ドキュメント 謎の海底サメ王国
NHKスペシャル深海プロジェクト取材班(著)
,坂元志歩(著)
/光文社新書
作品情報
2009年、メガマウスをはじめ幻の深海ザメを撮影するプロジェクトがスタート。エサでおびき寄せることができないメガマウスを、どうやって撮るのか? メガマウスだけではない。ミツクリザメ、ラブカ、オンデンザメ、カグラザメ、ユメザメなど、希少な深海ザメを撮るには? 好視聴率を記録した「NHKスペシャル 謎の海底サメ王国」の公式ドキュメント。深海生物の神秘と謎に迫る科学ノンフィクションとしても楽しめる一冊。
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商品情報
- シリーズ
- ドキュメント 謎の海底サメ王国
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2014.07.01
- Reader Store発売日
- 2014.08.22
- ファイルサイズ
- 11.6MB
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この作品のレビュー
平均 4.5 (4件のレビュー)
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ダイオウイカの裏プロジェクト
一昨年の夏、一大ブームになったダイオウイカの裏でNHK深海班はもうひとつのドキュメントを追っていた。それが海底サメ王国。ダイオウイカチームはディープローダーとトライトンという2台の潜水艇を問題なく使っ…ていたがそれもこのシャーク団(イカ班に対する深海ザメチームの愛称)が熱海沖で不具合を出し尽くしたからだった。このスフィアと呼ばれる分厚いアクリル性の球体を持つ潜水艇はしんかい2000のような鉄球と違い深く潜っても全然寒くならない。パイロットなどは半袖・半ズボンですますと言う快適さに加え340度の視界、乗ってみたいものだ。
世界で生息しているサメ約500種の内これまでに人を襲ったとされているのが30種、深海性のサメは250種を越えるがそもそも人との接点がない。例えば巨大な頭と口を持つメガマウスが初めて見つかったのは1976年のハワイ、発見例は50例ほどしかない。幻のダイオウイカでも700例近い報告があり最近ではとうとうスルメにされてしまったと言うのに。
ミツクリザメ別名ゴブリン・シャークは長く飛び出た鼻先が特徴的だがそこまではまあサメだ。しかし獲物に食いつく際にあごが外れて口の中から上下のあごが飛び出す。この姿がガメラと対決する深海怪獣ジグラ(いたなあ)のモデルとなった。1985年当時世界でわずか33個体の発見だったミツクリザメだがある漁師が1年で125体を捕えていた。場所は富津市金谷漁港沖、浦賀水道の入り口からつながる東京海底谷という沖合5km、水深300mほどのところだ。「サメはアゴをはずすことで、多様化し、広がることが出来たと考えています。」ラブカのような古いサメは普通の魚のようにしか開かないがアゴをはずして一気に水を飲み込むことで泳がなくても生きられる仲間が生まれた。JAWSことホホジロザメ口を前に出して噛み付くことができるらしい。また、進化の過程の中でサメはカルシウムを歯とウロコに集め、脊椎は軟骨で良しとした。鮫肌が歯の起源だそうだ。パンゲア大陸が分裂し深海が生まれると一部の魚は深海に適応し、それを追ったサメの一部も深海へと移動した。
2011年1月三重県尾鷲でメガマウスが見つかったと連絡が入った。国内最大級の九鬼の定置網にかかったのだ。シャーク団は5時間雪の中でメガマウスを追ったが撮影はなかなか上手くいかずカメラの前に突然現れては消える。そして翌朝サメは姿を消していた。NHKの岩崎(ダイオウイカにも登場)はJAMSTECの藤原博士と共同で座礁したマッコウクジラの遺骸を海に沈めて深海ザメを撮るプロジェクトを温めていたが震災のため実施は12年6月にずれ込んだ。母船と潜水艇は熱海沖から小笠原でのダイオウイカ撮影へと回され、その後も予定がびっしり詰まっている。結果としてはほぼ一発勝負の撮影でしかもその期間中に2度の台風がやってきた。
それにしても体重1tのクジラをどうやって運ぶかと言うと遺骸とあっさりしている。「ああ、大丈夫です。うちはクジラ、得意ですから。ゾウもキリンも運んでますし」その産廃関係の運送業者は運転手一人でさっさとクジラを運んでいった。座礁したクジラをクレーンで吊って海に戻すマニュアルが水産庁から発行されるほど日本ではクジラが座礁しているのだ。
6月6日クジラ投下予定日になってもディープローバーは壊れ、トライトンにはカメラがついていない。8日今日も無理と言うのに母船の会社は潜水艇スケジュールから今日中に投下しろと言いだす。台風が近づいてきたのだ、解凍したクジラの腐敗も始まりだし決行が決まった。母船はクジラの位置を特定できないが藤原は過去の経験からパイロットに指示を出し、最初は母船の支持を守っていたパイロットもとうとう藤原に従った。ようやく見つけたクジラはダンスをしている。全長6mはあろうかと言うカグラザメが噛み付いて引きずろうとしていたのだ。このサメは獲物に食いつくと眼がいわゆる白目にひっくりかわり極めて人相が悪い。しかし先に潜水艇がいれば現れないことが後にわかりここで遭遇できたのは奇跡のタイミングだった。もう一人のカメラマン高野は海があれ撮影が延期になり潜れば潜ったでクジラが見つからない。サメを探す以前にクジラがどこにいるかわからない。藤原が乗った時だけクジラを見つけられたと言う実態だった。苦労はしたがメガマウス、ラブカなどの撮影にも成功し、セッティングのできた潜水艇は小笠原での泳ぐダイオウイカの撮影に成功することになる。
北の海は栄養にあふれ生物量は多いが多様性は少ない、一方貧栄養のサンゴ礁ではニッチにあわせて生物相が多様化する。深海もそうだ。それにしても深海に適応したメガマウスは1tの身体をわずか20gの脳で操っていると言う。ホホジロザメと同じネズミザメ目ながら食べるのは桜海老。口の中が蛍光に光る続きを読む投稿日:2015.03.05
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海底のサメ王国
NHKスペシャルで放送された番組の製作過程の本だよ。番組自体観てたけど、映像は凄いのばかり。ミツクリザメ、ラブカ、メガマウス等を映像に収める為の苦労や工夫の日々を追ってるよ。主に鯨肉を海底に沈めるミッ…ションとメガマウスの補食シーンの2つについて紙面を割いてる。番組を観てたので、なるほどと云う感じで読めたよ。観てない人でも、自然番組を作る裏側的な事が分かるので面白いかと。続きを読む
投稿日:2019.12.21
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