七十二時間、集中しなさい。 -父・丹下健三から教わったこと
丹下憲孝(著)
/講談社
作品情報
昭和の大建築家は、どんな父親だったのか?――広島平和記念公園、国立代々木競技場、東京都新庁舎、赤坂プリンスホテル新館、草月会館、東京カテドラル聖マリア大聖堂、フジテレビ本社ビル……。時を超越する壮大な建築のアイデアは、いったいどこから生まれてきたのか。父親として、師として、時間を共有してきた著者だけが知る「巨人」の素顔。
●父はあまり口数の多い人ではなかった。しかし、私の心に刻まれている言葉は、いくつもある。なかでも、一番印象深いのは、「七十二時間、集中しなさい」 七十二時間とは、三日間である。寝ている間も集中するのかと、ききたくなる。実際にたずねたことはないが、父は、「もちろん」と、こたえるだろう。
父は、いつも飄々とし、浮き世離れした空気を漂わせていた。その一方で、何か口にすると、周囲にピリッとした緊張が走ることもあった。父が、そうした様子だったのも、頭の中で四六時中アイデアを煮詰めていたからだろう。(中略)
正直なところ、七十二時間も集中し続ける自信は、不肖な息子の私にはない。しかし、父の大きな業績は、集中力の積み重ねからなっていることを、私はよく知っている。私もまた、一時間でも長く集中し、アイデアを練り上げようと思う。そうすることが、少しでも父に近づくことなのだから。――<「はじめに」より>
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商品情報
- 著者
- 丹下憲孝
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 講談社
- 書籍発売日
- 2011.02.10
- Reader Store発売日
- 2023.11.24
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 2.5 (3件のレビュー)
-
「万事きれいでなければならない」
存在が偉大すぎるカリスマ的な父親を持つと苦労も多いだろうがそのような記述はなかった
父親のことを大好きて尊敬していたんだという事がよく伝わってくる
投稿日:2020.08.27
このレビューはネタバレを含みます
情報はいい、書き方は二世の嘆き、身売り、父の名を借りて、少しでも有名になりたい、僕がいるって気づいて!!に聞こえてしまう点が、よく言って残念、悪くいうと・・・。端々に、同じ見苦し表現を使いすぎて(それ…は残念にも、欧米では普通の文法と思うし、いうべきことだというのも理解した上で)、うざい。
レビューの続きを読む
ここは日本で、日本語で日本で本を出しているので、日本ではそれは言葉には出さない、出しても本で1回、っていうのを知って書いて欲しい。それを、reminderですよと言わんばかりに本中に書いてある。
僕は息子。ここが父の作品の評価されている所以(素敵なところ、ではなく)、そして僕らも及ばずながらこんな事をしているし、見て、業績もあるし、いけてるって自分では思ってるよ!(がんばっています、ではなく)。いや、ちょっとうざすぎでしょ・・・客観的な評価でもなく、自分の評価を描いた上で・・・うわぁ痛い。いや、本当に英語の本だったら、スラスラ読むんだけど、難しいね。
★:すごく良い
☆:仕事に活きるかも
・☆国際人と言われることが多いが、誰よりも強く日本人としての誇りを持っていた。父は、郷土愛が、強いのだ。最近、グローバルとローカルを合わせて、グローカルということが言われたりするが、それに先駆ける。
・息子は高校からジュネーブ留学(宿舎)
・(田中角栄の秘書の言葉)男というのは、父親をちゃんと送り出せるか(天界に)どうかで決まるんだよ
・手術に行くたびに「じゃあ、行って来るね」と微笑む。言って来るねという事は、帰ってくるというのを含み、家族を励ます意味の言葉。送り出す方も、にこやかに行ってらっしゃいという。
・母は、健康や精神的苦痛へのいたわりを、父は、自立や生き方を心配する(もの)。
・☆仕事に明け暮れていた父にとって、服は唯一の趣味。海外で仕事があると、生地を買ってきて、壱番館(銀座)で仕立てたりした。
・“兄妹の様に親しく付き合わせていただいているxxさん” ←この言い方とてもいい!
