はじめての動物倫理学
田上孝一(著)
/集英社新書
作品情報
ベジタリアンやビーガンといえば、日本ではいまだ「一部の極端な偏った人」と思われる風潮があるが、世界では、肉食と環境問題は密接にリンクした問題として認識が広まっている。動物倫理学は功利主義の立場から動物解放論をうたうピーター・シンガーを嚆矢とし、1970年代から欧米で真剣な議論と研究が積み重ねられ、いまや応用倫理学の中で確固とした地位を占めるに至った。本書は倫理学の基礎に始まり、肉食やペットなど具体的な問題を切り口に、いま求められる動物と人間の新たな関係を問う、動物倫理学の入門書である。
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商品情報
- シリーズ
- はじめての動物倫理学
- 著者
- 田上孝一
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2021.03.17
- Reader Store発売日
- 2021.03.26
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 264ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (9件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
動物倫理学の入門書でもあるが、倫理学、厳密には規範倫理学の入門書でもあります。動物倫理学といえばお恥ずかしながらピーターシンガー氏くらいしか分からず、功利主義的な立場からの物言いは理解はできるけど、地球の裏側のキッズことまで考えられへんな〜という稚拙な印象しかなかった私ですが、本書では規範倫理学の3つ(2+1)の柱をもとに展開されていく動物倫理学を明快な文章で書かれていました。動物が可哀想という感情に訴えるのではなく、理路整然とした動物倫理学には批判すべきところが見当たらず私も小さい一歩から始めてみようと思いました。
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また、マルクス研究者でもある筆者は最終章でマルクスと動物倫理学を架橋しようと試みていてそこも独創的で興味深かったです。投稿日:2021.05.13
新書という形式では本邦初の動物倫理学の入門書。これまでの人類の動物への扱いは基本的に不当であり、動物に権利を認め、動物を「生きた道具」として使わない文明とライフスタイルをこれからの人類は構築すべきだと…主張。
倫理学の3つの主要学説である功利主義、義務論、徳倫理のエッセンスの解説から始まり、それぞれの立場に基づく動物倫理学の経緯や考え方を解説した上で、人類は動物とどう付き合っていくべきかの考察や人間中心主義の問い直し、環境倫理学との対比、マルクスから得られる示唆へと論が展開していくが、動物倫理学やその周辺について理解が深まり、とても勉強になった。
しかし、動物倫理学の考え方には違和感が拭えず、著者の主張に納得できたかというとそうは言えなかった。
まず、動物に人間と同様の「権利」があるとする根拠が曖昧なように感じた。「生の主体性」や苦痛を感じるなどの感情があることが根拠とされているが、やはり人間の持つ意思表明能力、世界の認識能力、言語によるコミュニケーション力など、いわゆる理性といえる能力は一般的な動物とは区別されてしかるべきではないかと思う(著者が人間に近いとして例に挙げているのは基本的に類人猿であり、百歩譲っても認められるのは類人猿の権利だけではないか)。
また、権利を持つ対象となる動物の範囲も不明確である。魚類や鳥類も生の主体たり得る可能性があるとしているが、では、昆虫やエビ・カニなどはどうなのかについては全く語られていなかった(蚊に刺されたからと言って死ぬわけでもないのに蚊を殺すことは動物倫理学ではどう評価されるのか)。また、感情を持つというならば、植物にも感情があるという研究もされているが、植物については権利を認める必要はないのだろうか(そうなれば、人類は餓死せざるを得なくなる)。
そして、肉食を倫理に反すると主張しているが、雑食動物である人間にとって動物を食べることは自然の摂理に沿ったものであり、否定されるべきものなのかという疑問がある。「工場畜産」に問題があるとしても、それはそれとして動物福祉的な考え方で対応すべきことではないか。
ほかにも、「自然の権利」を否定するところで、本来の意味での権利は法的な権利ではなく道徳的な権利である旨を主張しているが、個人的には権利というのは法的なものという説明のほうが理解しやすく、道徳的な権利というのは内容が不明確だと感じた。このように、「権利」などの動物倫理学で使用される用語が観念的で、恣意性を帯びているように思われることも、その議論にあまり説得性を感じない一因である。
以上のように、個人的には、本書の主張には疑問が多く、納得はいっていないのだが、動物と人間との関わり方に関する議論に一石を投じるという意味で、本書の意義は認めるところである。続きを読む投稿日:2024.05.01
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