桃太楼さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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NOVA1【分冊版】ガラスの地球を救え!
田中啓文 / 河出文庫
こんなにもくだらないSFを読んだのは初めてだ!(褒め言葉)
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はっきり言って、目新しさとかSFらしいギミックというようなものはありません。設定も起こることもこれまでに何度も描かれてきた悪く言うなら「どこかで聞いたことがあるような・・・」シチュエーションです。
…※あえてそうなってはいるのですが・・・。
しかし、SFファンなら誰しも一度は想像に違いない話になっています。少なくとも私は中学・高校時代に思い描いていた空想の世界がここにはありました。
ラストまで読んだときには「なんだそりゃ~!」と叫びながら、「やられた」とニヤリと笑えれば立派なSFオタクです。
有名どころのSF作品(小説・特撮・アニメ)の知識が無いと楽しめない作品かもしれませんが、SFを読もうという人はそのあたりの知識は当たり前に持っているだろうという前提で書かれている点は、逆にSFのハードルを上げているかもしれないというところで-1ですが、個人的には☆10個くらいつけたいくらいの作品です。
書籍説明にある「脱力しつつ読みすすめると、巨大な感動が押し寄せる、奇跡の名編。」という一文。まさにその通りだと感じます。
ちなみにタイトルの「ガラスの地球を救え」は漫画の神様である手塚治虫氏野津遺筆集のタイトルから来ています。
当然、意味のあるタイトルなのですが、まぁ、そこはぜひ読んでいただきたい。 続きを読む投稿日:2020.02.14
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ソード・ワールド2.0リプレイ サウザンドブレイブ ダンジョン探索、実況中!
グループSNE, 藤澤さなえ, かも仮面 / 富士見ドラゴンブック
サナーエと契約してギルドマスターになってよ
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TRPGリプレイというものは、編集されたものであるということを動画を見ることによって理解できます。Youtubeにおいて実際のセッションの様子がアップロードされているので、是非それも見てほしい。
特…に、物書きを目指す人には見てほしいし、読んでほしいと思う。
「文章を書く」という行為において「必要なもの」を見出して、何を削除して何を残すべきかという点に「文才」というものが現れるものだと思う。そういう点でこの本は動画を合わせてみることによって、藤澤さなえという書き手が、実録の会話の中から何が必要で何が不要(余剰)なのかということを取捨選択する経緯を知ることができる。
これは、非常に貴重な資料的価値があると思う。普通は、決して見せることのない面だし、書き手にとってはそれこそがノウハウだし、ある意味手の内を明かすことに他ならないのだから。
また、ニコニコ動画の特徴的な機能であるコメント機能やアンケート機能を十二分に利用してセッションが行われた様を、出来るだけライブ感を損なわずに編集してある事も評価したい。
※Youtubeのアーカイブは、生放送時のコメントはそのまま動画として保存されています。
小難しいことを書いたけども、何より「TRPGというものは楽しい」ということが実感できる1冊にまとまっている。
TRPGの経験がある人も、これからやろうとする人も、TPRGって何?という人も、この楽しい空間を共有してほしい。
このレビューのタイトルに関しては・・・・本文を読んでね。
あ、あと、読むときには横画面見開き2ページで読むことをお勧めします。構成自身がそうなってるし、そうしないとライブ感が半減しちゃうので。 続きを読む投稿日:2018.01.04
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ソード・ワールド2.0リプレイ サウザンドブレイブ トレジャー争奪、実況中!
グループSNE, 藤澤さなえ, かも仮面 / 富士見ドラゴンブック
「4:レクタリス」で!
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(Youtubeでアーカイブが公式に上がったので、再度書き直し)
「分かっているGM(ゲームマスター)」と「分かっているプレイヤー」、そして「わかっている視聴者(ギルドマスター)」、さらに「分かって…いる運営」の奇跡のコラボレーションをそこに見ることが出来ます。
それが「「4:レクタリス」で!」という一言に集約されます。
星を一つ減らしたのは。「動画を見ていない人にこの面白さがどれほど伝わるんだろう」という疑念が、いまだ持って払拭できないからです。
下手すると内輪受けで知らない人が読むと白けてしまうんじゃなかろうかという気持ちもあります。
なので、Yotubeでぜひ動画を見てほしい。TRPGというものはこうやって楽しむものだ、というものが十二分に詰まっています。
で、藤沢さなえという書き手がそれをどう編集して文章化するのか、というところも見えてしまうという恐ろしい側面もありますが・・・。
それはさておき、パーティの面々も一癖も二癖もある人ばかりでして・・・・、
おっとり剣士・・・というか実は脳直だろうと思う、ヒロインのハズなのに婚約者(しかも年下)をゲットしてしまって今後どうするんだ!?と、いろんな意味でいろいろと大きいエルフのミシュリー。
他人に使えることが存在意義のハズで、神仏への信仰が理解できないハズなのに、無償奉仕を嫌いレンタルフレンドなる寂しい言葉を生み出した挙句、ガメル神に信仰をささげるルーンフォークのエル(L-001)。
「明るいハイマン」を目指していたハズが、すっかりパーティのいじられ役に収まってしまって全然明るくならないハイマンのレクタリス。
この世界唯一のヴァセアン神官のハズなのに、いつの間にか唯一でなくなってしまった、中二病全開で、友達は馬だけという残念系美少年ゴンタ・・・じゃなかったナイトメアのカイゼル。
パーティを引っ張るベテラン冒険者のハズが、数回休んだ間にいつの間にか腰の悪い子持ち妻帯者という設定になってしまった人間のヒューバート。
さらにちょいちょい村を焼こうとする上、好き勝手発言するだけハズだったのに、いつの間にか命の危険に晒される視聴者(ギルドマスター)
いろいろと秘密を抱えているハズの魔剣の剣精のハズが、わが道を行く!でぴよぴよ言いながらふわふわ飛んでいる剣精サナーエ・・・の振りしたGM藤沢さなえ。
彼らの冒険譚の行く末をその目に焼き付けよ!!
