近現代日本史との対話【幕末・維新―戦前編】
成田龍一(著)
/集英社新書
作品情報
これまでの通史の多くは、国家としての日本が辿ってきた道筋を軸に記述してきた。それに対し本書は、人びとの動きがつくり出す一つの流れ――人間関係から社会の仕組みまで――を「システム」として捉え、その変遷を軸に近現代日本の歴史を叙述する。本書は、“幕末・維新―戦前編”として、システムA1(国民国家の形成)・システムA2(帝国主義への展開)とシステムB1(戦争への動員体制)を軸に、そのシステムのもとでの人びとの経験とその意味を考える。システムの推移を追うことで、さまざまな出来事が、その力学の中で作用し合っていることが見えてくる。“いま”を知るための手掛かりとなる近現代日本史の決定版。高校の新必修科目「歴史総合」にも対応! 【目次】はじめに/第一部 国民国家の形成/第一章 幕末・維新(一八五三―一八七七年)/第二章 民権と憲法(一八七七―一八九四年)/第二部 帝国主義への展開/第一章 日清・日露の時代(一八九四―一九一〇年)/第二章 デモクラシーと「改造」(一九〇五―一九三〇年)/第三部 恐慌と戦争/第一章 恐慌と事変(一九三〇年前後)/参考文献/略年表
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商品情報
- シリーズ
- 近現代日本史との対話
- 著者
- 成田龍一
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2019.01.22
- Reader Store発売日
- 2019.02.22
- ファイルサイズ
- 5.5MB
- ページ数
- 496ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.7 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
<目次>
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第1部 国民国家の形成
第1章 幕末・維新(1853~1877)
第2章 民権と憲法(1877~1894)
第2部 帝国主義への展開
第3章 日清・日露の時代(1894~1910)
第4章 デモクラシーと「改造」(1905~1930)
第3部 恐慌と戦争
第5章 恐慌と事変(1930年前後)
<内容>
近現代の通史であるが、「政治」とか「経済」とかをたどるのではなく、「システムとそのもとでの人々の経験」をベースとする通史である。したがって、”厚い”(新書で465ページ)。これは前半で、後半も同じくらい厚い。そして、読んでいてよくわかる。語られることは、著者の主観的な部分もあるが、読んでいて面白い。ちゃんとした読み物である。投稿日:2019.03.28
冷戦崩壊後の歴史学構築として「システム論」によりこれまでの通史の上書きを行い「メタ通史」を叙述するという結構壮大な試み。この<歴史システム論>は2022年からスタートする「歴史総合」にも対応可能だとい…う。(「歴史総合」がシステム論的に展開されるのかは定かではないが)
システムとは「人と人とのつながりを作り出す動きであり、かつ人と人とのつながりが作り出す関係の総体」との事。著者は近代・現代・現在と3区分に分け、各区分をさらに2つに分解して合計6つのシステムを列挙し、その交代劇としての歴史を論じている。
方法論的には興味深いのだが、肝心の描き出されるシステム内容が凡庸であり新鮮味がない。よって、システムのフレームワークが埋没してしまってるようにも思える。またアプローチも「人と人とのつながり」を重視しているせいか、冷戦時代の民衆史研究の派生形という印象を拭えない。とは言っても、膨大な参考文献を引用した通史の「上書き」であるため、叙述の厚みは感じられ、それなりに読み応えはあるように思える。
全体的にはまだβ版という印象で、少々出版を急いでしまったのではないだろうか?「歴史総合」までにはまだ時間があるので、もうちょっとシステム内容を精査して、新たな切り口でモデリングをしっかり行った方がよいのではないかと思えるが。続きを読む投稿日:2020.06.30
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