日本とドイツ ふたつの「戦後」
熊谷徹(著)
/集英社新書
作品情報
日本とドイツは、物づくり大国・貿易立国として、ともに戦後めざましい復興を遂げた。だが戦後70年経った今、日独間には大きな違いが生じている。ドイツは高い競争力を背景にEUを牽引し、欧州のリーダーとなった。一方、日本は競争力を失い、貿易赤字が拡大、周辺国との関係も悪化して、原発事故以降のエネルギー政策も迷走状態にある。本書では、在ドイツ25年のジャーナリストの視点で、両国の歴史認識・経済・エネルギー政策などを論考。ドイツの戦後の歩みを知ることで日本が今後重視すべき問題を浮き彫りにする。【目次】まえがき/第一章 イスラム過激派の脅威とドイツ/第二章 ドイツ人はどのように過去と対決しているのか/第三章 歴史リスクを重視するドイツ、軽視する日本/第四章 ドイツ経済の奇跡/第五章 日独エネルギー政策の違い/日本への提言――あとがきにかえて
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商品情報
- シリーズ
- 日本とドイツ ふたつの「戦後」
- 著者
- 熊谷徹
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2015.07.22
- Reader Store発売日
- 2015.09.25
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (5件のレビュー)
-
先の大戦の敗戦国。敗戦後は戦勝国による裁判で戦犯が裁かれた。
戦後は産業を基盤に復興を遂げ、アジアとヨーロッパで経済大国と
なった。
日本とドイツの共通点である。しかし、それぞれの国の在り方は…
大きく異なる。ナチスという過去の汚点に今でも向き合い、歴史的に
犬猿の仲であったフランスはじめ周辺諸国と良好な関係を築き、
実質EUのリーダーとなったドイツ。
先の大戦中の罪を中国・韓国から攻め続けられているのに、国会
議員が積極的に戦犯を祀る靖国神社に参拝し、日本国首相である
安倍晋三は「未来志向の日韓関係」とか言っている。それは過去は
なかったことにしてこれからを考えましょうとってことなのか。
本書は歴史認識・エネルギー政策等、在ドイツ25年の著者が両国
の違いを解説している。国外から祖国を眺める視点は大切だとは
思う。だが、少々ドイツびいきになっているようにも感じるんだよね。
ただ、過去は過去、今は今とい日本の姿勢にも問題があることは
分かる。従軍慰安婦問題にしたって朝日新聞が長年誤報を放置
してきたからってまるっきりなかったことではないし、南京虐殺に
しても人数の問題ではなく戦闘員ではない一般市民を殺害した
ことに変わりはないんだよな。
まるっきりドイツの真似をしろとは思わないが、過去と対峙せずして
未来はないと思うんだけどどうなんだろうか。
尚、個人的に興味深かったのはドイツのメディアの在り方だ。公共
放送にしても政府の思惑を忖度しないっていいなぁ。要はドイツ版
NHKみたいな存在だよね。日本のNHKなんて自民党の御用メディア
になっちゃってるもんな。
尚、日本でも遅まきながら民間では過去に対峙する姿勢が出て
来た。今年、2015年に三菱マテリアルが中国人強制労働者に
対する賠償の意向を明らかにした。民間とは言え、一歩前進
なのだと思いたい。
「若者たちが過去のことについて無関心になるのは、当然のことだ。
彼らが、前の世代の犯罪について、重荷を背負わされることを拒否
するのは、ごく当然のことだ。若者たちには、父親や祖父がしたこと
について、責任はない。しかし彼らは同時に、自国の歴史の流れ
から外へ出ることは出来ないということも知るべきだ。そして若者
は、ドイツの歴史の美しい部分だけではなく、暗い部分についても
勉強しなくてはならない。それは、他の国の人々が、我々ドイツ人を
厳しく見る理由を知るためだ。そしてドイツ人は、過去の問題から
目をそむけるのはなく、たとえ不快で困難なものであっても、歴史
を自分自身につきつけていかなくてはならないのだ」
1989年に行われたヴィリー・ブラント元首相への著者のインタビュー
からの引用である。
安倍晋三にはまったく期待してないけど、将来、日本にもこんなこと
が言える政治家が出て来るだろうか。う~ん…。続きを読む投稿日:2017.08.21
【由来】
・図書館の新書アラート
【期待したもの】
・
※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【…要約】
・
【ノート】
・
【目次】続きを読む投稿日:2018.10.28
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