【感想】キス・キス

ロアルド・ダール, 開高健 / 単行本
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
4
11
2
1
0

ブクログレビュー

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  • kei1122

    kei1122

    このレビューはネタバレを含みます

    11篇の「奇妙な味」の作品集。

    『あなたに似た人』と比べると意外と粗が目立つ作品集かも。

    個人的お気に入り
    「ウィリアムとメアリイ」
    夫が科学の勝利を得た代償に立場が逆転する夫婦。

    「天国への登り道」
    ささいな(でも精神的負担は甚大な)嫌がらせを続けたため夫婦関係にひびが入る、どころか…。

    「牧師のたのしみ」
    エセ牧師と農家の人たちとのやり取りが面白い。騙された側の善意が仇となるのはお約束。

    毎年GWにロアルド・ダールを読み、3冊目だからか話のオチが少し読めてしまうようになってきました(;'∀')

    今回は旧版で読みましたが翻訳が開高健さんでちょっとお得感あり。

    解説の阿刀田高さんが好みと挙げられた3作(「女主人」「天国への登り道」「牧師のたのしみ」)と私の好みの3作中2作が同じで勝手に親近感を覚えてしまいました(*´艸`*)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.05.06

  • のあん

    のあん

    ロアルド・ダールの作品は、小さい頃にチョコレート工場の秘密を読んだだけだったので、てっきり児童文学の人なのかなと思っていた。

    けど、阿刀田高さんの短編集で紹介されていたのを見てこのような短編を書く人だと知り、気になって図書館で借りた。

    印象に残ったのは、
    牧師のたのしみ
    ローヤルゼリー

    あたり。

    牧師の楽しみは、なんとなく展開が読めないわけではないけど、読んでてハラハラしてはやく結末を知りたいと久しぶりに思えた作品。

    ローヤルゼリーは、意外な展開でびっくり。
    最初は、赤ちゃんに蜂蜜あげちゃいけないからローヤルゼリーも同じことなのかな、的な解釈してたけど、ぜんぜん違った。面白い。

    豚については、こういう救いのない話っていうか、誰も幸せにならないのに何故か冷酷な感じはしなくて淡々としてるような…雰囲気が好き。


    あと、天国への登り道は、読み終わってタイトルを見たときにはっとさせられた。
    なるほどそういう意味か、と。
    タイトルの重要性を改めて理解。

    なるほど阿刀田高さんが好きっていうのはうなづけるなあと思えた。
    チョコレート工場の秘密も好きだけど、新たな魅力を発見できて面白かった。
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    投稿日:2020.03.03

  • tom555

    tom555

    2015/10/17読了。再読。
    やはり今年異色作家短編集全20冊を読むことにする。再チャレンジ。『牧師のたのしみ』『女主人』は展開にドキドキ。『豚』はやっぱり怖かった。人社会の中での学びというものの大切さを感じる。混沌とした中での学びがいかに大切かを感じる一冊。続きを読む

    投稿日:2019.01.28

  • るこ

    るこ

    短編集。
    よくわからなかったり、ゾクッとする怖さがあったり、皮肉な結末だったり。
    「牧師のたのしみ」が個人的ベスト。

    投稿日:2016.04.19

  • ぱとり

    ぱとり

    ロアルド・ダールの軽妙さは寝しなに聞く物語の愉しさのような感慨を呼び覚ます。そしてまた星新一のショートショート(そう言えばそんな言葉を最近はめっきり聞かなくなったけれど)を読んでいた頃の愉しさも呼び起こす。一つ読んでしまうと次から次へと幾つも幾つも読まずには居られなくなる愉しさでもある。中毒症状のようなものだ。そんな愉しさにふと耽りそうになる。子供の頃はそんな風にしてただなんとなく楽しんでいたっけな、と。けれど、今は少し警戒感のようなものも同時に頭をもたげる。その愉しさの根源は世の中に対して斜に構えずには居られないシニカルなものの見方と気付いているから。

    シニカルなものの見方は中毒のような効果がある。一旦そういう見方に染まってしまうと後戻りはできない。教師の言うこと聞かなくなって学ランの釦をわざと外すようになる。胴着と袴で竹刀を抱えて浜辺を走る青年を理解できなくなる。人間なんてららららららららと歌うことに酔いしれるようになる。果ては盗んだバイクで走り出す(こんな例えばかりだと歳が知れるが)。シニカルな視線は真面目な人のやることをすべからく揶揄する心が生み出す怪物だ。

    けれどロアルド・ダールの軽妙さが描き出すのは、シニカルさとは反対の(関係ない話だが、真逆という言葉がどうも好きになれないのは、それを連呼していた人がいまひとつ好きではなかったせいなんだろう)真っ直ぐに信じた道を突き進むような人ばかり。表の顔で追従笑いをしながら心の裏で舌を出すような人は余り出てこない。ドリフターズやコント55号のお笑いが人を馬鹿にした笑いではなかったように、ロアルド・ダールの可笑しみは真面目な人が真面目に働くことによってどうしようもなく引き起こされてしまう悲劇的な喜劇を、少しばかり大袈裟に描いたものなのだと理解する。笑いながら読み進め、ついでに自分自身も笑い飛ばしたくなってくる。そうすると、ぐるっと回って汗臭い胴着を着て面や胴や小手を着けて大声を出しまくっていた自分が、案外好きになる。

    でもちょっと待って、と、ロアルド・ダールは言うに違いない。その真面目さがどんな悲劇を生み出しかねないのか、少し考えて欲しい、と。例えば、原理主義は究極の真面目さだとも言えると思うが、最近は何かと批判の対象になりがちだ。けれども本当は主義主張が悪いのではなく、それを他者に強制することが問題な筈だ。ところが人は自分が是とするものを他人にとっても良いものであると考えがち。竹刀を振り回していた頃の自分もそうであったように。そこにロアルド・ダールの目線はあると思う。

    そんなことを考えていたら、谷川俊太郎の「真面目な顔つき」を思い出した。真面目なひとが真面目に歩いていたら悲しいし、泣いていたら可笑しいし、謝っていたら腹が立つ。けれど真面目な人は真面目に人を殺す、それは恐ろしい。やっぱり世の中多少シニカルな位でちょうどいいのかも知れないね。
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    投稿日:2015.09.01

  • kobecufs

    kobecufs

    第152回 世界は、真っ直ぐなものだけでは出来ていない。(2012.8.17)
     
    ロアルド・ダールの短編集です。
    ここにあるのはブラック・ユーモアと不条理の世界、でもそれだけではありません。

    スト3をあげようとしましたが選びきれませんでした。一つだけあげるなら「天国への登り道」。
    これもブラックですが何か見てきたようなリアルさがあるのです。

    原語で読んだらきっともっと面白いと思うのです。
    続きを読む

    投稿日:2015.07.29

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