【感想】ビッグ4

アガサ・クリスティー, 中村妙子 / クリスティー文庫
(83件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
11
14
33
11
3

ブクログレビュー

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  • orangeboc

    orangeboc

    このレビューはネタバレを含みます

    読んでいるうちに、「あれ!?ポアロってこんなだっけ!?」ってなるくらい、規模が大きい!展開がはやい!スリリング!な話だった。
    解説いわく、クリスティーならではのゆったりとした空気感…というものが他のポアロ作品にはあるらしいけど、この作品はもう次から次へとという感じで、いくつもの短編を手直してて作ったというのも納得がいく…
    この作品はトリックを楽しむというよりは、マジックを楽しむ感覚に近いというか、不思議なことが起きて種はこうでした!みたいな流れの繰り返しだった。でもそれがすごく楽しい!!

    わたしはポアロというキャラクターが好きなので、彼の頭脳明晰さナルシストさ、友情の厚さ、ユーモアさが今まで読んだ作品よりかなり色濃く出ているように感じで楽しかった。
    世界一の巨大犯罪組織VSポアロなんて、そんな、胸が躍らないはずがない…
    そしてわたしはポアロに全幅の信頼を寄せているので、ヘイスティングズが危ない目にあったり疑ったりするたびに「はいはい笑」という感じで、それもそれで楽しかった。

    解説でこの作品を書いた当時のクリスティーのことを知ると、なぜだか親近感が湧いた。
    「アクロイド殺し」を書いて、出版社はどんどん作品を書いて欲しいと言う、自分は本当に小説家としてやっていくのか?、夫には不倫を告白され、ちょっと失踪しちゃったし…この苦悩の仲、ここまでの作品を書き上げたのはすごいなあ…

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    投稿日:2024.04.10

  • kemukemu

    kemukemu

    ポアロシリーズでは“異質”

    あとがきによれば、有名な「クリスティー失踪事件」の直後の出版で、結構“売れた”ようだ。
    もともと、いくつかの短編だったネタを合わせて繕った、とある。
    そのせいか、一つの事件の解明ではなく“ビッグ4”という組織との対決ということで、まるで同じ国の某諜報機関物のよう。
    さすがに巧みな作者だけに一気に読める面白さだが、何か物足りなかったのが残念。
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    投稿日:2024.03.08

  • shipon

    shipon

    もともと短編だったものを、長編にする為少し書き変えて作品にしたらしく、文章に違和感があるとのことだっんですが、アクション要素が多くハラハラドキドキでとても楽しめました!
    落ち着いた展開が多いポアロシリーズなので、こうゆう作品があってもいいのかなと思います。(まだ数冊しか読んでいませんが。)続きを読む

    投稿日:2023.11.09

  • クロワッサン

    クロワッサン

    ポアロシリーズ4作目。
    今回はミステリ要素は少なく、冒険活劇とでもいったところでしょうか。
    相棒ヘイスティングスの復帰。
    奥さんを放おっておいて好きにやってますわ。
    いつもの作品よりスピーディ。
    007みたいな感じでした。続きを読む

    投稿日:2023.11.06

  • tanaka9999

    tanaka9999

    2004年発行、早川書房のクリスティ文庫。ポアロ物の中では人気が薄い作品だと思われる国際謀略もの。長編でなく短編連作として扱うのがよいのだろう。ポアロらしいといえばそうなのだが、なんか違和感も感じる、そんな微妙なところがあります。ヘイスティングズが少し愚かな方向にふれている割にポアロも優秀にみえない気が。ポアロのヘイスティングズの見えないところでしている活動が表に現れないせいでポアロが優秀にみえないのだと思われます。

    他:「訳者あとがき」(2004年2月)、解説:「クリスティーとチェスの問題」(小説研究者)若島正、
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    投稿日:2023.09.30

  • オズ

    オズ

     クリスティは推理小説のみではなく、スパイスリラー(ジャンルが正しいかわからないが)も実は魅力的で、とても読み応えのある、スリリングな作品を幾つか生み出している。今作は実は評価は余り高く無い様で、エルキュール•ポアロらしからぬ冒険譚が彼のシリーズとしてマッチしていない為、好まれていないようだ。
     僕も今作は再読になるが、初めて読んだのは大昔で記憶は古く、覚えているのはポアロの不幸についてとアシールという双子の兄がいた事、そして失われた口髭についてだ。当時の自身の評価は覚えていないが、おそらく余り理解していなかったのだろう、他の作品より低く見積もっていた記憶だ。当時は推理小説以外の作風を読み慣れていなかった為だろう。
     今回、改めて読み返したが、ポアロシリーズでの異色作ではあるが、冒険ミステリーとしての面白さが充分に詰まっている印象だ。もしポアロシリーズでスパイスリラー、冒険ミステリーが合わないという場合、ヘイスティングスが主人公のノンシリーズと捉えた方が気が楽になるだろう。それぞれの章を構成しているミステリー部分はポアロが担っており、作中で見えない部分の準備手配などもポアロによるが、ヘイスティングスが語り手である為、彼の経験譚の要素がとても深く盛り込まれており、充分主人公の立ち位置に立つことが可能である。トミータペンスシリーズが好きであれば引き込まれると思う。
     最後、事件の閉め方は少し大味に感じた。ナンバー4の正体は結局分からずじまいだが匂わせがあればすぐにでも今作に結び付ける事が出来る様にしている事が作為的だ。当然、こういったシリーズをポアロでやる事は考えていなかった様だが、シリーズ飛び出して活躍するキャラクターも多いので、別シリーズのリーダーがパンを千切る癖を出していたら鳥肌だろう。そういえば本人も自覚していない癖という部分に着目し、それを犯人の変装を見破るきっかけとして活用する方法は見事で、女性目線ならではの着眼点だと感心してしまった。この部分をきっかけにストーリーが大きく展開し、怒涛の如く色々な事が起こる。ミステリーとしても最後の対決についてはとても面白い。
     ポアロもヘイスティングスも生き生きとしており、楽しい作品だが、スパイスリラー的な味方をするならば他人を信頼しすぎる、情報を明かしすぎる部分が残念だ。どこにビッグ4の手下がいるがわからない状況であり、ナンバー2、ナンバー3が著名人である事を考慮すれば、あまり様々な人達に情報を明け渡していくのは少し疑問に感じてしまった。
    続きを読む

    投稿日:2023.09.09

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