サンフレッチェ広島を愛するサッカー好きさんのレビュー
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モダンタイムス(下)
伊坂幸太郎 / 講談社文庫
この世界の姿
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陰謀、謀略、それらのものが単純にある特定の人物によるものならまだ楽だった。ぼくらの世界は往々にして往々にして目に見えないものによって動かされてる。もはやこれは現代社会を生きるにおいて避けては通れないも…のだった。
誰もが歯車の一つとなってしまうとその行く先で何が行われてるのか知る由もない。一体世の中はいつからこうなったんだろう。そういう不可解さから解放されたいならもはや未開人のような暮らしをするしかないのではなかろうか。
ぶつけることのできない怒りや悲しみ。最後にほんの少しの復讐をしたもののそれは単に関係ない第3者を困らせるだけの行為になった。普段生きてるこの世界はそんな仕組みにぼくらは踊らされてるというのに気付くことだろう。 続きを読む投稿日:2014.09.12
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FOOTBALL FICTIONS 偉大なるマントーバ
西部謙司 / 東邦出版
秀逸ゆえの哀しさ
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サッカーの戦術などの著書で興味深い執筆の多い筆者によるフィクション。その内容はどれも秀逸でありながらそれが逆にこの作品を疎遠にさせてるようにも思える。サッカーに興味のない人には無関心とされサッカーを嗜…好する者には所詮フィクションというレッテルを貼られる。その為、この作品に入る為には高いハードルがあるのではなかろうか。
しかし、それでも読後は幸福感に満たされた。作り話と言ってしまえばそれまでだがなぜそうなってしまうのだろう。それはここにはサッカーを愛する者の願望があるからだ。心温まる話、愛情溢れる話がサッカーにリンクされてるとこに一つのボールを蹴り合うサッカーという競技の可能性を改めて感じた。それ故にサッカーに興味を示さない人にとってやはり手に取ってもらえないという一抹の寂しさもあった。
どれも良いストーリーであるが故に、ある意味サッカーライターの限界をこの作品によって認識させられた気がするのだった。 続きを読む投稿日:2014.05.09
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沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-
山崎豊子 / 新潮文庫
出世する人間、出世しない人間
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清く、正しく生きていれば報われる。
そんなことを愚直に信じていたとしたら、
もしくはそれを意識せずともそのように行動する者がいたとしたら。
それは理想でありながらも忘れてはいけない言葉がある。
正直者…がバカを見る。
大手航空会社で繰り広げられるこの小説にはそんな皮肉めいた現実がうごめく。
結局人間は損得でしか動かないものなのか。
そんな世の中の矛盾との戦いがここにはある。 続きを読む投稿日:2013.11.13
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股旅フットボール
宇都宮徹壱 / 東邦出版
Jクラブの誕生秘話
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すでにこの本で紹介されてるクラブの中にはJリーグ入りを果たしたクラブもあり情報としては古くなってしまってる。だが、そこに至る過程という意味では読むに値するだろう。
日本のトップリーグとして君臨するJリ…ーグであるがそれ自体近年思わしい発展を見せてないとこであえてそれに挑もうと町クラブ。そんな人々の情熱とそれだけではどうにもならない現実。夢と現実の交差の中でなぜに彼らはそこまでクラブの為につくすのか。
興味深く読んだものの作者はこの続編とも言える記事を書くことはあれどこの本の続編としてまとめてくれないのが残念である。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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それをお金で買いますか 市場主義の限界
マイケル・サンデル, 鬼澤忍 / 早川書房
市場主義って一体何なのか
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お金の持つ意味。行き過ぎた市場原理は世の中をおかしくしていった。だがそこに厳然たるルールがある訳でもなく違反を犯してる訳でもない。そんな現代社会において貨幣も持つ意味というのを考える機会になるかもしれ…ない。
道徳、倫理観、ややもすると経済活動からは見失われがちなそれらの価値観は踏み外した時大きな混乱を招くことになる。そして世界がその混乱に向きつつある今一人一人が考えるべき時期にきてるのかもしれない。 続きを読む投稿日:2013.09.25