【感想】岬

中上健次 / 文春文庫
(72件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
8
26
26
2
1

ブクログレビュー

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  • こまっぺ

    こまっぺ

    舞台は和歌山、田舎、インターネットも何もなく他の世界とつながりようもない時代。
    閉じた人間関係、どろどろのしがらみの中での愛憎、ふりほどけそうもない。
    主人公は土方の仕事が好きで、毎日汗を流して、精錬潔癖に生きれたらと思ってる。
    でも自分に流れる血がそれを許さない、最後はあの男への復讐を遂げる場面で終わる。
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    投稿日:2024.05.13

  • koshi

    koshi

    (引用)
    彼は、一人残っていた。腹立たしかった。外へ出た。いったい、どこからネジが逆にまわってしまったのだろう、と思った。夜、眠り、日と共に起きて、働きに行く。そのリズムが、いつのまにか、乱れてしまっていた。自分が乱したのではなく、人が乱したのだった。ことごとく、狂っていると思った。死んだ者は、死んだ者だった。生きている者は、生きている者だった。一体、死んだ父さんがなんだと言うのだ、死んだ兄がなんだと言うのだ。




    とことん下へ下へと潜っていくような気分。いろんなことが乱れたように事あるごとに思ってしまうのは、自分のせいであることを認める勇気がどこかのタイミングで必要だと思う。
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    投稿日:2024.01.21

  • ぼあ

    ぼあ

    このレビューはネタバレを含みます

    ヒリヒリと痛い、どうか光の輪のような観音様がきて、全てを許すように優しく抱きしめてあげてほしい。逃れられない血の憎しみと哀しさと純潔さと。

    彼とか男とか、三人称で話が進むのでパズルを組み立てるようにして読み進めた。
    鳳仙花を読んだ後なので秋幸!お前だったんか!とか、美恵はまた子どもみたいになどと、それはもう正月に集まる親戚さながら。

    読了後、なぜだかジブリ作品もののけ姫、病者の長のセリフが浮かんだ。
    「私も呪われた身ゆえ、あなたの怒りや悲しみはよく分かる。(中略)生きることは誠に苦しく辛い。世を呪い、人を呪い、それでも生きたい。愚かなわしに免じて」

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    投稿日:2023.10.06

  • kuragekurage

    kuragekurage

    表題作をまず読んだ。
    舞台は紀州。日常風景に主人公の親戚縁者が登場。読み進めていくうちに関係性が徐々にわかっていくが、最初はすんなり入ってこなくて何度かページをめくる手が止まってしまった。
    だが、明け透けなセリフからは登場する人たちの体温がムンムンと伝わってくる。人の死が大きな事件に思えてこない不思議。むしろ大事件が起こるラスト3Pのために全てがあるように感じた(初見にて)。続きを読む

    投稿日:2023.08.28

  • 昔南京にいた女

    昔南京にいた女

    まさに紀南の夫の実家に帰省中、大勢の親戚たちに囲まれたり話を聞いたり、辿れば遠い親戚だったりする彼の地元の友達と会ったりしているときにこの小説を読んだ。
    買ったのも夫の地元の鄙びた書店。
    血縁のつながりの強い紀南の家族の在り方をちょうどリアルタイムで感じながら読んだので、物語の雰囲気はよく掴めたし登場人物が多くても没入しやすかった。
    登場人物の方言も、夫のおばあちゃんのしゃべり方で脳内再生された。

    ただ、中上健次は紀南の最下層を描いているので(男はもれなく土方で女はもれなく女郎、みたいな世界観)、「紀南は確かに田舎だが、いくらなんでもそこまでひどくはなくないかこの土地は?」とは思ってしまった。
    『岬』以外に4作品入っているが、どれも登場人物が少し被っていたりして緩やかにつながっている。

    全編に共通して言えることは、暗いのとミソジニーがすごい。
    女はヤリまくる馬鹿だと思っているのだろうな…という描写ばかり。おそらく母親への屈折した感情から来ると思われるが、当然ながら読んでいて気分の良いものではない。
    DVシーンも複数あり、それは複雑な家庭環境、血の濃さ、生きづらさゆえなのだろうけど好きにはなれない。

    中上健次は生涯この生きづらさを克服できなかったのかが気になる。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.14

  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    朝日新聞の和歌山文学紀行での紹介本である。読んでみて、岬へ家族でピクニックに行くことと甥っ子がクジラを見に行くということで和歌山ということがかろうじてわかる程度である。最後が性交で終わる。

    投稿日:2023.07.04

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