三森雪さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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時間の歩き方 1巻
榎本ナリコ / 朝日新聞出版
全く予想してなかった方向から横殴りされたみたいな衝撃。
2
なんというか、ネタばれを避けると奥歯に物が挟まった言い方しかできないんですが、時間モノが好きで、夏への扉とか時をかける少女とかタイムリープとかクロノ×セクス×コンプレックスとかの名前にピッと来た人は、…とりあえず買っちゃえばいいよ。
というか買ってください!!(平伏)さり気なく仕込まれた伏線にハッ!となった時の喜びと驚きとしてやられた感を誰かと分かち合いたい。全く予想してなかった方向から横殴りされたみたいな衝撃を誰かに味わわせたい。
時をかけるならではのお約束展開も、王道に真っすぐ奇をてらわずに丁寧に描かれていて、真っ正面からきゅん、とできます。 続きを読む投稿日:2013.09.29
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渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉
藤田晋 / 幻冬舎文庫
淡々としながら貪欲でもあり、
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学ぶではなく感じる本。まさしく「夢追う人必読の書」。
起業を目指す人は、こういうルートがあるのだと追体験できて良いのかな。
出版当時、この社がメディアでどう取り上げられてたか知っているとヘヴィーで…すが、どこか冷めた俯瞰した視点で綴られるせいで、口当たりは意外にも軽め。それでいて、淡々とした語り口の中で野心や貪欲さが垣間見えるのが面白いです。
ちなみに私の場合、後半の株価急落とそれによる資産と時価評価の乖離に、静かな衝撃を受けました。当時、私も理解してなかった。それが真実のように思い込む、時代の空気って恐ろしい。 続きを読む投稿日:2013.09.27
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ふうらい姉妹 第1巻
長崎ライチ / HARTA COMIX
ツッコミがいるって誰が決めた。
4
布教用冊子を読み、衝動買い。
天然ボケ(姉)に対する正統派のツッコミ(妹)とみせかけての、姉妹ボケ重ね。ツッコミはこれを読むあなたの担当です。笑いのツボが継続的に突かれたのか、まとめて読むと笑いの沸…点が低くなるふぁんたじー。電車内で吹き出してしまった。通勤通学中読み要注意です。
なんとはない日常の気にもとめない風景を、斜め上または斜め下からすくいあげる姉妹の、平和で愛すべき阿呆っぽさに乾杯。とてもここちよく癒される・・・。 続きを読む投稿日:2013.09.26
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ミラクル☆ガールズ(1)
秋元奈美 / なかよし
王道は色褪せない。
3
今も色褪せない双子の物語。我が青春の一ページ。いやーやっぱ甘酸っぱいわー。野田くんと倉茂先輩にきゅんと出来る自分に安心した。あと、高村くん相変わらずかっこいい。
ココまで読んで懐かしさを感じたら、ぜ…ひ電子書籍での購入をお勧めしたい!女の子はおしゃれ可愛いし、男の子は正統派かっこいいしでちゃんと楽しい。恥ずかしいほど真っ当に「ヒロインのピンチにヒーローが駆けつける」をやってくれます。王道は愛されてこその王道。
あと絵や設定には全く色褪せた感がないのにですね、舞台は90年代前半だなーと思う訳ですよ。みかげと倉茂先輩のすれ違いとか、携帯やメールが必須となった今なら通用しない世界観な訳で。そう考えると、その出逢いには必然があるのだときゅんきゅんしちゃいます。
これ読む時のBGMはぜひ、GARDENの「キッスの途中で涙が」とDioの「ふたりじゃなきゃだめなの」で行きましょう。ちなみに私はみかげ派です。 続きを読む投稿日:2013.09.26
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ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎 / 新潮社
誰に信じられるか、誰を信じられるか。
2
首相暗殺犯の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇。この前にJFKを見ると、確実に二倍楽しい。
定番の群像劇ですが、虚構と現実、当事者と第三者、回想と現在、の視点切替えが、読みやすくもシニカル&ウィットが効い…ていて、伊坂作品の中でも一等好き。リレー形式でバトンを繋いでいった登場人物たちのその先、そこに主人公の結末があった的なストーリー展開は、狙ってるのがわかってても胸を打つんです。誰も信頼できない逃亡劇のさなか、不意に見せられる信頼にぼろっと来る。疑心暗鬼になって当然の状況下で、信じる、ことを決めたその覚悟もかっこいい。
それでいて読了後、爽快感が抜けると何とも言えない居辛さが残るあたり、伊坂作品の凄みだと思うのです。 続きを読む投稿日:2013.09.26
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wonder wonderful 上・1
河上朔, 結布 / レガロシリーズ
優しさに泣けるんです、
15
異世界への常習旅行者な妹、の良き理解者である姉が、妹のために異世界に飛び込んで、そして大人だからこそ試行錯誤する物語。
ネットで話題になった時、社会人異世界トリップ+恋愛もので一回敬遠したのですが、…なぜもっと早く読まなかったのかと、読了後に後悔したのは懐かしい想い出。
彼女が主人公なら、異世界トリップものじゃなくてOL生活ものでも良いくらい、こかげさんの一人称と行動が素敵すぎる。それぐらい理想的な、20代女性像なのですよねー。
そんなこかげさんが、異世界の傍観者から、助言者となり、主人公となっていく物語。胸キュンラブ要素はありますが、むしろこれはハートフルにヒューマンなファンタジーだと思う。
人の優しさがあったかくて、優しさに泣ける。そして、読むたび泣ける場所が違う。 あ、でも多分バルコニーのシーンはいつだって号泣する。忘れていた何かを取り戻すような、“あたたかくて、いとしいもの。” 続きを読む投稿日:2013.09.25