人間失格 グッド・バイ 他一篇
太宰治(著)
/岩波文庫
作品情報
「恥の多い生涯を送って来ました.自分には,人間の生活というものが,見当つかないのです」――世の中の営みの不可解さに絶えず戸惑いと恐怖を抱き,生きる能力を喪失した主人公の告白する生涯.太宰が最後の力をふりしぼった長篇『人間失格』に,絶筆『グッド・バイ』,晩年の評論『如是我聞』を併せ収める. (解説 三好行雄)
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商品情報
- シリーズ
- 人間失格 グッド・バイ 他一篇
- 著者
- 太宰治
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波文庫
- 書籍発売日
- 1988.05.16
- Reader Store発売日
- 2017.01.26
- ファイルサイズ
- 1.8MB
- ページ数
- 218ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (55件のレビュー)
-
最低な男である。いつも人の顔色を伺っているくせに、自分に好意的な人の気持ちは踏みにじる。他人が自分を受け入れてくれないと傷つくのに、自分は他人を受け入れようとはしない。自分から社会に背を向けておいて、…社会から拒否されたと言って嘆く。自分の感情にばかり気をとられて、他人の感情を思いやるゆとりがない。自分のことしか考えられない、情死の相手の名前すら覚えていない、そんな男。
そんな男の告白を、他人事だと切り捨てることができないのは何故だろう。実在したらとても付き合いきれないはずのこの男に、惹かれてしまうのは何故だろう。一人の弱い男が転落していくだけの話なのに、そこに祈りを見てしまうのは何故だろう。
私の中にも、彼の持つ「非合法」な何かがあるからだろうか? それとも、私は所詮「合法」の人間で、彼――というより、作者・太宰の、血を吐くようなお道化のサーヴィスを、憐れむふりをして楽しんでいるだけなのだろうか? 安全地帯から彼を見下ろして、こんな駄目人間でなくて良かったと、胸をなでおろしているにすぎないのだろうか? そもそも、この告白はどれが事実でどれが創作なのか、どこまでが本心でどこからが演技なのか?
とにかく無数の「?」が頭に浮かび上がる。ある場面では主人公の駄目っぷりにイライラさせられながら、別の場面では「その通りだ!」と一緒に叫びたくなってしまう。読んでいて、こんなに心を掻き乱される小説は、そう多くない。しかも、どうしようもなく泥沼な心理状態を描いているのに、文章としては圧倒的に美しいのだから不思議だ。
さらに、肝要な点が語られていないのも不思議だ。なぜ主人公がかくも執拗な対人恐怖に苛まれることになったのか、父との確執や幼少時の性的虐待に鍵がありそうなのだが、それらについては不自然なほど僅かにしか語られていない。書かなかったのか、書けなかったのか。赤裸々に告白しているようでいて、核心に触れることは決して許さない、そんなミステリアスな所にも惹かれてしまう理由があるのかもしれない。
物語の終盤に主人公が達した、「ただ、一さいは過ぎて行きます」という心境は、絶望なのか、それとも救済なのか。それは読者が自分で判断するしかない。この作品は太宰の事実上の遺稿だというが、ここまで人生を捧げなければ人々の心を震わせる傑作は書けないのだとしたら、文学とはなんと激しく凄まじいものなんだろうと改めて思う。それはともかくこの作品は、極めて技巧的な優れた小説でありながら、小説という枠を超えた特殊な代物であるように、私には感じられた。続きを読む投稿日:2011.06.12
主人公、「女達者」で「卑猥で不名誉な雰囲気」を漂わせているので、出会う女全てモノにしていくのだが、後半はもう女と出逢ったら過程とかすっ飛ばしてページめくったら同棲してるの面白すぎる
読者を死に誘うよ…うな魔力は感じられなかった続きを読む投稿日:2023.12.03
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