
不連続の世界
恩田陸
幻冬舎文庫
これだけ読んでも楽しめる
『月の裏側』という小説の続編の連作短編です。 それを知らずにこの本を先に読んだのですが、気にならず楽しめました。 登場人物が魅力的で怖さというより、不思議さと人間臭い温かみがあって好きな一冊です。
4投稿日: 2016.08.06
ふたりの距離の概算
米澤穂信
角川文庫
読みやすくする気遣い
小説が読みやすいというのはいいことですね。 きっと、書く人はいろいろなことに気を使っているんでしょう。 『クドリャフカの順番』では文集の残り冊数で、残りの本はどうなるんだろうと興味をひかれました。 この本ではマラソンの残りキロ数が、問題解決の制限として書かれています。 ただ時間を表示するのではないところが、洒落ていていいなあと思います。
2投稿日: 2016.08.15
カラマーゾフの兄弟(上)(新潮文庫)
ドストエフスキー,原卓也
新潮文庫
こってりした小説
ページ数の多い本です。ただ、それ以上に内容はこってりしています。 甘いお菓子のような小説が間々ある中で、この小説は分厚いステーキといった印象があります。 しっかりと血肉になる感じがしました。 ところで、未完の大作とも言われますが、本当に続編の構想はあったのでしょうか。 二部作だとすると、まだそんなに盛り込める考え方があったのかと信じられません。 既に脱帽した頭から、かつらもとってしまいそうです。
1投稿日: 2016.10.09
放浪息子15
志村貴子
月刊コミックビーム
あきらめるっていうことはそんなに悪いことじゃない、と思った
これって何なんだろうと、不思議に思っていたことがあったんですけど、 この話を読んでいて、納得できました。 漫画や小説とかでたまに、どうしようもないことがあってあきらめる話があります。 一昔前の恋愛を書いた話なんかに、けっこうあるんですけど、好きな話だと思っていても何がいいのか良く分からなかった。 それは結局、あきらめるとか受け入れるとかそういうものが、きれいな時もあるんだということなんだろうと思います。 それを上手く書くっていうのは大変なことだろうと推察しますが、この漫画も上手く書かれていると思います。
1投稿日: 2016.09.07
クヌルプ(新潮文庫)
ヘルマン・ヘッセ,高橋健二
新潮文庫
一見あっさりしていても、味のある小説
ヘッセの小説の多くに共通するアウトサイダーといえる主人公たち。その中でこの小説のクヌルプは、何かに留まる生活ということが受け入れられないという主人公だと思います。 クヌルプは、込み入ったことになると逃げ出してしまうし、分かりやすく何かを生み出したわけでもありません。皆から好かれ、それでも放浪する生き方をする。いったい生きることの意味って何なのか、と考えさせられた小説でした。
1投稿日: 2016.08.11
氷菓
米澤穂信
角川文庫
アニメより好き
アニメが面白かったので読んだんですけど、小説だと少し印象が違いました。 小説の方がよりリアルに頭のいい高校生という感じがして、すんなり入ってくるのがいいなあと思います。 大ききな驚きはない本ですが、奇をてらった印象がなくて楽しんで読めました。
1投稿日: 2016.08.06
わたしたちが孤児だったころ
カズオ・イシグロ,入江真佐子
早川書房
探偵が主人公の純文学
読んでいて、やられたと思ったところは、主人公が探偵なのにラスト以外推理を披露しないところ。 良い文章でじっくりと主人公の日常が描かれている。 なんでこんなラストにしたのかという不満はあるものの、それ以外の文章が素晴らしい。
1投稿日: 2016.08.06
はじめての短歌
穂村弘
河出文庫
短歌とは何ぞや
僕みたいな短歌素人でも興味がある人には、垂涎(すいぜんってこういう字なんだ)の一冊。添削ならぬ改悪例と丁寧な説明でわかりやすい。 ビジネスセミナーをもとに書いた本だそうで、興味の無い人でもためになるかもしれません。 『短歌の友人』という本と選んでる句が重複していることが若干不満ですが、この本自体は良い本だと思います。
0投稿日: 2017.01.31