・大変光栄でした。丹下先生の最期の身支度をさせていただいたのですから。
・☆私は、自分の力だけで男になれたのではない。他の人たちが、大勢、私に力を貸してくれたのである。
・☆ただし、いくら忙しいと言っても、食事は一緒にする事が多かった。
・食べたくないものは食べない。シンガポールの屋台での朝食は自分だけホテルに残ってホテルで朝からスーツにネクタイをしめてスパニッシュオムレツを食べたりした。
・☆部屋にいるときはパジャマなのに、外に出るときはスーツ。カジュアルルックの様な中間がなかった。
・頭に年中建築の事しかない父は、どこか浮世離れしたところがあった。
・「女は美人でなければならない。気立てなど問題ではない。女の気立てなど、男が作るものだから」*気立て=心の持ち方、性質、気質。優しい、周りへの気配り、など。
・ものすごく几帳面で、机の上にはいつも何もない。何かあると仕事ができない。新しく入った人には、ホッチキスの止め方を教えるところから始まった。
・★怒り出すと、口をきかないし、食事もとらない。しかし24時間が過ぎると、タイマーが切れる様に、けろっとする。そして「じゃあ、元気で」とニコニコしながら送り出したりする。と言っても、怒ったり不機嫌なのは、生活の1%で、99%は穏やかでニコニコ過ごしたり、静かに本を読んだりしていた。普通の読書だけでなく、勉強している事も多かった。
・完璧主人で、東大の講義は準備が出来ないと休講にした。=人にものを教えるのがいかに大変か。
・★「人間は、1つの事を72時間(3日)考え続けられなければダメだ。集中力のない人間など、どうしようもない」と言っていた。何事においても、集中無くしていい結果は得られない。
・★要は、妥協をするなという事だ。父にとって、全てが真剣勝負。勝負するためには、いいアイディアが必要不可欠で、それを絞り出すためには、頭の中で煮詰めなくてはならない、軽い思いつきなど、アイディアとは言えない、長時間考え抜いて、やっと出て来たものこそ、本物のアイディア。期日まで時間がないことなど、父には関係ない。納得のいかないものは、出せない。それだけのことである。
・たまに生じる家庭での不機嫌は、周囲の人間にはよくわからない感情的なものだが、仕事での怒りは、理知的で冷徹なものである。しかし、その底にある、人としての姿勢は等しい。ある基準があり、それを満たしているか、いないか。グレイゾーンは存在しない。
・☆「美しいことは、大切な機能である」美しさが機能とするなら、それは快適さと言い換えることもできる。
・☆評価も、使う人がそれを快適だ、と感じれば、それに勝る評価はない。逆に、見た目がいくら斬新でも、快適でないと感じるなら、厳しい評価を受けたということだ。
・☆僕はゴルフなんかやりませんよ。猫じゃあるまいし、あんな小さなボールを追っかけ回して何が面白いんだか。私は地球という、大きなボールを追いかけて生きているんです。
・(高校野球が好きで)今治の広告が甲子園に出場すると、仕事はそっちのけで、勝ち進む限りテレビで応援する。試合の間は家にいて、事務所にはいかない。全てにおいて、徹底している人だった。
・☆コンペの提出が近づくと、私たちスタッフは、いつも徹夜続きになる。
・「人には全てチャンスは巡ってくる。神様は、誰にでも同じ回数を平等に与えてくれる。それを決して、逃さない様にしなければならない。そのためには、チャンスをつかめる様に努力をし、自分を磨いておかなければならない。私は、その訓練をしていただけなんだ。自分を磨いていると、運が巡って来たときに、それが見える様になる。」つまり、伸びない人は、それと気づかないだけ。これは、集中力がなければ、どうしようもないという父の持論にもつながる。
・★「人生は一度きりなんだから、やりたい事をやればいい。仕事はどんなものであれ、大変だ。そして、本当に好きな事を仕事にしている人など、ごくわずかだ。」
・口癖。
提出させた後に「もう少しやりましょう」という。=話にならない、の意味。
脈があると感じたら「ここからデベロップしてゆきましょう」という。
・対クライアントの必勝法は、ポーカーフェイス。サウジアラビアの国王が、「私はとても質素です。妻は1人しかいないし、ダイニングも、あまり大きくなくて結構です」という。妻は4人まで持てる。「ダイニングは、500人も入れば十分です。」あっけにとられた。
しかしながら、こういう時は、あまり驚いた顔をすべきではないという。いちいち驚いていると、相手に不安を与えてしまうから。そういうことに慣れるには、はやり経験しかない、とも言った。
・お客様の言葉をよく聞きなさい」建築はサービス業。父は30代で建築家としての地位を確立した人。お客様の意向に関しては、とても柔軟だった。予算が合わないと、できるだけ品質を下げずに予算に近づける方法を模索した。実際、仕事を頼みに来るお客様は父の低姿勢に驚き、感動される方が多かった。著名な建築家に依頼する方は、期待の反面、自分の意に沿わないものを押し付けられるのではという恐怖を抱いていることもよくある。建築家はやはりアーティストとしての傾向が強く、はっきりした自分のスタイルを持っている方の場合は、そのようなことも起こりうるのかもしれない。しかし、父に限って、それは皆無といってよかった。
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・続きを読む投稿日:2018.06.03
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