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タキトゥス 年代記 上 ティベリウス帝からネロ帝へ
国原吉之助 / 岩波文庫
上巻はほぼティベリウスのみ
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ローマ史の中・上級者向け。
最低限、共和政末期から帝政初期、できればトラヤヌス帝統治期までの歴史とカエサル家の系図を把握してないと分かりにくい。その上で読んでいくと、「タキトゥスさん、ティベリウスの…こと嫌いすぎでは?」という印象が残る。スエトニウスに比べるとまともに見えるが、ティベリウスのやることを特に証拠もなしに悪意で判断している。ドミティアヌスへの恨みをティベリウスへ投影しているのかもしれない。とはいえ現存するなかでは最も信頼性がマシな文献なので、概説書の二、三冊も読んだ後でなら、史料批判に気を留めつつ、あくまでタキトゥスの見解として本書を読むのも良いかと思う。 続きを読む投稿日:2022.07.02
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ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級
新井潤美 / 白水社
読みやすい上流階級(と上層中流)の概観
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イギリス近現代のアッパーミドルからアッパークラスにかけての所謂「ジェントルマン階級」の生態とパブリックイメージを扱った本。専門書ではなく一般向けなので読みやすい。半分くらいはイギリス社会史でよく論じら…れている階級論なので、普段からその分野の論文集などを読んでいる人にとっては既知の内容かも。とはいえアメリカ社交界とイギリス上流階級との交流、ウィンストン・チャーチルの母親がアメリカ人であった理由などについては簡単な説明で済まされることが多く、本書のような詳しい説明は他ではあまり見たことがないように思う。
なお、タイトルになっている「ノブレス・オブリージュ」は本書では特に先祖伝来の屋敷を維持し、客人へのもてなしの一環として公開するという面にクローズアップして使われているので、「ノブレス・オブリージュとは何か?」という目的で読むとちょっと違うかもしれない。 続きを読む投稿日:2022.03.27
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ワインの世界史 自然の恵みと人間の知恵の歩み
山本博 / 日本経済新聞出版
タイトルは立派
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著者の専門がワインであって歴史ではないせいか、虚構の話を史実と取り違えて論じていたり、信憑性に欠ける内容が多かったり、時々明確に間違っていたりする。史料批判が出来ていないのと基本的な専門知識不足が原因…かと。
酒の席での与太話としてなら笑えるが、素面の時なら突っ込まざるをえない、そのくらいのクオリティ。 続きを読む投稿日:2021.10.17
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フランス史 下
福井憲彦 / 山川出版社
定番フランス史のペーパーバック版
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下巻はフランス革命から。旧版はミッテラン大統領までだったが、こちらの分冊版では2節、都合5ページ分ほど追加されてマクロン大統領当選とイエローベスト(ガソリン値上げに切れてシャンゼリゼとか燃やしてたやつ…)までとなった。また旧版巻末にあった王朝系図や文献案内は年表は省かれている。学生向けには旧版の方が良いかもしれない。
続きを読む投稿日:2021.09.27
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フランス史 上
福井憲彦 / 山川出版社
定番フランス史のペーパーバック版
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『新版世界各国史12フランス史』のペーパーバック分冊版。
上下セットで買ってもハードカバーの旧版より1000円以上安い。
ローマ以降、フランス王国成立以前をちゃんと扱っているのが偉い。
上巻はフ…ランス革命の前まで。
「まえがき」が新しくなっている他は特に内容に違いはない。 続きを読む投稿日:2021.09.27
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世界奇食大全 増補版
杉岡幸徳 / ちくま文庫
世界と言いつつ日本から出ない。
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都内のフレンチレストランや中華料理店で食べたちょっと変わった料理(編集部の経費で)、国内旅行のついでの珍しい郷土料理かB級グルメ、通販で取り寄せた珍しい食べ物。本書の内容はだいたい上記3パターンに収ま…る。
しかも珍しいとはいうものの、余程アンテナが低い人以外、全然珍しくもなんともないものも多い。底本の出版が10年以上前だとしても、サルミアッキとか大学生レベルでもお土産の定番でしょ。
また江戸前の寿司に生魚はなかっただの、鮪は食べなかっただの普通に間違った情報も多い。本書と同じ筑摩文庫から出ている下級武士の食生活を扱った本を見れば鮪の握りを食べていたことが分かるし、本書がちょっと調べれば分かることも調べずに書かれていることも分かる。あと食事の最後に出てくる甘い物ではなく、お菓子全般をデザートと言っているのも理解に苦しむ。
唯一評価出来るのは最初の河豚のキモ(通販)の実食ぐらい。でも今ならYouTubeなり、ウェブサイトでもっと頑張ってる人はいくらでもいるからなぁ、という感じ。 続きを読む投稿日:2021.08.15