・・・いや、しかし、こうやって書くとキッツいパーティだなぁ(笑)
実のところ、TPRGのリプレイ本としてはこれまでに出ている本に比べてさほど特記するべき内容があるわけではありませんし、逆にそれだからこそ素直に読みやすい言うことは言えます。
また、プレイヤーの約半数が初心者であるということもありある意味基本に忠実で、TRPGにそれほど触れたことが無い人でも、純粋にファンタジーの読みものとして入っていけると思います。
リプレイ本というのは、会話を文字に書き起こすだけのものではなく、会話の中で何が必要で何が不要なのかということを作者が取捨選択していく過程に作者の文才が現れます。
全く編集されていない会話そのもの(動画)が見えた状態で、リプレイとして一冊の本にするという恐怖を味あわされた藤澤さなえ女史に最大の賛辞送りたいと思います。
いや、ほんと、お疲れ様でした。
で、ぜひ続きを読みたいのですが、コラボ元のスマホアプリがあれではなぁ・・・(^^; 続きを読む投稿日:2018.01.04
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ソード・ワールド2.0リプレイ 要塞少女と契約の騎士 下
北沢慶, 黒井龍/グループSNE, 魔太郎 / 富士見ドラゴンブック
盛りだくさんだけど物足りない
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機動要塞戦をルール化した努力と半テストプレイながらリプレイに仕上げた労力には素直に称賛を送りたい。
そのうえで、逆にこの機動要塞戦がこのリプレイに「読みにくさ」を与えている感は否めないと思う。
ソード…ワールドはそもそも大規模戦闘ルールがきちんと仕上げられていないので、この作品では機動要塞戦に絡めて大規模戦闘ルールを簡易的に導入している。
それ自体はいいんだけど、機動要塞の動きと大規模戦闘における戦場の状況把握が文字の上からではイメージしにくかった。それが残念。
内容的には、ある意味残念な母親とか、いいネタはいろいろあったんだけどどうしても戦闘の描写に文字数を割かなければならなかったこともあったんだろう、正直消化不足。
結果的に、詰め込みすぎになってしまった感じが強いので、もう一冊出して、もうちょっとゆっくりシナリオを進めてもよかったんじゃないだろうか。
特にラストは個人的には不満。ネタバレになるので多くは書かないけれど、あれで終わられるのは消化不良感半端無い。何より、上巻であれだけ煽っていた「ポルタと過去の管理者(指示者?)」の話をもうちょっとシナリオそのものに絡めてもよかったと思う。
これで完結してしまうと、「機動要塞戦ルールの解説と、そのテストプレイ」で終わってしまう気がする。
シリーズの続刊を強く要望します。 続きを読む投稿日:2016.07.26
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暗殺教室 21
松井優征 / 週刊少年ジャンプ
みんな笑顔で「はい、さようなら」
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あくまでこの物語の主役は殺せんせーではなく、生徒たちだったんだと再認識した最終巻。
あくまでせんせーは生徒たちの成長のためにつくし、生徒たちは「せんせー」だけではない先生たちの想いを受け取り成長した。…
誰にでも訪れる中学生時代を、誰にも訪れないシチュエーションで誰もが共感できる形で描き切った作者には脱帽です。
大人になってしまった今、殺せんせーが理想の教師像だとは思いません。しかし、こんな先生いたらよかったのにな、とは思わせてくれる。それがこの作品の魅力だったのだと思います。
それでも苦言を呈するならば、殺せんせーが生きる結末も見たかった。
ただ、きっとその未来は違った形で渚が見せてくれることでしょう。それに期待。 続きを読む投稿日:2016.07.07
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ちょび&姉ちゃんの『アキバでごはん食べたいな。』2
ちょび / ちょび&姉ちゃんの『アキバでごはん食べたいな。』
美味しいものを美味しそうに食べる本 第二弾!!
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とにかくおなかがすく本の第二弾です。
単なるグルメ紹介漫画というなかれ。秋葉原という特殊な地域だからこそ、食べるところを紹介することに意味があるのだ!
1巻のレビューでも書きましたが、とにかく食べ物…の描写が秀逸で、とにかく美味しそうなんです。
それを楽しく、時に激しく(!?)食べる三人三様の生き様がここには描かれています。
2巻を読んでも、やはり万世は秋葉原飲食店のトップに君臨する店なんだなぁと改めて思ったことも最後に書いておきます。 続きを読む投稿日:2016.03.18