kurosukeさんのレビュー
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創価学会と平和主義
佐藤優 / 朝日新聞出版
佐藤氏による創価学会研究
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集団自衛権行使の閣議決定が公明党により、どの様に骨抜きにされたのか?また、その公明党及び創価学会の思想・教義の中に、どの様な歴史的な背景が有り、平和主義が育まれ、今回の動きとなったのかが、丁寧かつ簡潔…に述べられている。宗教としての創価学会の今後、記号としての「池田大作氏」、救済宗教としての役割と、公明党の中道左派としての脱皮・躍進の可能性等が、好意的に書かれている。根源には、佐藤氏のキリスト教信者としての、創価学会に対する共感が有ると言うのは言いすぎか?ただ「公平」な立場で創価学会・公明党を理解するには、最良の書である。 続きを読む
投稿日:2015.04.05
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外務省に裏切られた日本人スパイ
原博文, 茅沢勤 / 講談社+α文庫
日本のインテリジェンスの実態
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残留孤児二世が、外務省の依頼にて、中国政府の情報収集活動に従事、最後は中国政府の知るところとなり、北京出国間際で逮捕され、有期徒刑の判決が下る。名前は、実名で書かれており、非常に面白い。中国の拘置所、…監獄の具体的な状況や監獄の状況がとても詳細に書かれている。筆者は、中国育ちである為、コミュニケーションには不自由は無かったと思われるが、他の外国人の場合にはかなり厳しく、場合によっては精神的な面がやられてしまうのもうなずけた。
中身自体は軽く読めるので、日本の中国に対するインテリジェンスの実態を知る上では基礎資料として参考になる。 続きを読む投稿日:2015.01.11
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1949年の大東亜共栄圏―自主防衛への終わらざる戦い―
有馬哲夫 / 新潮新書
戦後米ソ対立の中での、旧特務機関、旧軍人、右翼人士の目指した事
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終戦後の、旧軍人、特務機関、右翼人士等が、米ソの対立が顕在化する中、GHQもからめた力学の中、各々の目的を持って活動、朝鮮戦争という戦後微妙な情勢の中でGHQの後押しもあり、それが統合されて大きな流れ…となるが、朝鮮戦争の泥沼化、マッカーサーの帰国、米国の方針の変化、国内での警察予備隊の創設等が有り、結局は志が潰えた形となる。筆者の言いたい、戦後の米国従属の流れがここで決定付けられ、経済、政治、軍事の分野で本質的に何も変化が無い。日本が世界の地位の中で、どの様なポジショニングをするべきなのかという点に関して、非常に考えさせられ、現状の戦略的に無為無策である事が嘆かわしい。
現在では、中国がむしろ日本のお株を奪い、非同盟運動への支援等に始まり、経済力の向上に伴い、朝鮮・中央アジア・東南アジアへのブロック化、事実上の大東亜共栄圏構築に日々邁進しており、相対的に日本の米国従属が強まっている事を感じた。
また、台湾や国民党と日本の関係において、過去どの様な政治力学が働いてたのかと言う事が伺い知れて、非常に興味深い。日本は極めて、親台的であった事が見て取れる。 続きを読む投稿日:2015.01.24
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一冊でつかめる! 中国近現代史 人民と権力と腐敗の170年 激動の記録
荘魯迅 / 講談社+α新書
中国の近代史を理解するには最適..
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アロー号事件から鄧小平の南巡講話迄の歴史を平明に記したもの。
外からの侵略を受けた歴史と、解放後の内の毛沢東を主とする政治闘争に関して、浅く広く書かれていて、文章自体も非常に読みやすい。
表層的な部分…のみの記載とはなってしまっているが、本書の登場人物も多く、一冊でつかめる事が条件であれば、これ以上深く掘るのも逆に難しくなるだろう。
文革に翻弄される、共産党指導者達に関しても、毛沢東への盲従や闇雲な追随等が描かれており、興味深い。
この本を読んだ上で、中国近代史に関する、「小説、伝記」等を読むと、さらに理解が深まるであろう。
筆者の名「魯迅」が解放後、長生きしていたらどうなっていただろうか? 続きを読む投稿日:2013.11.10
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不動産投資、成功の方程式
倉橋隆行 / 朝日新聞出版
平易で内容が濃い
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事業としても不動産経営を具体的な指標(インディケーター)を出しながら、平易に解説している。また、書かれている内容は濃いので、投資初心者から上級者迄、幅広い読者層にとって、価値が高いと考える。若干重複は…有るが、騙しの手口や、初心者の陥りやすい罠等にも触れられていると同時に、上級者向けの法人化のメリットや相続等にもページが割かれている。不動産投資に、どの様に借り手を付けるのか、借主の視点でのリフォーム等、コンサルタントらしい説得力のある議論も展開されている。自社の宣伝は有るものの、自分では思いも付かない切り口で、問題を解決する部分も有り、コンサルタントを称するに値するノウハウを持っている。不動産投資に興味を持っている人は一読すべし。 続きを読む
投稿日:2015.05.05
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愚か者、中国をゆく
星野博美 / 光文社新書
旅行好きであれば面白いかも
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1980年代最後の、中国の列車旅行の様子が詳細に記録されている。著者の20代前半の瑞々しい感性が際立っている。この時代、一番中国と日本の格差が開いた時期であろう。中国大陸の人民が、ようやく資本主義に目…覚めた頃で、第二次天安門事件の前後、本書を通じて、現在と対比すると大きく変わってしまった中国の事を考えさせられる。1990年「本命年」日本名「黒い雪の年」が上映されたが、その映画と重なるものがある。 続きを読む
投稿日:2015.09.05