の由来はマタイ7章2節。

    「あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。」

    Judge not.のあたりだと記憶する。

    なお、さらに根本的にこの劇の本質的由来はエゼキエル書33章1節と言われる。興味のある方は調べてみることを薦める。

    客観的事実はともかく主観的にいわせてもらえば、
    この劇は何かがおかしいと思う。

    秩序のネジが一本だけ抜けているイメージ。
    違和感。欠陥を持つ傑作といった感じ。
    さすが問題劇は一筋縄ではいかない。
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    投稿日:2007.04.29

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