AI経営で会社は甦る
冨山和彦(著)
/文春e-Books
作品情報
AI革命で「産業構造」「稼ぐ仕組み」が激変する。企業再生の第一人者による「AI時代の経営論」。【目次より】はじめに AI時代の経営とは技術的にスゴいことと儲ることは違うL(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめWhatよりもWhen,How,Whoの勝負第1章 これがAI革命の真相だデジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機ありオープンイノベーションとブラックボックス化日本の自動車メーカーは生き残れるか第2章 なぜ日本企業が有利なのかハードとソフトの融合が焦点にハイブリッド経営システムを構築せよモノづくり日本にチャンスありローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない第3章 日本企業がとるべき戦略天才技術者を雇うには一国二制度で異質なものと共存するプロ経営者の改革がうまくいかない理由リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ産学連携で人を育てる第4章 AI時代のリーダー像・働き方分断される「Gの世界」と「Lの世界」真のグローバル人材を目指すにはAI時代に残る仕事、なくなる仕事おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ
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商品情報
- シリーズ
- AI経営で会社は甦る
- 著者
- 冨山和彦
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-Books
- 書籍発売日
- 2017.03.29
- Reader Store発売日
- 2017.03.31
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (25件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
「コロナショック・サバイバル」「コーポレート・トランスフォーメーション」に続けて休日を利用し一気読みしました。
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やばいなぁ...
これが今の正直な気持ちです。
何がやばいか、それは先に読み終えた2冊よりも圧倒的に本作の方が読みやすく、その分少しは血肉となった感覚があるからです。
今から2年8ヶ月(約3年)前に出版された本書の内容は頭に入ってきやすいが、約半年前に出版された「コロナショック・サバイバル」「コーポレート・トランスフォーメーション」はなかなか頭に入ってこなかった。
つまり、私の感覚と知識レベルは今の時代からすでに約3年も遅れているということだと思う。
経営者ではないが、一般社員でもない。
本書の中でまさに8割が不要の対象であると書かれている管理職である自分もしっかりとトランスフォーメーションしていかねばならない時代が来ている。
私が勤めている会社はいわゆる大企業でもなく、グローバルな市場で戦ってもいない。
いわゆる中小企業で、ローカルな市場の中で活動をしている。
すでに始まっているデジタル化というパラダイムシフトの中で、戦い、勝ち残っていく為に、そして何より人生を楽しむためにも今後も学びを続けていきたい。
著者の他の出版本も今後も手にしていこうと思う。
説明
内容紹介
AI時代のビジネスを理解するためのキーワードとは?パラダイムシフトによる千載一遇のチャンスを生かせ!いかにAIを利用し、儲けるか。日本復活、勝利のシナリオ。カギはLとSにあり!企業再生の第一人者が伝授するAI時代の経営論。
内容(「BOOK」データベースより)
AI革命で「産業構造」「稼ぐ仕組み」が激変する。
企業再生の第一人者による「AI時代の経営論」。
【目次より】
◆はじめに AI時代の経営とは
技術的にスゴいことと儲ることは違う
L(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめ
WhatよりもWhen,How,Whoの勝負
◆第1章 これがAI革命の真相だ
デジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ
「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる
産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」
大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機あり
オープンイノベーションとブラックボックス化
日本の自動車メーカーは生き残れるか
◆第2章 なぜ日本企業が有利なのか
ハードとソフトの融合が焦点に
ハイブリッド経営システムを構築せよ
モノづくり日本にチャンスあり
ローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来
ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない
◆第3章 日本企業がとるべき戦略
天才技術者を雇うには
一国二制度で異質なものと共存する
プロ経営者の改革がうまくいかない理由
リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ
産学連携で人を育てる
◆第4章 AI時代のリーダー像・働き方
分断される「Gの世界」と「Lの世界」
真のグローバル人材を目指すには
AI時代に残る仕事、なくなる仕事
