習近平の独裁強化で世界から徹底的に排除され始めた中国
宮崎正弘(著)
/徳間書店
作品情報
2017年10月の中国共産党大会で習近平の独裁体制が確立したが、世界ではますます傲慢になっていく中国への反発が強まっている。各国を取材してきた著者が、第2期習近平体制で起きている中国の大変化と世界の「中国離れ」の現状を解説。今後の中国の行方を分析!
【本書のおもな内容】
◎アフリカでの中国の新植民地主義的なやり方に強まる批判
◎ドイツに中韓のロビー工作員が浸透
◎イギリスで資金とともに消えたチャイナタウン・プロジェクト
◎親中派のパキスタン、ラオス、カンボジアでも拡大する反中意識
◎「中国が北朝鮮を攻撃する」というリアリティ
◎中国金融界が抱える超ど級の核弾頭が世界を破壊する
◎中国のインサイダー情報を握る郭文貴にバノンの影
◎「北朝鮮の核は前座、5年以内に米中戦争が起きる」 ほか
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この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
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シナの現状をキーに、各国、地域を読み解く。
最終的に、日本の選択肢が米国につくかシナに屈従するかしかないという結論に気が滅入る。投稿日:2019.01.04
令和初の夏休みの部屋の片づけで発掘されました、今年(2019)明け早々に読んだことになっています。ここでレビュー書いておかないと、そのままお蔵入りになりそうなので、記録として書いています。
私の勤務…している会社のアジア地区の本社は中国になりました、主力アジア工場も日本から中国に変わりました。中国語も勉強続けているし、中国勤務の知人も沢山いる中で、このような本をアップするのはためらいを感じますが、読書記録のためにも決断に踏み切りました。
ここに書いてある内容について、今後類書を読むなどして、中国の置かれている位置、そして日本やアメリカが置かれている位置も理解していきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・総合的に見てもアメリカ軍は冷戦以後、3分の1以下の規模に縮小、しかも間断なくアフガニスタン、イラクと戦って兵力消耗、年間6000憶ドル使用しながら戦果は思わしくなかった、この疲労を待っていたのが、ロシアと中国であった(p23)
・ヒラリークリントンの犯罪的行為とは、アメリカののウランの20%を扱うエネルギー企業(ウラニウム・ワン)は、巧妙に3つの法的手続きを経て、ロシアの国有企業が買収した(p31)
・トランプが中国を非難せず、習近平を持ち上げた目的は、中国が北朝鮮への影響力を行使する方向へもっていきたかったから、具体的には石油輸出停止、送金業務停止、労働者を帰還させるなど(p38)
・ソ連が崩壊したとき、ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンに分散されていた核兵器を、旧ソ連の中核ロシアが一元管理することが絶対条件であった、アメリカはウクライナに配備されていた核兵器をロシアに移動させた、管理システムコンピュータはアメリカが受け持った(p44)
・2008年の四川省大地震の時には、秘密都市とされた核兵器製造の町が壊滅、核兵器・ウランがあると思われるところにコンクリートを流し込んだ(p44)
・一帯一路に関連する国々で不良債権化の恐れがある中国のの貸付先は、ラオス、カンボジア、パキストン、イラン、ウクライナ、ベルラーシ、それとは無縁であるが、ベネズエラ、アルゼンチン、エクアドル、ナイジェリア、スーダン、アンゴラ、コートジボワールが危ない(p60)
・雄安新区プロジェクトは、総予算38兆4000億円(20年間)で、北京の代替都市を建設するもの、これは上海万博(4576億円)より巨大(p61)
