- 最新巻
ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(下)
恩田陸(著)
/集英社文庫
作品情報
安藤大尉、栗原中尉、そして石原莞爾は、再生プロジェクトの指示のもと、コンピュータ『シンデレラの靴』がつくり出す時間の狭間で「再生」された過去をなぞり歴史を「確定」してゆく作業にとりかかる。だが、3人の胸の内には、異なる決意があった。錯綜する時間、空間、それぞれの思惑。「二・二六事件」という歴史の事実に材をとり、自在な筆致で想像の極限を描くSF長編。
もっとみる
商品情報
- 著者
- 恩田陸
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文庫
- 書籍発売日
- 2005.12.21
- Reader Store発売日
- 2017.04.28
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 457ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (92件のレビュー)
-
リオデジャネイロ五輪、その閉会式のスクリーンを席巻した日本発のキャラクター達。日本人が胸を張った瞬間。その中央にいたのがドラえもん。ある調査では日本人の認知度97%とされる日本人の共通認識。
もし、仕…事で大失敗をした時、あの時、あの瞬間にこうしていたら、あれを見過ごさなかったら、人は誰でもそんな経験はあると思います。そんな時にもう一度あの時間に戻れたら、これもよく思うことです。でも思えばそんな発想がすぐできるのは、ドラえもんを知っているから、タイムマシンを知っているからなのかもしれません。でも同じ日本人でもドラえもん以前の時代の人だったらどうでしょうか。しかもあの時間に戻っても同じことを忠実にやり直さなければならないという条件がつけられてしまったとしたら…。
『俺は一度死んだはずだった。もしかして、これは罰なのだろうか。永遠に同じ時間の中、維新をやり遂げることができずに悶々と朝もやの中を歩き回るという罰。』と、ふと思う安藤大尉。そして、その時間を管理する側にいるアルベルト。『天国へ行くのか、地獄へ行くのかは分からないが、好奇心という最強の武器の前にタブーなんかない。地獄すらも、我々にとっては新しい地平なのかもしれないよ。 』、過ぎた時間をやり直す俳優とその演技がシナリオ通りかを厳格に管理する監督。でもやり直し、やり直しを繰り返す中で本当の歴史とはなんなのだろうかという疑問が浮かび上がってくるのは必然とも言えます。
思えば歴史とは、後世の時代の人がその時、その瞬間に起こったこと、起こっていたことを結果論で捉えて、誰が正しいかったのか、誰が間違っていたのかを評論家のように判断します。この二・二六事件なども、その後の第二次世界大戦、そしてその後に続くこの国の歴史を総合的に判断して語られます。でもあの時代に生き、悩み、踠き苦しんだ人たちも、その時の自分たちの前にあるものと真剣に対峙し、そして次に来る歴史を思い最善と思える判断をし、行動していったのだと思います。そういう意味では後世の人間の過去の振り返りは実に冷めていて冷たいものだとも言えます。ただし、その我々も後世から判断される身。一生懸命考えていても、行動していても果たして後世どう判断されるかなんて分かりはしません。
何が正しいのか、何が正義なのか、確かに歴史に我々が学ぶ点は数多だと思いました。
下巻は上巻よりページ数が少ないこともあって、最初から物語は怒涛の展開を見せます。上巻のどこか緩んだ雰囲気は全く消え去り、とてもシリアスな展開。そこに恩田さんが埋め込む伏線の数々。
時間遡行を題材にした作品に期待されるあの展開、この展開もきちんと織り込まれ、作品は一段上の次元で結末を迎えます。恩田さんらしくない丁寧な結末、伏線がぞくぞくするほどに回収されていく展開。そして、これで終わりと思われたそのさらに後まで、最後のページまで魅せてくれる えええっ、そうだったの?というSFの結末。
恩田さんが描くSFの世界。過去の話なのに未来の話のようでもある。我々に続くこの国のことなのにどこか他の国のことのようでもある。
少し歴史に知識が増えるとともに、とても面白い世界観を見ることのできた作品でした。続きを読む投稿日:2020.03.04
このレビューはネタバレを含みます
時間遡行というワードが某刀剣ゲームをやってる自分に刺さって気になってた作品。恩田さんは『夜のピクニック』をむかーし途中まで読んだくらい。
レビューの続きを読む
一周しただけじゃわからない複雑さ。冒頭の伝書鳩の話してたのって………?そもそも2.26をやり直すのはなんで?(アメリカの思惑と言うより表向きの目標みたいなもの)その辺再読したらスッキリしそう。
できすぎくんな安藤さんを主人公だと思って読んでたので辛い…でもそれがイイ、みたいな最後。2.26事件はなんか軍部のクーデター、怖い時代だ〜くらいの浅い認識しかなかったけど、官軍になってたかもしれない、無念のうちに亡くなった将校が沢山いたんだと改めて歴史を知れて良かった。
上巻でなんかありそうな男マツモトが怒涛の活躍。あのときのアレもアレもお前かー。で、最後お前の子孫がアルベルトと作ったのが時間遡行技術ってことは、アルベルト〜!?次読むときは彼にも注目ですね。
イケメン将校栗原の時間遡行している今すら一本の歴史、このまま続けるんだという考え方や、「シンデレラの靴」の二人乗り自転車で轍をなぞるけどズレ過ぎたり木にぶつかるようならやり直させるという「確定」「不一致」の説明、魔法の国が時間遡行をやり過ぎてついに魔法発見前まで遡って滅びていた話。SFの難しい話をそうかも!と思わせる描写のうまいこと。恩田さん好きです。
次はここでも上げてる人が多い宮部みゆきの『蒲生邸事件』読んでみたい。続きを読む投稿日:2023.09.29
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。