◆おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
冨山/和彦
経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。1960年生まれ。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。カネボウ再建を成功させる。解散後の2007年、IGPIを設立。現在、経産省が取り組む官民共働型のIoT化推進組織であるIoT推進ラボ座長、建設現場の生産性革命を狙った国交省主導のi‐Construction推進コンソーシアム委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)投稿日:2020.11.15
このレビューはネタバレを含みます
AI経営で会社は甦る (文春e-book) 2017/3/29
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我が国、日本はAIによる自動化やシェアリングエコノミー化をどんどん推進していけばいい
2017年8月20日に日本でレビュー済み
経営…共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。
元産業再生機構COOであった冨山和彦氏の著作。
2017年3月30日第1刷発行。
AI(人工知能)やIOTなど今話題の新技術を経営にどう活かしていくべきなのか方向性を説いた本。
印象に残った文を紹介してみたい。
AI技術そのものの先端性と、ビジネス上の儲けの間には
例によって殆ど相関はないということだ。
ビジネスセンスがまずは重要で、様々な技術から必要十分なものを選ぶ選択力、そして当該技術を活用してビジネス化する応用開発力、複合的開発力が決め手となる。
人口知能と言っても道具は道具。
AIを道具として「経営」できなくては「稼ぐ力」には結びつかない。
予測に時間と金を使うことよりも、予測不可能なイノベーションがもたらす変化に迅速かつ鮮烈に対応できる組織能力、経営能力、すなわちWhen、How、Who、に関わるもっと根源的な戦闘能力を高めておくことのほうが、革命期においては重要な意味を持つ。
革命的なイノベーションの波に飲み込まれた業界において、ビジネスの世界での勝ち負けは、あくまでも急速に変化する環境の中で、構造的、持続的に稼ぐことのできるビジネスモデル、競争モデルを先に構築できたかどうか、他社に代替されにくい唯一無二のポジションを
築き上げられたかどうかで決まる。
ビックデータもビジネスに活用するということは、鉱山資源開発と同じで、資源を掘り出す製錬(データ分析の世界ではこれを「データクレンジング」という)
するコストと、それが生み出す収益が釣り合わないと成り立たない。
いくらデータが集まっても稼ぐために有用な情報の含有土の低いデータではペイしないのである。
おまけにデータの多くは生物なので、掘り出すのが遅れると使い物にならなくなる。
「あなたはビックデータから掘り出された何かいい事にお金を払いますか?」
ということである。色々と夢のようなことが語られているが、その中で私達に本気でそれなりの金を払う気にさせるものがあるのか、一度、冷静に考えてみたらいい。
AI革命(大自動化革命)では人手不足社会の日本はタブーが少ない。
その為導入が行い易い。
先進国ではL型産業で働く人の割合が増えている。
移民との仕事を奪い合う形になることが多く、その中でAIで自動化を進めることは猛反発が起こる可能性がある。それは社会的、政治的コストが高すぎるので国としては、そんなにお気楽に自動化を推進できないはずだ。
日本は全く逆の状況なのでAIによる自動化やシェアリングエコノミー化をどんどん推進していけばいい。
Uberへの規制など、もう恐れる必要がないものを恐れる人がたくさんいて規制改革にブレーキをかけようとすることが問題。
囲碁で人間がAIに負けることは別に驚くに値しない。
事の本質としては、その昔、蒸気機関車や自動車が、
マラソンで人間に勝ってきたのと変わりない。
日本人はアトムやドラえもんの影響で無駄な開発をする危険がある。
世界の潮流はAIもロボットもあくまでも人間の脳や人間自身とは別物の機械として、人間の仕組みを参考にしつつも、あくまでもその機能目的にしたがってより良いものを作ろうとするアプローチが主流である。その方が社会実装的に有効だし早道でもある。
無理やり自社でAIを開発せず、誰でも仕える出来の良いAIがすでにあるならそれを使えばいい。
多分動くと思うからリリースしようぜ!というようなノリはIT世界はOKかもしれない。しかし自動車や介護、医療の世界はそうはいかない。
スマホだったら許されるバグが、自動車の場合は人命に関わる重大事故につながる可能性がある。問題の深刻度が違うのだ。
ベンチャー企業の買収では親会社の流儀を無理に押し付けない。
面白いことがやりたくて集まっていた人材を流出させない為にあまり口を出さず、そのまま彼らのやりたいようにやらせたほうが結局上手くいくはずなのだ。
*かつてSONYがiPodが出る前のAppleを買収する機会があったのにそれを逃した。(スティーブジョブスからの出資要請)
Appleを買収してジョブスに好きにやらせていたら今頃連結決算でSONYは時価総額世界一になっていたかもしれないのだ。SONYにはウォークマンがあり、Appleを買収しても得るものがないという技術部門からの反対でこの話は実現しなかったそうだ。
コマツのような自社固有の優位性がない技術は割り切ってどんどん外部から買ってくればいいと考えるべき
そういう割り切りが日本企業に求められている。
買収したテック系のベンチャーに日本式の5Sを押し付けない。
テック系のベンチャーはヒッピー文化の伝統で時間通りに出社しないし
服装もルーズ。いい加減でだらしなく見える。
大学のサークルのノリでいい加減にやっている人達をきちんとマネージして決定的に変はことが起きないようにする
