【感想】葬送 第二部(下)

平野啓一郎 / 新潮社
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
17
9
3
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ブクログレビュー

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  • S660

    S660

    「人生は大きな不協和音だ」

    これを20代で書ききった作者に感銘を覚えました。
    こんな描き物をされている最中、作者はすごい濃密な空間にいたんだろうなと、想像すると畏怖を覚えました。

    人は死ぬ、という事をこの2部ではずっと突き付けられた時間になりました。

    死が身の回りから現代的に忌避されている中、こんな形でしか段々と人へ伝えられなくなってきている気もします。

    天才ショパンを通して人生の歩み方を、凡人ショパンを通して死ぬ過程とは何かを問いかける。

    読んでいる途中より、読み終えた後の今の方が、頭の中でメロディーを奏でているのがすごく不思議。

    思考から他の事が消え去るくらい、いい時間になりました。
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    投稿日:2024.01.18

  • minie

    minie

    ジョンジュサンドの気持ちには、あまり共感しなかった。最後くらいは会いに来て欲しかった。
    善良な個が集まって奏でられる不協和音。私たちを取り巻く現実世界をうまく表現しているなぁと思った。
    曖昧な物が重なって出来上がってる個と共同体。印象派の絵画のような文体を意識して書いたって、平野さんが天才すぎる。
    クラシック含め音楽の知識が不十分で、ショパンの演奏会を想像の世界で実感できなかったのが悔しく、今後も勉強していきたい。
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    投稿日:2023.12.01

  • nakaizawa

    nakaizawa

    「葬送 第二部(下)」平野啓一郎著、新潮文庫、2005.09.01
    476p¥660C0193(2023.09.19読了)(2014.01.18購入)
    イギリスから戻ったショパンは、少しずつ病状が悪化してゆきます。著者は、その様子を克明につづってゆきます。喀血の様子などは、目の前で繰り広げられているかのように錯覚してしまいます。最後には、とうとうこと切れてしまいます。題名になっている「葬送」の模様も綴られ、遺産の処分の模様も綴られています。祖国ポーランドは、ロシアに占領された状態で、遺産をまとめて保存することは、かなわなかったようです。
    読み切るのが、結構大変だったけど、読み終えてよかったです。

    【目次】(なし)
    十三~二十七
    主要参考文献
    解説  星野知子

    ☆関連図書(既読)
    「ショパンとサンド 新版」小沼ますみ著、音楽之友社、2010.05.10
    「ショパン奇蹟の一瞬」高樹のぶ子著、PHP研究所、2010.05.10
    「愛の妖精」ジョルジュ・サンド著、岩波文庫、1936.09.05
    「ショパン」遠山一行著、新潮文庫、1988.07.25
    「ドラクロワ」富永惣一著、新潮美術文庫、1975.01.25
    「葬送 第一部(上)」平野啓一郎著、新潮文庫、2005.08.01
    「葬送 第一部(下)」平野啓一郎著、新潮文庫、2005.08.01
    「葬送 第二部(上)」平野啓一郎著、新潮文庫、2005.09.01
    「ウェブ人間論」梅田望夫・平野啓一郎著、新潮新書、2006.12.20
    「三島由紀夫『金閣寺』」平野啓一郎著、NHK出版、2021.05.01
    (アマゾンより)
    病躯を引きずるように英国から戻ったショパンは、折からのコレラの大流行を避けてパリ郊外へ移った。起きあがることもままならぬショパンを訪なう様々な見舞客。長期にわたる病臥、激しい衰弱、喀血。死期を悟ったショパンは、集まった人々に限りなく美しく優しい言葉を遺す。「小説」という形式が完成したとされる十九世紀。その小説手法に正面から挑んだ稀代の雄編。堂々の完結。
    ショパン生誕200年のメモリアルイヤーを彩る、美と感動の長編小説
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    投稿日:2023.09.19

  • なの

    なの


    「ポーランド人とは即ちポーランドだ。ポーランドとは即ちポーランド人だ。
    この心のすべてが、いわばポーランドの文化の歴史だ。我々一人一人が感じ取り、考え、生み出そうとするとき、常に感じ取らせ、考えさせ、生み出させているのはポーランドだ。
    このからだこそは。ポーランドの土が育んだパンが血となり肉となったものだ。十指の先端にまでその土の恵みを知らぬ箇所はない。」

    優美で、神経質なまでに繊細、決して相手を傷つけることのない紳士的なショパンの胸の内にある、ポーランド人としての誇り、ポーランドへの熱い思いが伝わります。
    「我々の心に訴えるものは、技量というよりも精神であり、技術というよりも人間である」」という岡倉天心の言葉を思い出しました。

    ショパンのリサイタルで演奏された曲を、一つ一つ聴きながら文章を読み、とても贅沢な読書体験になりました。お勧めの読み方です。

    「どうして自分は、たったそれだけの思いやりをすら持つことが出来ないのだろう?どうして一切を顧みず、愛する人の為に何かあをしてやりたいという気持ちを抱くことが出来ないのだろう?」
    …天才ドラクロワ、切ないです。

    この他にも、サンド夫人、ソランジュ、スターリング嬢、どの人物にもそれぞれの人間性やドラマがあり、この小説を重厚なものにしています。
    とても贅沢な小説でした。
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    投稿日:2023.08.18

  • いりちゃん

    いりちゃん

    ショパンとパトロンのジョルジュサンドとの係わりがよく分かる。ポーランド人ショパンのパリやロンドンでの苦闘、作曲や演奏会がダイナミックに描かれている。

    投稿日:2022.05.16

  • Goat

    Goat

    今年は5年に1度開催される『ショパン国際ピアノコンクール(ショパコン)』の開催年、この年にこの本と巡り会い幸運でした。 ショパコンでの演奏曲もちらほらと‥
    ショパンの生に対する限りなく強い思い、執着、画家ドラクロワの鋭い洞察力、そして自由奔放、強い個性の執筆家サンド、三人が織り成す人間模様は複雑です。
    平野氏の三人三様のこと細かな心理描写・思考描写には脱帽、いやその細かさ故に疲労感さえ感じられる場面もありました。
    人の本当の心の中は誰も覗けませんですしね。

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    投稿日:2021.11.28

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