・中国のプロジェクトで頓挫しているのは、メキシコ高速鉄道キャンセル(37.5憶ドル)、ベネズエラ高速鉄道途中放棄、インドネシア高速鉄道の工事遅延、支払い条件再交渉、ロサンゼルス=ラスベガス間の高速鉄道のアメリカのキャンセル、ニカラグア運河の工事中断U(p72)
・シドニーは人口500万人のうち、すでに50万人が中国人で、サンフランシスコ、バンコク、ニューヨークと並ぶチャイナタウンがある、メルボルンにもある(p86)
・2015年末には中国の鉄鋼産業は生産設備の29%が操業停止、銀行が貸し渋りだしたので、地方政府が独自に債権を発行しはじめた、その債務総額は510兆円、日本のGDPに匹敵(p91)
・香港財閥1位、長江実業は、中国国内の物件をすべて売却し、イギリスへの投資を敢行した、さようなら中国の先鞭をつけた(p94)
・中国では、生産コスト・労働コストのほかに別の出費(党幹部への賄賂)が必要なため、安い労働コストも引き合わないほどの高額になる、アメリカで作ったほうが安く上がるという環境変化がある(p98)
・全人代の幹部だけに報告されていた機密文書によれば、2000-2015年までに国有企業、金融、証券、保険業界で極秘に処理された不良債権は20兆元(340兆円)に達するとされていた(p102)
・中国から外国へ流出したカネが3兆ドル(CIAでは4兆ドル)を超していて、手持ち外貨が不足、外国銀行から借りているのが実態である。2017年上半期、中国外国準備高は前年比マイナスを記録、3兆516億ドルとの発表した(p103)
・海外旅行の外貨持ち出し制限、ドル両替の規制、銀聯カードの使用上限設定、海外からの土産に法外な課税、これにより中国人の爆買いは突然死した(p103)
・旧ソ連の経済統計が革命から70年間、まったくの出鱈目だったことは広く知られている、誰も本当のことを把握できなくなって、ソ連は突然死のような終末を迎えた。中国も同じ道を歩んでいる(p105)
・人民元のLC(信用状)であっても、最終的にはドル換算でアメリカやイギリスの銀行で決済されるシステムなのが現状である。アメリカが「最後は銀行を制裁する」となると、ニューヨークで決済不可能となり、中国の貿易は突然死を迎える、これを中国はきちんと認識している(p107)
・中国の消費は不動産投機が主力で、大休消費財の筆頭である車は販売台数が伸び悩んでいる、個人消費はGDPの30%程度(アメリカ65%、日本60%)不動産バブルが破裂したら経済はぺちゃんこになる(p109)
・中国の全国社会保障基金は、国務院の管理下にある、自由世界のようにファンドに委託する制度ではなく、中国共産党が最終的な決定をするので、上海株式暴落のときには2.2兆円の資金を失った。(p123)
・中国経済がもはや発展を望めなくなった最大の根本的原因は、その全体主義独裁制度にある。(p129)
・ロシアから資金が流出しているが、ユーロ建てのロシア債は85%が外国人投資家が購入し、30年債に至っては95%がアメリカファンド筋が購入した(p151)
・中国はサウジアラビアのサウジアラムコの新規上場で大株主になることを目指していて、その目的は人民元建て取引である(p189)
・電気自動車の普及に恐れをなすのは、産油国、アメリカ、ロシアである。主流が電気自動車となれば、石油業界、ガソリン車メーカの半分は倒産する恐れもある(p193)
・アメリカ企業はコンゴにあるコバルト鉱山(世界生産の65%)の経営権を中国に譲渡したのか、電気自動車が主流になると考えていないから(p194)
・次世代の戦争はロボットで決まる、飛行機の無人化、巡航ミサイル技術、AI開発とあいまった武器の命中精度の向上、そして兵士ロボット(p224)
・AIの近未来の恐ろしさを「車=自動運転、医療、兵器」の三分野とみている、小林雅一氏「AIが人間を殺す日」(p227)
・中国全土での工場の増設、道路建設、高速道路などが頭打ちとなり、余剰在庫処分と失業者の海外輸出というのが、じつはAIIBと「一帯一路」の裏の意味である(p253)
2019年8月17日作成続きを読む投稿日:2019.08.17
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