
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #05
枯野瑛,ue
角川スニーカー文庫
ヴィレムの物語の完結
えっちょっコレどうするの……と物語が進むほどに唸らされた『終末』第一部堂々の完結です。 なるほどこうきたか、というそこそこ納得の着地。 けれど、ここまで毎度派手にひっくり返ってきたお話が仮にもこうしてまとまるというのは、それだけで驚きの結末だと思います。 あれこれ散らばっていた伏線も一通り回収されました。“えるく”って名前はずっと出ていたけどああそりゃそうだ、という。 ヴィレムさんは最後までかっこよく、クライマックスにふさわしい仕事をしてくれました。教官…… 新シリーズも今作のラストを布石として、今度はティアットと新主人公フェオドールの物語として続いていきます。 ですが、ヴィレムの物語としては間違いなくこの巻で完結していますので、まずはこの5巻まで読んでみるのもいいのではないでしょうか。
1投稿日: 2016.09.07
OBSTACLEシリーズ 激突のヘクセンナハトI
川上稔,さとやす(TENKY),剣康之
電撃文庫
まさに熱血魔法バトルアクションラノベ
同作者の一連の世界観に連なり、境界線上のホライゾン(GENESISシリーズ)の次に続く時間軸の物語となります。 毎度のことですが大幅な時間経過があったと推測できる程度には世界状況は一変しているので、作者の他シリーズを未読でも問題ありません。 パッと見は現代をベースにした、しかし流体、術式と呼ばれる魔法要素を様々な点で取り入れた世界。十年前の災厄の爪痕を残した日本、東京湾に浮かぶ四法印学院を中心に物語は展開されます。 魔女と呼ばれる主人公たちは、魔法少女というよりも作中で言及されるように術式攻兵と呼ぶべきもの。 メカメカしい強化装備を付け、スラスター内臓の剣砲やら、誘導弾を雨あられと打ち出す弓やら、果ては都市破壊級の大型砲やら大剣やらまで呼び出します。 そこから展開される戦闘がとにかく熱い。 白い悪魔の魔砲少女がお好みな方におすすめしたい、SF的味付けのハードな魔法バトルが満載。 術式を用いた砲撃戦や、杭打ち機を交えた格闘戦だったり、艦船クラスの巨大構造物同士の撃ち合い殴り合いだったりが所狭しと繰り広げられます。 とにかく魔法少女(?)バトルに軸足を置いた構成になっているので日常描写は控えめ。けれども不意に笑いを取りに来るので自分はちょくちょくやられました。 漫画版との差異は心理描写がしっかり読めるところに加え、キャラや武装がさとやす氏の美麗な挿絵で見られるところでしょう。 文章はとっつきにくいかもしれませんが、まっすぐな熱血バトルものがお好みの方には是非オススメしたい作品です。
1投稿日: 2016.02.06
RELIC 遺存種博物論
曽我部浩人,鍋島テツヒロ
講談社ラノベ文庫
東洋系現代バトルファンタジーでラブラブ夫婦にほっこり
物語の軸となるのは、日本・中国の伝承が主なベースとなる東洋系現代バトルファンタジーでしょうか。 あまり知識のない自分ですが、なるほどと思いながら理解に詰まることなく楽しく読むことができました。 そして、この作品の魅力はやはり、主人公の大央と、ヒロインの円の夫婦コンビでしょう。 大人そうに見えて押しかけ妻なアタックを掛ける円と、それに全く動じないどころか「可愛いから」と即断で受け入れる大央。 序盤にして二人は清々しいほどあっさりとくっつき、その後は二人の関係の深まりが描かれるとともに、甘々な夫婦漫才が随所で楽しめます。 女の子が可愛いだけでなく、主人公もまた一人の女の子に惚れ込んで頑張る、そんなラノベを楽しみたい方に是非オススメしたい一作です。
0投稿日: 2015.10.09
天冥の標 I メニー・メニー・シープ (上)
小川一水
ハヤカワ文庫JA
まずは上下巻を一気にどうぞ
高度なテクノロジーの残滓を各所に感じさせながら、ゆるやかに衰退している世界。 内包された様々な謎や理不尽に登場人物たちが挑みながら、物語は下巻のラストにかけて一気に転がっていきます。 そして、気になるラストに惹かれるままに次の巻、次の巻へと読み進めていくと、きっといずれまたこの1巻を読み返したくなることでしょう。 長い物語の始まりにして、鍵となる要素の数々がたっぷり詰め込まれた1巻。まずは上下まとめて読むことをおすすめします。
3投稿日: 2015.10.06
