資本主義の終焉と歴史の危機
水野和夫(著)
/集英社新書
作品情報
資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。16世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。500年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは? 異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、システムを構築するための画期的な書!【目次】はじめに――資本主義が死ぬとき/第一章 資本主義の延命策でかえって苦しむアメリカ/第二章 新興国の近代化がもたらすパラドックス/第三章 日本の未来をつくる脱成長モデル/第四章 西欧の終焉/第五章 資本主義はいかにして終わるのか/おわりに――豊かさを取り戻すために
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商品情報
- シリーズ
- 資本主義の終焉と歴史の危機
- 著者
- 水野和夫
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2014.03.19
- Reader Store発売日
- 2014.08.29
- ファイルサイズ
- 2MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (196件のレビュー)
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資本主義の限界とは何か
トマ・ピケティが「21世紀の資本」を著し、資本家に富が集中し、貧富の格差が増大することに一定の理由が示されました。
「21世紀の資本」は大部でありながら日本では広く受け入れられ、経済誌などでは多くの特…集が組まれています。
本書もピケティと同じく、資本主義の限界を指摘し、近代以降の資本主義に変わる新たな経済・社会・国家のシステムを構築する必要を論じています。
自分自身、働く人の立場として、労働の対価としての付加価値の再分配が適切になされず、十分に報われていないと感じることがあります。
日本の労働組合や左派政党などは、経営者を労働者に敵対する立場に置き、労働者に還元すべき利益を不当に得ていると批判していますが、自分自身はこの認識は古く、過去の遺物だと考えています。
現在は経営者と投資家が分離し、経営に積極的に口出しする「物言う株主」も多くなっています。彼らの中には目先の自分達の利益のために行動しており、企業の利益を根こそぎ奪い、経営を壊すことも憚らないものもいます。投資先が壊れる前に、持ち株を売り抜ければいいとでも思っているのでしょう。
現在は、経営者と労働者は同じ側に立ち、投資家の横暴から企業と雇用を守るべきなのです。
投資家の横暴が投資先を壊すこの構図こそが、資本主義の限界を象徴していると感じます。
とくに近年の新自由主義は「資本主義原理主義」とも思っているのですが、投資家の横暴を許すどころか、積極的に容認、後押しするようなところがあります。
ピケティの「21世紀の資本」が指摘するところ、そしてマルクスの「資本論」が100年前に危惧したところも、新自由主義のなれの果てに行き着くのではないでしょうか。
本書の最後では資本主義が崩壊することを前提に、その先にあるべき社会システムを検討しています。
資本主義にて市場が成長するには新しい市場が必要ですが、現代はその市場が飽和して新しい市場がなくなったため、資本主義が成立する条件が失われたとしています。その上で、成長しない市場の中での定常的、持続的な社会システムが求められるとあります。
しかしそのような社会は、誰も過剰な利益を求めない社会、言い換えれば抜け駆けを許さない社会となり、非常に息苦しいものになってしまいそうです。
著者が求めるところは、社会システムにとってあるべき姿なのでしょうか。
私たちに突きつけられた究極の課題でもありますが、常にこの課題について検討し続けていくことが、資本主義の暴走を防ぐ方法であろうと考えます。続きを読む投稿日:2015.02.07
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【オススメ】事実を淡々と整理しています。そしてActionを起こすのはあなたです。
トマ・ピケティの「21世紀の資本」に取り組む前に読んでおくと良い本です。
あちこちに綻びが目についてきた現状の裏側を丁寧に解説してくれます。
まもなく、次に何かが起こる事は明確に示してくれますが、それ…が何なのか?そして、何をするべきなのかについては著者は語っていません。それはあなたの問題です。
物事の見方が少し変わる本です。続きを読む投稿日:2015.12.05
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