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夏星さんのレビュー
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  • 60分で名著快読 マキアヴェッリ『君主論』

    60分で名著快読 マキアヴェッリ『君主論』

    河島英昭,造事務所

    日本経済新聞出版

    細かい章立てでパッと読める

    ●この本の良い点 ・原著では遠回しな表現で書かれていることを分解し平易に書かれている ・内容を細かく短く章立てており、理解しやすい ・各章でポイントを改めて書かれており、読み返す際に役立つ ●この本の悪い点 ・正直、特に思い至らない ●内容 ・各君主体制の分類分け ・君主、有力者(貴族など)、市民の正しい関係について ・君主の残虐行為について など ●総評  上記にした通り、「60分で~」と表題されるだけあって、文章は簡潔で分かりやすい。さすがに誰もが60分では読めないだろうが、気軽に読めるものに仕上げているのは間違いない。君主論などと銘打たれると現代日本の小市民には縁遠い書物に思えるが、社会生活で困った時の1つの指針となると思う。 ●こんな人に読んで欲しい ・サラリーマンだけでなく上下の人間関係を構築する全ての社会人 ・学校生活で後輩と接する必要がある先輩 など ●合わせて読みたい本 ちくま文庫から出ている『よいこの君主論』が面白い。小学生が君主論を読んでクラスのトップを目指すという設定の小説調の入門書で、レビュー本の後に読むとさらに理解が深まる。

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    投稿日: 2017.08.04
  • 土漠の花

    土漠の花

    月村了衛

    幻冬舎文庫

    ストレスの少ない素早い展開

    文章も読みやすくて、サイクルの速い展開で読み進められる。 ハリウッド映画でありそうな「敵中で孤立無援な兵士」というストーリー。アメリカ軍や外国の軍隊が主人公であれば、我々日本人にとってはまさに物語に過ぎなかっただろう。これが自衛隊が主人公なので一気にリアルさが増してしまう。他人事のように思えなくなる。 銃撃戦で人を殺すのが怖くて撃ち返せない登場人物がいれば「とっと撃ち返さんかい!」と思う反面、「まぁでもいやだよね」と同じ日本人として同情を禁じ得ない。日本人として同じ価値観を共有した登場人物が外国の戦場で殺され、苦しい思いをしていると思うとフィクションだと分かっていても考えさせらてしまう。

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    投稿日: 2016.10.17
  • 脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める

    脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める

    築山節

    NHK出版

    一つ一つが納得できる「言われてみれば」の習慣

    何か頭がぼんやりする、言い間違いや物忘れが多い気がするといった人はこの本は役立つだろう。 紹介されている15の習慣は難しいものではなく簡単で「なるほど、これは頭の働きを良くしてくれそうだ」と思える。15全てを習慣づける必要はなく二つ三つ試してみるだけでもかなり違うと思う。

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    投稿日: 2016.10.09
  • うつを鍼灸で治す

    うつを鍼灸で治す

    齋藤剛康

    SBクリエイティブ

    軽度うつをテーマとした一般の人向けの鍼灸本

    東洋医学の鍼とお灸での治療を分かりやすく簡単に紹介している。 東洋医学というと気の流れ、陰陽論、五行論など、漫画かゲームでしか聞かない単語や考え方があり、現代西洋医学に慣れ親しんだ現代日本人にはハードルが高く感じるかもしれない。しかし、この本は東洋医学的な考え方を噛み砕いて紹介している。その上、鍼灸院の相談する時のアドバイス、セルフケアの方法なども載せられているので一般の人が東洋医学に触れる第一歩に適した本だと思う。 ●購入を考えている方へ 東洋医学、特に鍼灸での経絡治療などは人によっては眉唾もののように感じる人もおられると思う。そのこと自体は個人的には構わないと考えている。むしろ常に苦言を呈されているほうが鍼灸学の研究発展に有益とすら思う。問題は逆に東洋医学にオリエンタルな神秘性を過剰に抱いている人だ。鍼やお灸は万能な霊薬などではなくできること、できないことがあることを頭に入れて読まれることをおすすめする。

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    投稿日: 2016.10.04
  • 虐殺器官

    虐殺器官

    伊藤計劃

    早川書房

    読後には暗い高揚感、あるいは居心地の悪さを感じるだろう

    全編通して語られるのは重苦しくも目が離せない物語だ。 その為、サッパリとしたハリウッド映画のような小説を期待してこの本を読もうとすることはオススメしない。(このタイトルでそのような人はいないだろうが) ●感想 本作は主人公の一人称視点で物語が進む。文体は海外文学を翻訳したような独特な雰囲気と日本的な言い回しが融合し不思議な味がある。社会科学系の単語や思想が練り込まれ一人称でありながら硬く難解な文体という印象をも与える。 読み終えて感じたのは「だから一人称であったのか」というものだった。主人公・米軍大尉クラヴィス・シェパードの思想や行動を米軍大尉クラヴィス・シェパードの目を通して読者は感じるからこそ、この小説はより際立ったものになった。 読んでいる間は作中の重いテーマをより直接体感させるからこその一人称だと考えていた。しかしそれだけではなかった。物語の主人公の思想や行動が必ずしも読者にとって「正しい」こととは限らない。 作中に虐殺の仕掛け人ジョン・ポールが「自分は正気だ」と述べ、後半で主人公もジョンと同じく「正気」であるように振る舞っている。だが一般的社会通念で彼らは「正気」と呼べただろうか。 彼らは重い決断を下し、それを自ら背負ったと語る。本当に彼らは正気だったのだろうか。驚くほど冷静に彼らは狂っていたように思えた。この小説を無理矢理一言で言うなら狂人の一人称小説だ。そして読者は「正気とは何か」「狂気とは何か」と自問させられてしまう。 他にも様々なテーマが織り込まれており、その一つ一つを抽出して自分なりの解答を考えるのが本作の楽しみでもある。 ●購入を検討されている方へ 合う合わないはもちろんあるだろう。普段、こういった重たい作風を読まない人は胃もたれをおこさせることも理解している。だが、そこをあえて分かって胃もたれして欲しいと願う。それぐらい魅力的な作品だ。

