日本語の発音はどう変わってきたか 「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅
釘貫亨(著)
/中公新書
作品情報
問題「母とは二度会ったが父とは一度も会わないもの、なーんだ?」(答・くちびる)。この室町時代のなぞなぞから、当時「ハハ」は「ファファ」のように発音されていたことがわかる。では日本語の発音はどのように変化してきたのか。奈良時代には母音が8つあった? 「行」を「コウ」と読んだり「ギョウ」と読んだり、なぜ漢字には複数の音読みがあるのか? 和歌の字余りからわかる古代語の真実とは? 千三百年に及ぶ音声の歴史を辿る。
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商品情報
- 著者
- 釘貫亨
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2023.02.25
- Reader Store発売日
- 2023.02.20
- ファイルサイズ
- 9.6MB
- ページ数
- 264ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (19件のレビュー)
-
奈良時代、サ行とハ行の発音が今とは違っていて、例えば「笹の葉」は「ツァツァノパ」と発音されていたらしい。
そして、ハ行をパ行で発音していたのが、平安時代にはファ行に移っていき、おそらく18世紀はじめま…で、はひふへほの音は「ファフィフフェフォ」と発音されていたらしい。
どうしてそれがわかるのかを、本居宣長の『古事記伝』など様々な文献から繙いていく。
『源氏物語』が書かれた当時、ひらがなは書かれた通りに発音され、(あはれ=アファレなど)今のように書き言葉と話し言葉が乖離していることもなかったらしい。
言葉が増えて1音節の文字数が増えるにつれ、発音はルーズになり、8音あった母音もいくつかが吸収されてなくなっていった。
そういう発音の変遷や、日本ではどうして1つの漢字にあんなにもたくさんの読み方があるのかなども解説があった。
ところどころ何を説明してくれているのかよくわからなくなるところがあったけど、藤原定家や本居宣長が研究したことの内容や意義を知れたし、昔の人は言葉が変わっていくことを知らず昔の写本を間違いだらけと思っていたっぽいのがおもしろかった。
続きを読む投稿日:2023.09.18
新書にして230ページほどの分量だが、8世紀から18世紀の千年以上にわたる日本語の音声変化をたどる好著。当然ながら、変化をたどるためには聞いたこともない当時の音声を「再建」する必要がある。その材料とな…るのが、奈良時代の万葉仮名であり、室町時代のキリシタン文献だった。万葉仮名については漢語音韻学に基づいて精緻な研究が行われ、上代特殊仮名遣、8つの母音の存在、甲類音と乙類音の区別、音節結合の法則などが明らかにされる。こうした複雑な音声や法則は、もともと単語の音節が少なかったことによるものだ。社会情勢の変化は言語情報の必要性を増加させるが、初期の段階では少ない音節に多くの音声を盛り込むことでこれに対応していた。しかし、更に情報が増えると少ない音節では対応しきれなくなり、単語の音節そのものが増えてくる。すると複雑な音声や法則により単語を弁別する必要性が薄れ、母音は減少、甲類音・乙類音の区別は相対化し、音節結合の法則も崩れていった。このような観点から、日本語の音声が具体的にどのような変化を経てきたのか、その変化を先人たちがどのように対自化してきたかを描く。どの言語にも同様の変化は見られると思うが、ひらがなの発明、ひらがなと漢字の混合文体など日本語の特殊性を考察する上でも必須の情報が詰まっている。続きを読む
投稿日:2024.03.29
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