沖縄戦いまだ終わらず
佐野眞一(著)
/集英社文庫
作品情報
戦後70年の沈黙を破って、孤児たちが“あの夏”の辛く哀しい記憶を語り始めた。だが、オスプレイ、米軍基地、集団レイプ・・・・・・沖縄の現状はあの頃と変わっていない。沖縄の叫びはなぜ本土に届かないのか。『僕の島は戦場だった』を改題し、米軍普天間基地の辺野古移設問題が争点だった2014年県知事選挙の原稿を加え、今なお続く“沖縄戦”に迫る。現代日本の歪みを暴く渾身のルポルタージュ。
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商品情報
- シリーズ
- 沖縄戦いまだ終わらず
- 著者
- 佐野眞一
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文庫
- 書籍発売日
- 2015.05.25
- Reader Store発売日
- 2015.07.17
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 416ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (5件のレビュー)
-
著者の佐野眞一氏の作品は前作の「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史(上)(下)」をも読んだが、この作品もノンフィクション作家である佐野氏の真骨頂の一冊である。
第1章から第5章までは戦中から戦後の…詳細な調査とインタビュー等をとおして孤児たちのその後から集団自決の真実などを細かく調査し、最後の第6章では「沖縄の民意はなぜ日本に届かないのか。」として2014年の沖縄知事選の様子とその後の日本の対応について、現在日本の歪みを伝える。続きを読む投稿日:2015.07.10
日本にとってアメリカは「宗主国」、沖縄は「植民地」、この言葉が深く頭に残る。まもなく沖縄戦が終結した6月23日を迎えることもあって読み直した。
本書を読まずとも沖縄が太平洋戦争終結後も基地問題や在日米…軍による集団レイプ事件、そしてオスプレイ大学校内への墜落事故など沖縄には真の戦後が訪れていない状況を多くの人が理解している。それと同時に中国の台湾や尖閣諸島、南シナ海への対外強行姿勢を目の当たりにし、日米安保、米国の庇護・抑止力なしに平和の均衡が保たれないリスクも理解している。未だ戦後の訪れない沖縄について、誰も明確な答えは出せないのではないだろうか。
本書はノンフィクション作家である筆者の沖縄戦に始まる様々な傷を負った当事者たちへのインタビューによって構成される。
現状の沖縄経済の基地依存度は低いとは言うものの、それに頼らざるを得ない人々。自ら意思表示できない様な0歳児すら、準軍属扱いにし靖国に祀るとともに遺族年金をばら撒く国と基地のあり方。集団自決に追い込まれ、家族にすら手をかけても「生き延びてしまった」人々の苦しみ。戦争で身寄りを失い、戦後もアメリカ軍のゴミの山を漁らざるを得ない戦争孤児たち。その孤児院での生活と孤独に苛まれるその後の人生。
それら様々な傷を負った人々に直接インタビューした数は膨大な量に及んでいる。特に自決の中から生き延びることのできた人々を近年まで癒えないPTSDなど、その心に負った傷は深く生々しいものだ。多くの書籍でそうした沖縄県民の悲惨さを読んできたが、本書の多くの声からは再び胸の辺りを掻きむしる様な、胃液が昇ってくるような惨状を思い起こさせる。
なぜ人と人がこれ程までに闘い、そして身内を手にかける程に残酷になれるのか。子を想い親を想い兄弟姉妹を想い、再びあの世で逢おうと約束して散っていく人々。その魂は靖国にいるのか、それとも沖縄の地の底にまだ埋まっているのか。
平和な時代に生まれながらも、未だ危険と隣り合わせ、国内の基地のほとんどを抱えた沖縄。冒頭に書いた「植民地」と言う言葉が頭から離れない。
本書最終章では英国とスコットランド間に見られる独立闘争の歴史にも触れる。日本国民として沖縄が離れていくのは見たくないが、そうした現実に触れて生きる沖縄県民が総意として独立を望んだ時、自分は反対できるだろうか。
今まさに緊迫する世界情勢を見ながら、沖縄と言うかつて琉球王国と呼ばれた場所を想いながら深く考えさせられる書籍だ。続きを読む投稿日:2023.06.18
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