
ケモノガリ(イラスト簡略版)
東出祐一郎,品川宏樹(GAINAX)
ガガガ文庫
ツッコんでしまう人には向かない
他のレビューを書かれている方の言う通り、物語の展開がまさに痛快アクション映画。物語の整合性などを気にしてしまう人は終始「えっ、なぜ、そうなる?」と考えて楽しめないだろう。これが映画や漫画のような映像画作品ならばその勢いはむしろ良い方向に働くと思うが小説としては文章自体が軽すぎて、物語展開にある緊迫とした場面が薄っぺらとしたものに感じてしまった。 この作品が「合う」という人は多いだろう。しかしそれと同時に「まったく合わない」という人も多いように感じた。 本作が自分に「合う」のか「合わない」のか一層吟味して購入することを強くおすすめする。
0投稿日: 2016.07.22
天空侵犯(1)
三浦追儺,大羽隆廣
マンガボックス
閉鎖空間でのデスゲームが好きな方に
8巻まで読んだ感想 女子高生が気が付いたらデスゲームに参加させられる、というところから物語は始まる。現実世界と酷似したビルばかりの世界で主人公が時に殺し合い、時に助け合っていくストーリー。 生き残りゲームに関する部分が突飛な設定であることや展開が緊迫感や整合性よりも勢い重視な所が目に付くこともあるが、絵柄は整っていて一つ一つの場面が読み取りやすくて、男性キャラはカッコよく、女性キャラは可愛い。 ジャンル上、残酷でグロテスクな描写(直接ではないが)も多少あるので流血シーンの多い洋画のホラー映画などが問題ない方におすすめする。
0投稿日: 2016.07.22
山田太郎ものがたり(1)
森永あい
講談社
美男子、だけど貧乏
美男子で女子から持てるが家が貧乏で本人も貧乏性である主人公とその家族と周囲が織りなすラブコメ漫画。少女漫画の絵柄に抵抗がなければ男性も十分楽しめる。とにかくこれでもかと言う程に貧乏コメディが炸裂する。 テレビドラマ化もされており韓国版と日本版がある。ドラマを見る機会があるなら断然、韓国版をおすすめする。韓国版は原作にある程度に忠実且つ設定の改変をせずにナレーション(天の声)にツッコミをさせたりと新しい面白さを加えているのに対して、日本版は登場人物やストーリーに改悪があり原作にあった面白さが損なわれている。
0投稿日: 2016.07.22
龍盤七朝 DRAGONBUSTER 01
秋山瑞人,藤城陽
電撃文庫
良い小説だが……
面白い小説であるのは間違いない。それは胸を張って自信を持って言うことができる。 だが、人にすすめられるかと言えばまた別の問題が出てくる。このシリーズが次巻が出されるのか分からないからだ。著者は他シリーズも完結せずに何年も音沙汰がないので完結する見込みのある小説が読みたい方にはおすすめしない。 本作はいわゆる武侠小説。中華ファンタジー。 共通企画で古橋秀之で「龍盤七朝 ケルベロス 壱」(メディアワークス文庫)というのもあるのでこちらを読んでみて、面白く感じたならそちらも読んでみるといいだろう。ただし上記作品はどれも2016年7月現在続刊が出る気配がないので注意。 余談だが古橋秀之の「IX(ノウェム)」(電撃文庫)とも世界観が似ている。
0投稿日: 2016.07.22
イリヤの空、UFOの夏 その1
秋山瑞人,駒都えーじ
電撃文庫
中高生に読んでほしいSF小説
夏休みのある中高生に読んでほしいSF小説。 著者の独特で軽快で引き込まれる文体をとおして中学二年の人生一度きりの夏を体験できる。4巻という巻数はラノベとしては少ない方だが多寡なくまとまっており、一息で読んでしまえる。「切ない」という言葉で言い表すと陳腐だが、読後は毎年夏が来る度に浅羽とイリヤのことを思い出しては戻らぬ夏に想いをはせて、切なさを胸に感じることになるだろう。 アニメ化とラジオドラマ化もされている。ラジオドラマの方は原作小説のト書きをナレーションが読み上げる形となっており原作小説の持ち味を生かした良い出来なので機会があればそちらもおすすめする。
0投稿日: 2016.07.22
はじめての言語学
黒田龍之助
講談社現代新書
まさしくタイトル通りの本
「言語学って小難しそう……」ていうイメージを「やっぱり難しいんだ」ていう確信にわかりやすく変えてくれる良書だ。 小難しい言語学用語をほとんど出さすに、言語学者ってこんな感じのことを実はしているんですよ、ちょっと覗いて行って見ません?という内容。著者自身のユーモアのある語り口に誘われて入口付近からちょっと覗き見るつもりが、いつの間にか言語学の世界に迷い込んしまう程面白い。 章ごとに参考図書を挙げてくれているのも親切。
1投稿日: 2016.03.22
読んだら忘れない読書術
樺沢紫苑
サンマーク出版
読んだら試したくなる本
やたらと「精神科医」という単語が並んでいてそこのところはちょっと気になるのだが、書いてあることはどれも真っ当な内容だと思う。「地味なことだけど確かにそうだ」と納得できることが書かれている本だ。
0投稿日: 2016.03.22
孫子・三十六計 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典
湯浅邦弘
角川ソフィア文庫
実直な作りで読みやすい
兵法で有名な『孫子』。書店には多くの『孫子』の書籍が並んでいるがビギナーズクラシックと題するだけあって本書は実直で分かりやすい。硬派なシリーズなのでサブカル的な面白さはないがコラムなども時折挟まれており飽きさせない。まじめに『孫子』について知りたい人の入門書に最適だと思う。
0投稿日: 2016.03.11
ミナミノミナミノ
秋山瑞人,駒都えーじ
電撃文庫
永遠に完結しないかもしれない……
作者の秋山瑞人は大変面白くよく出来た作品を書く。だから余計にこの作品の結末が読めそうにないのが残念で仕方ない。 ※2013年12月時点、本作品の続刊発売は未定です。書籍説明にそんなことが書かれている時点でもう無理かもしれない。 本作のストーリーはほぼ何も始まっていない。謎を散りばめて未完のままだ。なのでおすすめはできない。大多数におすすめはできないが単純にこの一巻だけを見たら文章は読みやすく、挿絵は綺麗で、先が気になる本なので星4とした。 いや、この作者の書く文章が好きなんだという方は買ってもいいだろうと思う。
0投稿日: 2016.03.10
猫の地球儀 焔の章
秋山瑞人,椎名優
電撃文庫
何度も読み返したシリーズ
焔の章が上巻、幽の章が下巻。上下巻を読んだ感想。 文章、構成、ストーリー、大変よく出来ている。何かおすすめの本と言われたら真っ先にこのタイトルを挙げる。それぐらい素晴らしい作品だ。 物語全体にわたってワクワクとした冒険心をくすぐられて、読み進めるうちに心が苦しくなる。そして読み終えて、どこかぽっかりと心に穴が空いてしまったかのような気にさせられる。そんな作品だ。
1投稿日: 2016.03.10
