保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主
中村彰彦(著)
/中公新書
作品情報
徳川秀忠の子でありながら、庶子ゆえに嫉妬深い正室於江与の方を怖れて不遇を託っていた正之は、異腹の兄家光に見出されるや、その全幅の信頼を得て、徳川将軍輔弼役として幕府経営を真摯に精励、武断政治から文治主義政治への切換えの立役をつとめた。一方、自藩の支配は優れた人材を登用して領民の生活安定に意を尽くし、藩士にはのちに会津士魂と称される精神教育に力を注ぐ。明治以降、闇に隠された名君の事績を掘り起こす。
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商品情報
- シリーズ
- 保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主
- 著者
- 中村彰彦
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 1995.01.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 2.9MB
- ページ数
- 204ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (12件のレビュー)
-
(2010.07.04読了)(2010.06.15購入)
「天地明察」(冲方丁著)の中で出てきた人物の中で一番魅力的で、重要な人が保科正之ではないでしょうか。渋川春海の人物を見込んで改歴事業を任せた人…物です。
徳川秀忠の息子で、家光の異母弟です。「武断政治を文武政治へと切り替えた立役者であった」(187頁)ということなので、江戸幕府の基礎を築いた人物でもあるということになります。
NHK大河ドラマ「葵 徳川三代」を見た時に保科正之が出てきたような気がします。その時以来ずっと気になっていた人物でもあり、やっと読むことができました。
ただし、この本には、改歴の話も、渋川春海のことも出てきません。関連ある項目は、年譜の中に、「1623年、13歳、このころ幕府碁詰所勤めの安井算知から囲碁を学び」(192頁)と書いてあることぐらいです。
「はじめに」に保科正之の事績が三つあげてあります。
1.「明暦の大火」で焼失した江戸城天守閣の再建より町屋の復旧を優先させたこと。
「思うに天守閣と申すものは、戦国の世の織田信長の建てた安土城に始まると思われるが、これが軍用に多大な利点を発揮した例は史書に見えませぬ。いわば、ただ世間を観望いたすのに便利というだけの代物なれば、さようなものの再建に財力と人力とを費やすよりも、むしろますます町屋の復旧に力を入れるべきでござろう」
2.玉川上水を竣工させ水不足を解消。
玉川上水の開削を発案し、幕閣たちの大反対を押さえこんで竣工させた。
3.国許の会津に「社倉」を設置し凶作に備えた。
米を大量に貯蔵し凶作に備えたために会津藩は凶作の年にもほとんど餓死者を出さず、米不足に陥った近隣諸藩に救済米を与えることができた。
民のために何が大事かを考え実行した人です。政治家や人の上に立つ人々にぜひ見習ってほしい人です。
著者 中村 彰彦
1949年、栃木県栃木市生まれ
東北大学文学部卒業
文藝春秋に勤務
1987年、『明治新選組』で第十回エンタテインメント小説大賞受賞
1991年より執筆活動に専念
1993年、『五左衛門坂の敵討』で第一回中山義秀文学賞受賞
1994年、『二つの山河』で第111回直木賞受賞
2005年、『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞受賞
(2010年7月7日・記)続きを読む投稿日:2010.07.07
著者は保科正之に惚れ込んでいるのだなぁ。
保科正之は確かに政治家として優れた人間かもしれないけれども、彼の素地となった朱子学なるものこそなかなかの代物なのではなかろうか。
会津が悲しき歴史を背負う…こととなり、正当な評価を受けることなく、歴史の影に葬られようとし、そこから著者のような人間が事実を掘り起こし、会津の素晴らしさを伝えてくれることに感謝はするが、ちょっと主観が強い気がするし、根拠も弱いかなと思った次第である。
ただ、現代にはもはや絶滅危惧種となってしまった、真の意味での政治家であったことは、政策から伺えたのは良かった。
もう少し、会津の勉強しよ。続きを読む投稿日:2023.05.30
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