- 最新巻
風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)
原田マハ(著)
/PHP研究所
作品情報
「謎多き琳派の祖、俵屋宗達×バロックの巨匠、カラバッジョ」――雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ縁が、ここに完結!! 織田信長の命を受け、狩野永徳による傑作『洛中洛外図屏風』をローマ法王に届けるため、天正遣欧少年使節ともにヴァチカンへの旅に出た俵屋宗達。嵐や日照りなど、幾たびも降りかかる試練をかいくぐりながら、一行はついにヨーロッパの地にたどり着く。そこで、宗達を待ち受けていたものは、輝かしい西洋美術の数々、スペイン国王をはじめとする高貴なる人々、そしてもう一人の天才絵師との出会いだった――。その絆が、その想いが、傑作を生み出す! アート小説の旗手・原田マハが描く、一気読み必至の感動巨編。
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商品情報
- シリーズ
- 風神雷神 Juppiter,Aeolus
- 著者
- 原田マハ
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2019.10.29
- Reader Store発売日
- 2019.11.15
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 320ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (178件のレビュー)
-
上巻は、肥前・有馬のキリシタン大名である大村純忠の家臣・原中務大輔純一の次男・原マルティノはセミナリオに入学を許されていた。原マルティノの語りで進んでいく本作は、1582年に伊東マンショ、千々石ミゲル…、中浦ジュリアン、俵屋宗達ら共にローマ教皇に謁見するため長崎を出発する。宗達は、信長の密命を受け、遣欧使節団に加わる。
この下巻は、使節団がマカオ、ゴア、リスボン、そしてローマへと旅を進める中、そこで彼らが受けた衝撃や感動、希望と宗達が受けた衝撃、感動が語られている。
見せ場は、カラヴァッジョとの出会い。
グレゴリウス一三世、第二二六代ローマ教皇との謁見も終了し、旅の最後に訪れたミラノ市内のサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会にあるダ・ヴィンチ作の『最後の晩餐』を見るためにマルティノと宗達は連れ立って教会を訪れる。そこで先輩を殴って工房を追われたという14歳の少年画工「カラヴァッジョ村のミケランジェロ」との出会いの場面が本作の奇跡である。宗達とカラヴァッジョはこの一度きりの出会いにおいて、国境を越えて、お互いを認め、ひかれ合う存在であること確かめる。
上巻のプロローグに「俵屋宗達の生涯は謎のヴェールに包まれている。安土桃山時代末期から江戸時代初期にかけて、京都で活躍して絵師—であることは、ほぼ間違いない。しかし、実は生没年すらはっきりしたことはわかっておらず、その実体は不明だ。おそらく1570年代の生まれであり、1640年前後に没していると思われるが、宗達の生没に関する史料は見出されていないので、『おそらく』を外せない。500年以上も昔のことであっても、はっきり生没年や業績がわかっていない歴史上の人物もいる。が、宗達の生涯は謎だらけなのだ。宗達は、のちの絵師たちに『琳派の祖』と崇められ、その作品は時代を超えて多くの芸術家に影響を与えてきた。が、現在、確認されている真筆は極端に少ない。『真筆』とされている作例が少ないので、研究者も限られた作例を検分する以外、研究する方法がない。それでも、だからこそ、追いかけて見たくなるのである。」というくだりがある。
本作の現代の主人公である京都国立博物館研究員・望月彩が宗達を追いかけたように、本作の著者、原田マハ先生も宗達の歴史を自由に想像し、こんな奇跡が有ればアートの歴史はさらに神秘的で興味深いものになるだろうといえ思いが伝わってくる段である。
そして、その思いは、ミラノで宗達とカラヴァッジョと出会う、とてつもないフィクションとなる。
ストーリーの中で「なにゆえ?なにゆえ、彼はそうまでしてここに来たのだ?何が彼をそうさせたのだ?その答えが—ここにあった。すべては、面白き絵を見るために。この国の素晴らしき絵師にまみえるために。そしていつか、もっとおもしろき絵を描くために。彼は、ここまで来なければならなかったのだ。」と、システィーナ礼拝堂天井壁画の「天地創造」を見たときにマルティノは、思ったのだが、本当は、信長の秘命であるローマの「洛中洛外図屏風」を描くことではなく、マルティノのこの考えが宗達の本当の気持ちであると著者が読者に暗に伝えているような気がした。
宗達の命がけの旅は、何をもって成し遂げられたと言うことができるのだろうか。と、考えたとき、物語の背景、登場人物の使命を明確に記さなければならない。表向きにの命があるのではあるが、真意はこのことであると確信した。
また、余談になるが、美術の知識がある作者ならではだと思う次のような描写がある。
「長崎を出てから二年半の歳月を熱帯の国々や船の上で過ごした体には、ヨーロッパのからりとした気候はいかにも心地よかった。石造りの建物はなきに入るとひんやりする。木と土で造られている日本の家屋とはまった違う。日本の家屋は夏の蒸し暑い時季にはふすまや障子を、取り外して風が通り抜けるようにできており、いってみれば『内』と「外』が繋がっている。しかしヨーロッパの家屋は『内』と『外』が完全に切り離されている。乾いて冷たい屋内だからこそ、布に油絵具で描かれた絵の数々はよく保たれているのだろうか」
イタリア旅行の記憶は、私の中では一番である。バチカン宮殿前広場中央のサンピエトロ大聖堂の計算されて建てられている石柱の美しさ、システィーナ礼拝堂の祭壇の背後の「最後の審判」、天井壁画の「天地創造」をみた時の感動、バチカンから見るパリの家々屋根の風景、今もはっきりと覚えている。これらは全て、遺産である。宗達が見たこの時代から継承されてきたものである。続きを読む投稿日:2020.10.14
このレビューはネタバレを含みます
エピローグの彩の気持ちがまんま原田マハさんの気持ちなんだろうな。
レビューの続きを読む
こうだったらいいな、を大胆に小説にした感じですね。
実際はどうだったんだろうって気になるタイプなので、もっと答え合わせ解説がほしい〜。…
原田マハ公式HPの、マハの展示室『風神雷神』インタビューとか、トークイベント「いまひとたびの『風神雷神』」を読んですこしスッキリ。
ほんとうに織田信長が「ローマの洛中洛外図」を命じたなら、なんていうロマンだろうと思うし、宗達とか永徳が描いたそれを見てみたいって思う。
こんど皇居の三の丸尚蔵館に永徳の『唐獅子図屏風』を、京都の養源院に宗達の『白象図』『唐獅子図』をみにいこう。
天正遣欧少年使節が教皇に献上した永徳の屏風は現在は行方不明なのか。これもいつかみつかるといいなぁ。信長の安土城や、京の南蛮寺がほんとうに描かれているんだろうか、、ロマンだー。
続きを読む投稿日:2024.03.30
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