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    投稿日: 2016.10.02
  • 仮面病棟

    仮面病棟

    知念実希人

    実業之日本社文庫

    大人が読むにはつらい

     ミステリーって書くの難しいんだなぁ、と考えさせられる作品。  本作には大きく二つの謎がある。一つはあらすじにある通り「病院の秘密」。もう一つは犯人の正体などの「事件の真相」。 ●病院の秘密 この「病院の秘密」は秘密とも言えない。ニュースやサスペンスを少しでも見ていたら、読者はかなり前半部分で予想できてしまう。医師である主人公がすぐにそれに思い至らないのは違和感があった。その違和感がまず読者を醒めさせてしまう。その違和感を引きずったまま物語後半で秘密を知り、ようやく読者の喉に引っかかった小骨を外してくれる……とはならない。   ●事件の真相  違和感はまだ続く。「病院の秘密」を予想すると大雑把にではあるが事件の背景にも見当がついてしまう。元々登場人物も少ないので読者は怪しい人物に思い至り、その言葉や行動に注目しているとその疑惑を確信へと変えてくれる。ご丁寧にその手伝いをしてくれるのが主人公である。主人公は病院の秘密やピエロの強盗犯の目的などかなり色々なことに疑問を投げかけて考え込むが、なぜか「事件の真相」部分のある事柄に対してだけは無条件で信じ込み疑問すら抱かない。読者にはむしろそれが際立って感じてしまう。 ●総評  単に小説として読むなら最後まですんなり読める。文章もほんの少し気になる部分があったが全体として差し支えない。  ただ、本格ミステリーかと聞かれたら違うと答える。もちろん本作はミステリーとして形にはなっている。謎や真相といったものもある。しかし、肝心のミステリーとして重要な謎の部分が読者にはすぐに想像がついてしまった。普段、そんなにミステリーを読まないのに! 本作を先に読んだ知人に途中で予想を話したら「9割あってる」と言われて逆に驚いたことが本作で一番の驚きだった。  そんな読者が簡単に答えが分かってしまう謎の部分に主人公が自分で集めた状況証拠を前にして「どういうことなんだ」と思い悩んでいる姿には失望の色を隠せない。  また、感情描写がおざなりで主人公が不自然に患者の女性に入れ込んだり、なんら根拠のない自分に都合のいい妄想をしたりするのは失礼ながらお猿さんかな、と思った。ピエロの強盗犯が作中で「浅慮で異性に弱い」とされていたがこれは主人公の先生にもそのままあてはまる。 ●購入を検討している方へ  色々と好き勝手な事を書いたが、息が詰まるほどの緊迫感や複雑な謎、重厚な人物背景といった小説に少し疲れた、たまには適度に軽い物をと考えている方やまったくミステリーを読んだことのない中高生の方は読んでもいいと思う。とにかく変に期待せずに「そんなに言うなら俺が良い所見つけてやるよ」といった気持ちで読んで「言う程ひどくなかったぞ」と思ってくれたらと思う。

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    投稿日: 2016.09.10
  • 世界の中心、針山さん

    世界の中心、針山さん

    成田良悟,ヤスダスズヒト,エナミカツミ

    電撃文庫

    この著者は群像劇がうまい

    書籍説明に針山さんのことが書かれているが彼は脇役にすぎない。モブの扱いであり申し訳程度に名前が出てくる程度だ。 短編自体はいろいろな話があり、ハッピーエンドもあれば救われない話もあり雑多な群像劇が好きな人にはおすすめできる。

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    投稿日: 2016.07.22
  • 撲殺天使ドクロちゃん

    撲殺天使ドクロちゃん

    おかゆまさき,とりしも

    電撃文庫

    中学生向け

    中学生向けの体当たりなギャグが多く、当時かなり笑わせてもらった。軽快な勢いのあるギャグ小説だが大人は笑わないだろうと思う。

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    投稿日: 2016.07.22
  • ガンズ・ハート 硝煙の誇り

    ガンズ・ハート 硝煙の誇り

    鷹見一幸,青色古都

    電撃文庫

    手軽に読める

    全巻読んだ感想 全5巻で手軽に読める。内容自体は西部開拓時代をモチーフにしたと思われる世界観で西部劇の雰囲気が好きな人におすすめする。程よく困難があり程よく乗り越える物語展開で深く入り込むことはないが、かと言ってつまらないわけでもなく程よいカタルシスも得られることができるまさに「西部劇ライトノベル」。

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    投稿日: 2016.07.22
  • 決してマネしないでください。(1)

    決してマネしないでください。(1)

    蛇蔵

    モーニング

    読んでてタメになる

    理系漫画にありがちな「内輪ネタで盛り上がって、俺らって理系にしか理解されないよな」といったものはない(科学の専門用語は理解されにくい、という描写はあるが)。 冒頭で登場人物が「専門外の人に科学の面白さを伝える努力をしなければならない」といったセリフがある通り、本作自体専門外の人にも面白さが伝わるように描かれており、安心して楽しむことができる。 科学のこぼれ話などもちょっとした理系の雑学も知ることが出来てタメになる。

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    投稿日: 2016.07.22