ゆえさんのレビュー
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白ゆき姫殺人事件
湊かなえ / 集英社文庫
斬新な小説でした
5
他人の目って怖い。そして、人間の本質ってわからない。
そう改めて思った作品でした。
本としては、すべて「語り」になっているのが面白かった。各人にインタビュー形式で語らせていて、そのため、心の内という…か真実は見えないのです。
だから、読了後も結局犯人は誰だったのかも含め、分からないことだらけでした。
しかし最後に、「白ゆき姫殺人事件」について、関係するSNSへの書き込みや、週刊誌記事、新聞記事、ブログなどが資料として付いていて、そこで事件の経過や真相を読者は知ります。
その構成が小説としては新鮮に感じましたし、なかなか面白かったです。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
道尾秀介 / 講談社文庫
ハラハラ感と騙しが面白い
2
詐欺で生活費を稼ぐ武沢と相棒のテツさん。
ふたりには闇金にまつわる哀しい過去があります。
そんな彼らにワケありの少女やその姉、姉の恋人、猫が次々と加わり、家族のように共に過ごし始めるのですが、やがて…共通の敵であるヤミ金組織に復讐するため、一世一代の大ペテンを仕掛けることに。
入念な計画と準備、頭をもたげる不安要素、そして実行。
手に汗握る緊張感あふれる展開に、ひたすらドキドキ。
なのに読み進めていくと、こちらが騙されていることに気付いたいたりして、サスペンス的な要素にトリックが混じっている。そんな面白さがありました。
ラストはちょっとリアリティを欠いてしまったかなという感も否めなかったのですが、全体的に読み応えは十分。読後感も爽やかでした。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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片眼の猿―One-eyed monkeys―
道尾秀介 / 新潮社
哀しいけれど優しい、温かみのある作品
0
探偵が調査中、ある殺人事件の音を聞いてしまい…一言でいうとありきたりですが、道尾マジック炸裂でした。
気付けば、勘違いだらけ(もちろんマジックに引っかかっているせいです)。
新鮮な驚きに思わず笑ってし…まったほどです。これは小説ならではなので、ある意味、小説の醍醐味を味わえた気がします。
また、マジックもさることながら、とても温かみのある作品でもありました。メッセージ性も強かった。
読み終わった後は、心がほわっとして道尾さんの作品の中でもかなりお気に入りです。
続きを読む投稿日:2013.12.19
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月魚
三浦しをん / 角川文庫
静かなのに続きが気になる面白さ
0
ミステリーでも恋愛ものでもないけれど、最後までどうなるのだろうと続きが気になって仕方なく、一気読みしてしまいました。表現がとてもきれいで、それが物語のある種の静謐さを生み出しているのかもしれません。
…個人的には、色恋ではないけれど、すごく艶のあるお話だと思いました。
登場人物も魅力的で、古書店の三代目である真志喜も、幼馴染の瀬名垣もすごく好きです。
あせって一回目を読んだので、これからもう一度じっくり味わって読みたいと思います。 続きを読む投稿日:2014.11.15