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NO.6〔ナンバーシックス〕 #1
あさのあつこ / 講談社文庫
都市の裏側、人生の裏側。
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安全で清潔な都市に住む少年と、その都市の「裏側」から来た少年が出会った。
原因は、台風の夜に窓をあけっぱなしにしたこと。
都市の少年は「裏側」から来た少年に引きずり込まれる形で非日常へ……と思いきや…、彼をそこへ追いやっていたのは、彼の安住の地だったはずの「都市」そのものだった。
自分が住む日常の真実に自分だけが気付き、冒険に身を投じていく。このシチュエーション、少年少女なら心躍るに違いない。
相手が宇宙人や異世界など突拍子のないものではなく、最も身近な都市とその環境という分かりやすいものである点は、文中のひらがな率が高いのと同じように「子供むけ」の手段のひとつと言えるかもしれない。
だがそれは同時に、身近な風景だからこそ子供相手であっても誤魔化しがきかない、諸刃の刃ではなかろうか。
これは子供たちに「現実」をつきつける児童書だ。
そんなもの、大人が読んだって面白いに決まっている。 続きを読む投稿日:2014.02.06
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ブラック・ラグーン(1)
広江礼威 / 月刊サンデーGX
悪い奴しか出てこない。
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このマンガの舞台となる港町ロアナプラは、街まるごと、上から下まで「悪党の巣窟」と化している。
船にランチャーを積んだ現代の海賊が沈没した潜水艦からナチスの遺産を引き揚げる。ロシアの雌狐率いる遊撃隊が幼…い双子の殺し屋を罠にかける。教会のシスターが武器火薬の仲介をし、おまわりは「お前ら、暴れるなら俺のゴルフのない日にしろ」とのたまう。どっちを向いても最悪、最悪である。
国際商社勤めの若きエリートサラリーマン岡島禄郎は、自分が乗る商船を「ブラック・ラグーン号」にジャックされたあげくその命を会社に切り捨てられて、日本社会における死人となる。
たどり着いたのは陽光降り注ぐ毒蛇の巣、ロアナプラ。ネクタイとワイシャツをアロハがわりに、彼はブラック・ラグーン号の一員として第二の人生をスタートする事を選んだ。
このマンガには、悪党しか出てこない。 続きを読む投稿日:2014.01.25
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ナナマル サンバツ(1)
杉基イクラ / ヤングエース
「なぜ山」って知ってる?
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百人一首が遊技としてのかるたを越えて1つの競技になっているように、クイズにも競技クイズというものがある。
ずらりと横一列に並んだ回答者が、争うようにボタンを叩いて回答する番組を観たことがある方は多いだ…ろう。
さて、もしそんな競技クイズ界にどっぷり浸かっている知人が近くにいたら、その人に一言「なぜ山」と言ってみてほしい。即座に「ジョージ・マロリー」と返ってくるはずだ。
これは暗号などではなく、
「『なぜ山に登るのか』と聞かれ『そこに山があるから』と答えたエピソードで有名な、イギリスの登山家は誰?」
に対する
「ジョージ・マロリー」
という答えを、最初の3文字である「なぜ山」だけで確定し即答しているのだ。
そんなバカな、と思った方にこのマンガ。クイズ業界の意外な奥深さと、競技クイズに青春を賭ける高校生たちの熱い戦いが繰り広げられる。
知力体力時の運。手に汗握る文系クラブ活動である。 続きを読む投稿日:2014.01.25
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Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(1)
ひろやまひろし, Fate/staynight(TYPE-MOON), TYPE-MOON / 月刊コンプエース
スピンオフと侮る全てのマスターに告ぐ。
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ロリっ娘ラブコメマンガと思ったか?
所詮は2匹目のドジョウと嗤ったか?
友情、絶望、成長、裏切り、共闘。
甘々の魔法少女の皮を被った、紛う方なきガチガチの少年マンガ。
若干のギャグやお色気は素直に笑…ってよし。
あなたは2巻をポチる時、ナメてましたと頭を垂れるに違いない。
本家「Fate/stay night」の文法を一歩も踏み外さない、これは間違いなく「イリヤルート」だ。
続刊、プリズマ★イリヤ2wei!(ツヴァイ)、プリズマ★イリヤ3rei!(ドライ)も要チェック。
続きを読む投稿日:2014.01.25
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娚の一生(1)
西炯子 / 月刊flowers
おっさんの色気。
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51歳、独身、哲学教授。亡くなった恩師の孫娘に恋をした。
雨の中、彼女がなくしてきたネックレスをスーツも脱がずに飄々と探しに行く。ずぶ濡れで戻って彼女にネックレスをつけ、タバコをくわえて一言「きれいや…で」。
この色気にピンときたら以下略。 続きを読む投稿日:2014.02.19
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ソード・ワールドRPGリプレイ集バブリーズ編1 2万ガメルを取り返せ!
清松みゆき/グループSNE, 中村博文 / 富士見ドラゴンブック
サイコロ一つでRPG。
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巷でいわゆるRPG(ロールプレイングゲーム)と言えば、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーをはじめとする、要はコンピュータゲームが挙げられるだろう。
しかし元をたどればその原型は完全にアナログだ。…1つのテーブルを1人のゲームマスターと数人のプレイヤーが囲み、剣のかわりにサイコロを振り、ゲームマスターが作ったストーリーを楽しむ、TRPG(テーブルトークRPG)というゲームジャンルがあることはあまり知られていない。
実はこのTRPGをコンピュータでできるようにしたのが、今のRPGゲームなのだ。
コンピュータなら自動化できる戦闘ダメージをサイコロを振って手で計算し、強さなどのステータス数値もルールに基づいて手で計算する。そんなアナログで面倒なものが何故まだ脈々と続いているのかと言えば、その自由度がコンピュータ相手では絶対に味わえないものだからだ。
例えば、町中で暴漢に襲われるというストーリーがあったとしよう。コンピュータならば強制的に戦わされるか、あるいは決められたイベントムービーなどに突入するのが基本的な流れだ。
ところがテーブルトークではこうなる。
GM(ゲームマスター) : 君たちに暴漢が襲いかかる。どうする?
プレイヤーA : 近くに店がある?あればそこに逃げ込む。
プレイヤーB : 大声で騒ぐ。誰か駆けつけて来るかな。
GM : いや、通行人が遠巻きに見ているだけだね。
プレイヤーB : じゃ、大柄な男性を見つけて後ろに隠れる。
GM : 誰も戦ってくれないのかよ(笑)! じゃそうこうしている間に官憲が駆けつけよう。
プレイヤーはマスターの用意したストーリー通りに動くとは限らない。自由に転がっていく状況に、マスターはアドリブで対応していく。
それによって思いもよらない展開が現れることもあれば、その逆もまたしかり。人対人であるが故に、二度と同じ結果は生まれない「ナマもの」。
そのプレイの様子をまとめたものが、TRPGリプレイと呼ばれるこの本だ。
いわゆるRPGゲームが好きな方ならば、一度は手に取る価値あり。 続きを読む投稿日:2014.01.25