買収先や提携先を選ぶ時もトップ自ら頻繁に現地に足を運ぶトップか少なくとも決定権をもつトップにすぐ確認が取れる人で交渉する中間に何人も挟まっていて最終的な返事がいつになるか分からないような相手ならはじめから会う必要がないと先方は判断する
私(冨山和彦)は現在世界を牛耳っているプラットフォーマーの栄華が永遠に続くことはないと考えているのだが、Amazonのジェフ・ベゾスはただのサイバー空間だけのプラットフォーマーにとどまりそうにない、
無視できない存在だ。ベゾスはかなり早い段階から最後はフィジカルディストリビューションを押させることが勝負を決めると思っていたはずで、だからこそ自社で倉庫投資を行い、そこにAI技術、自動化技術をどんどん取り入れているだけでなく、ドローンなどを活用してラストワンマイルの配送まで自ら担おうとしている。
ネットオタクやネット信奉者と違って、根っからの商売人なのである。
だから、ある意味、インターネットというものを冷めた目線で眺めているのではないだろうか。
ガソリン車をやめて電気自動車に行くのか、燃料電池車に行くのか。
本当のところ、答えは誰にもわからない。
分からない時に一番無意味なのは、どちらか一方に決めてそれしかやらないこと。これが国民経済的には一番危ない。
1つの会社に両方ともやらせると負担が大きすぎて潰れてしまうかもしれないから、ある会社は電気自動車を、別の会社は燃料電池車をやればいい。
そうすれば日本全体として見た時に、少なくともどちらかは生き残る。
それに失敗したのがTVや携帯端末ビジネスで、日本製のTV、ケータイが全滅したのはみんな同じモデルで走ってしまったからだ。
純粋に人的資本の会社なら買収ではなく優秀なエンジニアを全員引き抜けばいい。
会社を買ってしまうとその代金は株主に行ってしまう。
なぜ企業価値に貢献しない人にお金を渡すのか、よくわからないのだ。
アームの本社ビルの近くにビルを借りてそこに3兆円を積んでこの3兆円で君たちの好きなことをやっていいと言えば、みんな転職してくるはずだ。
そうすると、そのお金は全て企業価値向上のために使われることになる。
人に投資するというのは、そういうことだ。
人に投資するなら、企業買収よりも引き抜きの方が効果的
世界の大学ランキングにおける東大の位置が年々下がってきていて東大もレベルが落ちたと言われるのだが、東大のトップオブトップの上澄みのレベルはほとんど変わっていない。
東大が産学連携をリードし、多数のベンチャーを輩出していることがそれを証明している。
しかし平均的な東大生のレベルは昔と比べてたぶん下がってきた。
少子高齢化で子供の数が減っているから当然だ。
スタンフォード大学でも正解中から人材を集めていると言っても本当に優秀なのは上位数%だけ。
経団連や経済同友会の加盟企業の多くには今や東大のトップティアはほどんど行かない。
東大生のレベルが落ちたとかあまり勉強していないとか財界のお偉いさんが言っているのを聞くが、それは明らかに間違いで、ダサい日本の大企業を受けに行くのはイマイチな東大生が多いというのが実態なのだ。
昔のサラリーマンが海外で活躍できた理由
今は海外の現地のレベルも昔よりかなり上がっているので平均的な日本人が行っても役に立たない。向こうからするとお呼びではない。
もっとレベルの高い人を連れてこいという話になっている。
AI時代に残る仕事、なくなる仕事
たとえば会計士や経理の仕事はかなり減る。
杓子定規にやることが大事だからだ。
営業でも伝票処理などをやっている人たちの仕事はなくなるだろう。
製造現場から機会的作業が減ったのと同じことが、
今度は知的作業の世界で起きる。
意外となくならないのが税理士。なぜかというと税務署の判断はかなり曖昧で、自由裁量に委ねられているので、交渉の余地があるのだ。
昔は会計士も交渉の余地がたくさんあったのだが、それをやりすぎて数々の問題を起こしてきたから、最近は交渉の余地を残さない方向になってきた。
なるべく恣意的な判断が入り込まないように、機械的に割り振るようになり、粉飾事件が起きれば起きるほど、人間ではなく機械に任せたほうがよくなってしまう。
税理士は税務調査が入ると、必ず交渉が発生して、それによっておみやげがあったりするから、人間でなければいけないのだ。
人間と人間の交渉の余地、人間の裁量の範囲が広い部分は、人間の仕事として残っていく。同じ意味で、弁護士の仕事も意外となくならない。
交渉事がとても多い仕事なのと、法律は、じつはかなり曖昧に出来ているからだ。
池井戸潤原作のドラマの主人公、半沢直樹は権力闘争をしているだけで結局、仕事をしていない。國重惇史さんの『住友銀行秘史』(講談社)や永野健二さんの「バブル」(新潮社)を読んでも出てくるのは
(本質的な改革を先送りするための)ダーティ・ワークと権力闘争でこれだけ優秀な人達が収益と関係ないことばかりやっていれば日本経済が衰退するのも、ある意味当然かもしれない。
結局そうなってしまうのは、限られたポストをめぐって、目の前にあるそのポストを手に入れることが最大の関心事になってしまうことに根本的な原因がある。
かつての産業革命のように馬車がなくなれば馬車の馭者も馬の世話をしていた人も馬車を組み立てていた人も失業したかもしれないが、車のドライバー、自動車修理工、自動車の工場労働者、ガソリンスタンドの店員など、新しい仕事が次々と生まれた。長期的に見れば、失われた雇用は十分吸収されたのだ。
今回のAIでも、同じことが起きるはずだ。その時に大事なのは、人間にとって快適なものが仕事になるので、そういう能力を伸ばしてあげられるような教育えあり、職業訓練である。
今のホワイトカラーを大量に生み出すような教育を続けていると社会人になった途端、そんなことは機械がやるからあなたは必要ないと言われてしまう可能性がある。それは気の毒な展開で、裏切られた感が生まれやすいので教育の見直しが急務である。続きを読む投稿日:2022.08.28
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