【感想】邦画の昭和史―スターで選ぶDVD100本―

長部日出雄 / 新潮新書
(2件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • 源氏川苦心

    源氏川苦心

    作家・長部日出雄さんの邦画ガイドブックであります。
    映画は監督で観るものといふ定説に拘泥しますと、抜け落ちる作品が多数出てしまふといふのださうです。そこでサブタイトルで「スターで選ぶ」と謳つてゐます。

    タイトルは「邦画の昭和史 スターで選ぶDVD100本」ですが、平成の映画も含まれてゐるし、DVD100本といひながら未DVD化の映画も選んでゐます。
    さらに、「スターで選ぶ」の部分も、吉村公三郎・小津安二郎・溝口健二・成瀬巳喜男といつた監督論が飛び出して徹底されてゐません。
    要するに、タイトルで内容を表してゐるのは「邦画」の部分だけですかな。

    選ばれる映画はおほむね順当なものでせう。もちろん100人ゐれば100通りの選定が考へられますので、あくまでも長部氏が選ぶ100本であります。読者としては、細かいところに目くじらを立てず楽しむのが良い。
    基本的に映画を娯楽として捉へてゐるのが良いですな。分かりやすい。次のやうな部分は、大いに首肯するものであります。

    「...ある時期から邦画の一部の現場に、観客に解りやすくするのは通俗的で、解りにくくするのが芸術的、映画というのは監督の思想(そんなもの、きみにあるのかね?)を伝えるための手段で、スターを綺麗に撮ることなど二の次、三の次、あるいは問題外という不可思議な迷信が蔓延しはじめた。(中略)批評家の一部も、解らない、といったのでは沽券にかかわるから、意図不明な難解な作品ほど、ことさらに褒めそやす。
     無視された観客が、映画館から去って行ったのは、理の当然であった」

    そんな長部氏でありますから、東宝ゴクラク座も大映カツライスも躊躇無く選ぶ。愉快であります。この種の本では、さういふ「通俗映画」を選ぶと、それこそ「沽券にかかわる」として、頭から無視されるのが通例でありますからなあ。
    しかし本書で、私が一番共感したのは、『五番町夕霧楼』において、佐久間良子の唇が格好良いと述べ、「この唇を目にするだけでも一見の価値がある佳作」といふ部分であります。本当にその通りなんですよ...

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-185.html
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    投稿日:2011.12.06

  • prisoner

    prisoner

    たとえば田中絹代の邸宅をわざわざ訪れてその広大さ(今はなき松竹大船撮影所の全盛期より大きい敷地面積)を確認して、その眺めから「アメション女優」と批判されて家の崖から飛び降りて自殺しようかと思いつめたという情景を再構成するなど、自分の体に刻みこまれた日本映画史。続きを読む

    投稿日:2007.11.27

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