【感想】愛情セミナー

遠藤周作 / 集英社文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
3
4
2
0
0

ブクログレビュー

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  • milk

    milk

    このレビューはネタバレを含みます

    遠藤周作の選集「人生には何ひとつ無駄なものはない」の中で度々この本の内容が引用されていて、とても惹かれる内容だったのでこの本を先に読んでしまいました。

    読んでいる最中から、出会えてよかったと思えるほどの珠玉の言葉の数々。

    45年も前に書かれた本なので、現代の価値観とは少し相容れないような表現もありましたが
    クスッと笑えるような話も交えつつ、真摯に男女の愛の本質に近づいていく。

    解説で述べられていた
    「追いつめることは、たぶん子どものすることなのだ」という言葉のように、著者は追いつめることはせず
    人間を見つめている。


    「君の孤独は孤独のためにあるのではなく、孤独から抜け出て信頼のためにあるのだ。」

    こんなことを言ってくれる人がいるのか...
    この言葉に出会えてよかった。


    「不完全だからこそ意味がある」という逆説的な表現に、希望を感じました。

    この本に出会えてよかった。
    これからも大事にしていきたい本です。

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    投稿日:2021.12.12

  • 蓮子

    蓮子

    狐狸庵先生こと遠藤周作による恋愛論。ジイドの「狭き門」やスタンダールの「恋愛論」、モーリヤックの「テレーズ・デスケルウ」、ポール・ブールジェ「弟子」、ラファイエット夫人の「クレーヴの奥方」なども引用して恋愛心理を読み解きながら、ユーモアたっぷりに書かれています。部分的に屁理屈に感じたり、男尊女卑の考えもなくはないですが、それも書かれた時代によるところが大きいのかなと思いました。情熱は愛ではなく、愛することは相手の手を離さない努力をすること。人を愛することは本当はもっと淡々とした、静かな営みなのだなと感じました。「弟子」や「クレーヴの奥方」は読んでみたい。解説は江國香織さん。続きを読む

    投稿日:2021.10.14

  • ますたぁ

    ますたぁ

    遠藤周作先生による恋愛というか男女のあれやこれやに関するエッセイ

    前半はまぁ大体納得できる
    「情熱」と「愛」の違いとは?
    「信じる」とはどういうことか?
    「嫉妬」とはなにか?

    愛とは信じる事
    「裏切られた」「女は信用できない」という言葉は、まず「信じる」ありきということ


    心に残った部分

    ---------------
    現代において女とたくさん寝ることは易しい。
    青春の論理としてむつかしい行為を選ばねばならぬ。むつかしい行為とはなにか。それはこの地上でたった一人の女を選び、その女を愛するように努力 することである。ひとりの女を選んだならば、それを生涯、棄てぬことである。これはやさしいことではない。やさしいことではないから、青春にいる諸君は やってみるべきではないか。
    ---------------


    今ならなおさらこの難しさがわかる
    生涯を共にする伴侶を選ぶという行為
    そしてそれを実践する難しさ


    ---------------
    情熱が冷めたその後に、どれだけ相手を慈しむことができるか
    ---------------

    この言葉も身にしみてよくわかる
    今読んだからこそ感じるものですね



    ただ、後半の男女の違いに関しては現在の価値観とはかけ離れているのではなかろうか?

    とは言え、夫婦喧嘩のルールというか、子供を巻き添えにしないとかってところはそうだよね
    両親の醜い争いを嫌悪する子になるか、「いい加減にやめなよ」と仲裁の言葉を投げかける子になるかも両親の喧嘩の内容次第



    あと、解説が江國香織だったのが思いがけない幸運だったな
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    投稿日:2020.02.27

  • たきゃい

    たきゃい

    このレビューはネタバレを含みます

    恋愛には陶酔が必要である。個人的なことを言えば、非陶酔型の男であるために、恋愛が苦手である。

    陶酔型の人はその熱がさめた後、「花のように見えたものが、たんなる枯枝にすぎなかった寂しさや恨めしさ」を感じる一方、

    非陶酔型の人も、あばたもエクボ的な結晶作用が無いがために、「枯枝はいつまでも枯枝なのだ」と思えるようなものなので、あわれである。

    など、考えさせられる話があった。

    情熱と愛は違うなどの正論も多く、少し時代を感じるところもあったが(子育てに対する男のあり方など)、素直で新鮮な気持ちで読めた。

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    投稿日:2017.08.23

  • あやこ

    あやこ

    このレビューはネタバレを含みます

     めっちゃ笑った。遠藤周作めっちゃお茶目やん。読者に「諸君」とか「奥さん」などと呼びかけたり、(反対する人は反駁してみい)なんて挑発したり、嫉妬への対処法が「⚪︎⚪︎⚪︎もウンコする」と歌ってみたまえ、やったり。かいらしなあと頬が緩む。
     「初手から甘やかしておくと、女はすぐつけあがると先輩が教えてくれたからだ。だから結婚して一カ月目から女房を張り飛ばすことにした。」とかむちゃくちゃやん。奥さんがなかなか強い女性で安心したわ。
     昭和の漢らしい価値観が随所に現れているけど、不思議と嫌な気分にはならない。愛と情熱は違うこと、結婚に結晶作用は必要ないこと、女が与えすぎることの危険、忍耐の末「愛」や「信じること」を知れること。むしろ、現代にも通ずる言葉が詰まった珠玉のエッセイだった。

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    投稿日:2017.01.05

  • gendern

    gendern

    遠藤先生の恋愛エッセイ本。実は遠藤先生はけっこう多くのこういう恋愛指南本を出しているのだ。印象的な部分として、こんな文がある。聖書の一節で、ある聖者がらい病患者を抱きしめ続けると、その患者から光が溢れ出したことに及んで、この患者こそ人生そのままだ、と喩えている。人生の忌々しさも抱きしめ続けると光り輝くのだと。続きを読む

    投稿日:2013.12.15

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