本の虫 nia-ricoさんのレビュー
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30
このユーザーのレビュー
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ぼくと美しき弁護士の冒険(3)
なるしまゆり / ARIA
物語はクライマックス。美しき弁護士とともに「遺産」を探しに行こう。
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なるしまゆりの作品では、ある個性の長所であり欠損である部分を補完するような個性が運命的に(あるいは意図的に)登場し、用意される。
いや、運命的な出会いとは、恋でも友情でも、成立するものはそのようなもの…なのかもしれない。
なるべくしてなる、あるべくしてある、という存在が、どこかに唯一あるということだろうか。
出会えたから運命なのか、出会えなければこの先出会えるのか。
長所と欠損は、1枚のコインの裏と表のようなもの。
「それ」があるがゆえに存在が成立する。「それ」があるがゆえに存在は不具合がある。
ひとがひとりでは生きていけないとするのなら
補完するのは家族でありパートナーであり友だちだろう。――手をとりあえる。
物語はクライマックス。
美しき弁護士とともに「遺産」を探しに行こう。 続きを読む投稿日:2016.01.19
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BALLAD~バラッド~: 1
なるしまゆり / Comic ZERO-SUM
「蘇生」へのもうひとつのこたえとは?
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なるしまゆりの「蘇生」への、もうひとつのこたえ。『少年魔法士』で人を再生させてはならないと主人公に語らせた作者が、もうひとつの考え方として導き出した物語がここにある。(と、作者はあとがきで作品名を出さ…ない形で語っています)
2巻完結。1巻を読んだ現段階では、まだどこへ辿り着くのかわからない。(しかし、蘇生されたものは塵にもどるだろうという個人的な印象をもった)
謎の美少女という言葉は陳腐だけれど、登場人物のなかで唯一の手掛かりとなる彼女がこれから語るだろう秘密と背景が楽しみ。なるしまゆりの作品では短編の部類に入るだけに、展開が早いことへの期待が高まる。
この作品では、キャラクターの個性というよりもストーリー展開を楽しみたい。
続きを読む投稿日:2016.01.19
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進撃の巨人(13)
諫山創 / 別冊少年マガジン
この巻のラストを待っていた。
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深く一歩踏み込んだ核心に迫る内容になった。この巻を読み飛ばすと辻褄が合わなくなる。すっきりした部分もある。
今までの巨人との戦線が一旦休止され,視線は壁の中に戻る。
そして思い知らされる。壁の中も決…して安全とは限らないのだったということを。
重要人物と認定されたエレンとクリスタ。ふたりの運命や纏わりつく過去の記憶や人物たち。思いがけない…いや,予想していたのかもしれない,この巻のラストのことばを。 続きを読む投稿日:2014.04.16
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ぼくと美しき弁護士の冒険(2)
なるしまゆり / ARIA
「父の遺産」とは,いったい何なのか?
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人に影響を与える能力
そう聞けば,他人を簡単に思い通りにできる。そう考える不貞の輩もいるかもしれない。
しかし,神は与えたもう者には理由があるのだ。
器。器にそぐわない能力は備わることはない。
これ…はフィクションだから,現実にこういった能力をもっている人間はいないだろう。
ある種のカリスマ性は人を動かすだけの力を持っているかもしれない。
けれど,それは超能力でもなんでもなく,魅力的な人柄が他人を魅了する。惹き付けて止まない。それだけのことではないのか。
カリスマ性ゆえに多くの人たちに信仰の如く囲まれてしまった人はかえって孤独を感じるかもしれない。
その人たちを救うことばがここに描かれている。
弁護士・櫻井の人格を掘り下げていく様子に急激に彼に興味が湧いてくる筆致の巧みさ。灯の尋常ならざる冷静沈着さ。…この年齢の少年が,異常な事態の連続にここまで理性を保ちながら平常心で対処できるのは異例中の異例だと作中に入り込んで読んでいるときには気づかない。
それは,もしかしたら,弁護士・櫻井や黒田賀のぶっとんだ性質に由来するかもしれない。
おもしろくなってきた。母と叔父や周辺を巻き込んで謎の父の能力や怪しげな影の正体が明かされていく。2巻のほうがだんぜんおもしろい。2巻ラストまで至ったとき「父の遺産」とは何なのか,がぼんやりと見えてきたように感じられる。
続きを読む投稿日:2014.04.16
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ぼくと美しき弁護士の冒険(1)
なるしまゆり / ARIA
男子高校生が相続したものは?
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へヴィな「ライト・ノベル」読後に読み始めたので,軽妙で洒脱な読みやすい感覚と入りやすさを感じた。
3人のメインメンバーがおもしろい。そして,遺産相続といういかにもミステリにありがちな題材ながら,可笑…しなキャラクターたちと不思議な物件と怪しげな影がチラつく怪しげな気配とを織り交ぜて,いよいよ導入!
なぞの父親,ふしぎな能力? その2つを縦軸に,物件のミステリ解明を横軸に。ふたりの少女と1件目の物件の謎解きをしよう。 続きを読む投稿日:2014.04.15
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ライトノベル(4)
なるしまゆり / ARIA
完結。なるしま節 全開のラスト・スパート!
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おもしろかった! と同時に考えさせられてしまった。
物語の世界と現実世界のリンク。
辻褄あわせなら可能だろうが,後付にほかならない。わたしはそうおもう。
この本を読んでほかの方がどう思うか。語り合い…たい作品。
ファミコンが出たときに親は子どもに悪い影響が出ることを恐れたというし,テレビも2時間以上見せないといわれたという。漫画も禁止されたりしたという。この物語ではライト・ノベルを扱ったわけだが,こたえは本の中から探してほしい。
そして,読んだ君はどう考えるのか? 意見を聞きたい。
テーマは最後まで読んで,たしかめてほしい。
なるしまゆり氏を高く評価している私個人としては,氏はもっと評価されてしかるべき作家だと認識している。 続きを読む投稿日:2014.04.15