あけくれの少女
佐川光晴(著)
/集英社文芸単行本
作品情報
「どこで、どうやって生きていくのか、うちは自分で決めたい」12歳の少女・真記は上京を目指すも、80年代後半の狂騒に翻弄され・・・・・・親世代にも子世代にも読んでほしい、宝石のような20年間を描いた佐川光晴の最新長編小説。
広島は尾道の小学五年生・真記は、1970年生まれ。子供のいない伯父夫婦からかわいがられ、養女になるかもと心配事は絶えない。中学では英語部の朗読劇が大成功をおさめ、英語を一生の仕事にしていこうと決意する。念願の学生生活は、80年代後半のバブル経済のただなかで、順調そうにみえたのだが・・・・・・。
当時の時代背景や男女の考え方を、時に繊細に、時にユーモラスに描出する。真記と同時代を生きた人にも、そしていま同世代の人にも読んでほしい青春小説。
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商品情報
- シリーズ
- あけくれの少女
- 著者
- 佐川光晴
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文芸単行本
- 書籍発売日
- 2023.12.15
- Reader Store発売日
- 2023.12.15
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (7件のレビュー)
-
瀬戸内がすぐそばに見える風光明媚な広島・尾道に育った真記の中学から33歳までの20年のこと。
ただ20年と言えど、とても努力し何事にも一生懸命で、両親の特に父の言葉を忘れることなくすべてにおいて真面…目である…と思った。
けっして愛情がないわけではない両親。
特に父は「誰にとっても、一度きりの人生じゃ。男も女もない。自分の気がすむように、思いっきりやってみい」と餞別がわりのことばで東京へ行くことを許す。
東京に出てきて、大学も卒業したかったであろうが、実家の倒産で学費がままならぬことで両親を恨むこともせずに退学し、看護学校に進むという道を選ぶ。
この判断と潔さに何も言えないほど…
どれだけ強いんだ…と思わずにはいられない。
この時代がわかるだけに感慨深いものもあった。
続きを読む投稿日:2024.02.23
昭和から平成にかけての時代がリアルにわかるだけに、うなずいたり、「え?」と思ったり。
英語の勉強をがんばってモノにしたり、生活のためにアルバイトしたりとか、
こういう努力の人というのが私を含めて周りに…もいないなと思ったり(いたのに気づかなかっただけかも)。
お父さんのセリフ
「ええか、大人には大人の事情がある。多少は気になるじゃろうが、こどもは知らん顔をして、よくあそび、よく学べばいい。そして、世のなかに放りだされても生きのびていけるだけの力を、どうにかして身につけるんじゃ。それは男も女もかわらん。ぜったいに、あきらめるな」
は痛い。手に職の強さよ。
そしてその言葉通り、真記はあらめない。
読みながら何度も、この物語は本当に昭和の終わりから平成にかけてのできごとなのか? と思った。同時代を生きていたはずなのに、きらびやかな生活を送っていたわけでもない私にはまったくの実感も共感もない。それほどまでに浮世離れしていたのであろう、この時代の自分を思う。それが悪いとは決して思わないけれど。
この著者は『おれのおばさん』を読んだのに、記録していなかった。
p284
父とは性別も顔立ちもちがうが、中川さんは掛け値なしのことばで語っているのが真記にはわかった。とりつくろわず、本当にそうおもっていることを口にだす。だから、自分が語ったことばが、相手よりも自分に突き刺さり、その痛みを糧にして。さらに先に進んでいけるのだ。
p342
「そこそこのモチベーションでもはたらけるひとは、大きなミスはしない。でも、強烈なモチベ―ションによってはたらいてきた
ひとは、モチベーションが下がったときに、とんでもないミスをしかねないのよね」続きを読む投稿日:2024.04.07
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