プロフェッショナル 仕事の流儀 奥山清行 カーデザイナー 新しいものは「衝突」から生まれる
茂木健一郎(編)
,NHK「プロフェッショナル」制作班(編)
/NHK出版
作品情報
時代の最前線にいる「プロフェッショナル」はどのように発想し、斬新な仕事を切り開いているのか。どんな試行錯誤を経て、成功をつかんだのか。時代をどのように見つめ、次に進んでいこうとしているのか。NHKの人気番組 『プロフェッショナル 仕事の流儀』より、本気で「仕事」を考え、取り組もうとするすべての人にお届けする、待望の電子書籍シリーズ!
■世界最先端の「戦場」で闘う男 奥山清行(ベンチャー企業経営者)
新しいものは「衝突」から生まれる
ドイツ、アメリカ、イタリアなどで、誰もが憧れる車のデザインを手がけてきた奥山清行。トリノの名門デザインスタジオで、イタリア人以外では初めてデザイン部門の最高責任者を務める奥山は、精鋭ぞろいの部下達に正面からぶつかり、衝突しながらもギリギリまで追い込んで最高のデザインを引き出していく。弱肉強食のデザイナーの世界を生き抜き、「たった一枚のデザイン」を求めて走り続ける、そのエネルギッシュな仕事ぶりに迫る。
奥山清行(おくやま・きよゆき)
1959年 山形県生まれ/1982年 武蔵野美術大学卒業/1985年 アート・センター・カレッジ・オブ・デザイン(米)卒業 卒業後、『GM』(米)、『ポルシェ』(独)でチーフデザイナーを務める/1995年 『ピニンファリーナ』(伊)入社/1998年 『ピニンファリーナ』でチーフデザイナーを務める/2002年 「エンツォフェラーリ」発表 『山形工房』代表/2004年 『ピニンファリーナ』でデザインディレクターを務める/2006年 個人事務所設立
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この作品のレビュー
平均 4.1 (12件のレビュー)
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奥山清行、羽生善治、および徳日本料理、京都嵐山吉兆の3代目である得岡邦夫の3人がフィーチャーされている。特に、自分が敬愛している、奥山、羽生の両氏が一緒に掲載されているところがうれしいが、本書ではこれ…まで幾つか読んだ著作には書かれていないエピソードや、これまでと異なる視点での考え方が載っている事だ。
奥山清行氏は、デザイナーとしてのキャリアを紹介されることが多いが、実際はデザイナーを束ねる管理職としての仕事も多かったのが分かる。プライドが高く個性の強い一流のデザイナー達を束ねて結果を出すのは相当な苦労があったということが伺える。当時の自分自身のことを、猛獣使いと形容しているのもうなずける。当時は、通勤する途中で、仮面を一つ付けるような思いで仕事に向かったという。それほど、心理的なプレッシャーやストレスとの闘いでも会ったということであろう。
そして、既によく知られているエンツィオ・フェラーリのデザインを作り上げた15分の話は、本人曰く15分ではあるけれども、それまでの何年もの経験という積み重ねがあったからこそ、いざというその時にそれが発揮できたということである。当然であろう。
次に、羽生善治氏。
本人は、30代を迎えて大きく変わったという。
「玲瓏」(れいろう)という言葉を思い浮かべるという。透き通り、曇のない様という意味である。
20代の頃の抜群の記憶力や反射神経も衰える中、個々の手を読むのではなく、大局を見極めるという、まさしく大局観が大事であるということに気がついたそうだ。今わ攻め時、今は守り時という、いわば流れというものが勝負を分けるということだ。直感を信じる、ということも書かれているが、これも過去の蓄積があるからこそそれが生きるということだ。前述の奥山氏の15分の件とダブルのは偶然ではないだろう。
本書の発行時点で35歳ということは自分と同学年。あまりにも遠い存在ではあるが、分かるような気がする。羽生氏は、インタビュアーの茂木健一郎氏の質問、「プレースタイル」は意識しているのかという問に対して明快に答える。「将棋の世界、戦術は変化するものである。それに対して自分が合わせているという感じがします。」ダーウィンの進化論かの如く、生き残るものの条件は、ここでも普遍である。
○プロフェッショナルとは
・「今日のためじゃなくて、本当に明日のために仕事ができる人。自分のためじゃなくて、人のために仕事ができる人。だから、『明日の人』のために仕事ができる人だと思うんです」(奥山清行)
・「揺るぎない人。変わらないというか、核があるというか、信念があるというか、誇りがあるというか。つまり本当に大事にしているものを守りつづけている、信じつづけているということ」(羽生善治)
・「プロフェッショナルだから、結果を出さないとダメですね。まず、結果を出すために、結果を出すまで諦めない人」(徳岡邦夫)続きを読む投稿日:2018.10.08
第七巻では、「プロ将棋会の第一人者、羽生」、「エンツォ・フェラーリのデザイナー」、「吉兆の三代目」のインタビュー。六巻の小ぶりなメンバーに比べなかなか豪華な面々で、読み応えあり。特に、羽生の思考方法に…関しては、私自身が非常に興味を持っていることもあり、とても面白く読めた。生涯通算勝率7割(1000局以上指してます)を越える羽生でさえ、「将棋を読むことに苦痛を感じることがある」ということは参考になった。私ごときがプログラムを書いていて、ストレスを感じることがあるのはしかたない。続きを読む
投稿日:2018.10.23
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