ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか
牧野百恵(著)
/中公新書
作品情報
歴史・文化・社会的に形成される男女の差異=ジェンダー。その差別には近年批判が強く集まる。本書は、実証経済学の成果から就業、教育、歴史、結婚、出産など様々な事柄を取り上げ、格差による影響、解消後の可能性について、国際的視点から描く。議員の女性枠導入=クォータ制が、質の低下より無能な男性議員排除に繫がる、女性への規範が弱い国ほど高学歴女性が出産するなどエビデンスを提示。旧来の慣習や制度を問う。
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商品情報
- シリーズ
- ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか
- 著者
- 牧野百恵
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2023.08.25
- Reader Store発売日
- 2023.08.21
- ファイルサイズ
- 8.3MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (9件のレビュー)
-
ジェンダーによる格差のエビデンスを提示してくれた本。
エビデンスの提示とはこんなに大変なのかと改めて思う。相関関係と因果関係は違う。他の要素を排除した因果関係の証明は難しい。
私たち一般人は、さほど根…拠がなくとも、簡単に統計に惑わされるのだが。
研究者たちの努力に頭が下がる。
こんな困難な検証を経て導き出されたいくつかのエビデンスを積み重ね、出てきた最小限の結論、「クオータ制が質の低い女性議員を当選させるのではなく、無能な男性議員排除に繋がる」というのは、大事にしたいし、この結論に胸がすくようだ。
男性も取れる育児休暇制度導入が男性研究者のキャリアにとってのみ有利に働いたというのも、男性が育児休暇中にいかにちゃんと育児をしていないかがわかり、なるほどとおもった。
岸田首相がリスキリングを勧めたのもこういうカラクリなのね。
お父さんたち、育児休暇中は真面目に育児に専念してねー(笑)続きを読む投稿日:2024.02.05
書いてある内容は、ほぼほぼ納得、ジェンダーに関する議論は、ともすれば、あるべき論や心情論に陥ってしまいがちではないかと思うところ、データできちんと示しているところが本書の特徴、なのかな。
「はじめに」…で中絶の論議が代表例としてあげられているように、主義や心情で議論するのではなく、中絶が非合法の地域・時期と合法化された地域・時期を比較したデータから、誰が不利益を受けて、社会にどのような影響があったのかを明らかにしたうえで、その是非を問う、という視点をもたらしてくれる。
途上国の「婚資」について、その習慣がある場合の方が、女性の教育水準が高い、とか、男性の育休が女性の昇進競争力を下げている場合がある、などについては、特に後者は制度の趣旨を外れた運用が悪い、と言ってしまえばそうなんだけど、現実にそう運用されることもあるという事実をちゃんと認識した上で、どう変えるべきか議論しないと、頭でっかちで誰も幸せにならない結論になってしまいそう。
ジェンダー格差による一方の性の不利益は解消するに越したことはないけれど、その目的は、今不利益で不幸せと感じている人がより幸せを感じられること、そのためには、このようなエビデンスを通じた議論が大切だと感じます。
(うーん、なんだか幼い学生さんが書くような結論で、少々恥ずかしい、、、でも、当たり前のことが大切。うん。)
続きを読む投稿日:2024.03.20
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