mag2000さんのレビュー
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遠くからの声
松本清張 / 講談社文庫
清張色の濃い短編集
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松本作品は映像化が多いので、読むうちに「ドラマで見た、これ」と気づくものに出会う。「市長死す」は「砂の器」の一部分に似ていてこの作家の得意手法なのだなと感心する。表題作「遠くからの声」は何ということも…ない話なのだが、心に残るのは人物造形がうまいからなのだろうか?昭和30年代初頭に描かれたものだからどれも古風だけど、人の本質に迫るところがあるので些細な所は気にならない。だけど「尊厳」は昔の価値観を知らないと理解できないかも。対比がうまい「殺意」はこの中で一番好み。主人公の古瀬判事の祖父の真相は? 続きを読む
投稿日:2014.01.19
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鉄道員(ぽっぽや)
浅田次郎 / 集英社文庫
『角筈にて』にじーんときました
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表題作『鉄道員』がやはり秀作。でも私は『角筈にて』が一番感動した。中年男性に人気らしいけど私はこれが好き。この短篇は東京の新宿あたりの古い地名が懐かしくて、それが感情を盛り上げる。『ラブレター』はあざ…とくて好きじゃない。中国人売春婦は日本人に感謝なんてしない。たどたどしい日本語がわざとらしくて白けた。『オリヲン座からの招待状』もノスタルジック。『うらぼんえ』は話としてはつらいんだけど、登場人物に魅力を感じる。さすがにどの短編も文章はすばらしくて、安心して読める。 続きを読む
投稿日:2014.03.26
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星影の女 妻は、くノ一 2
風野真知雄 / 角川文庫
もどかしさがページをめくります
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いらいらする。すぐそばにいるのに!織江の心もだんだんと変わっていっているみたい。彦馬がなかなか鋭く謎解きしていくだけでなく、手習い所の師匠としての彼の教育論がすばらしい。星を見ては彼女を想う彦馬を応援…したくなってきた。織江危機一髪!で第二巻の終わり。ほんとうは強いんだけどね、彼女。 続きを読む
投稿日:2014.11.03
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奇談蒐集家
太田忠司 / 創元推理文庫
同じパターンで畳みかけ、最後は。
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構成がおもしろいです。奇談蒐集家が出した広告に応募してきた客が、自分の体験談を語り、ほほうと感心すると助手がつっこみをいれて謎解きをするという形式が続き、最後にちょっと変わり種が出ます。夢に出てきそう…なお店です。お話の中では「不器用な魔術師」が気に入りました。 続きを読む
投稿日:2014.07.04
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百万の手
畠中恵 / 東京創元社
ずいぶんたくさん人が死ぬ
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なるほど百万の手が求めていたものとはそれだったのか。うすら寒いような様々な欲望やら信条やらが渦巻いて、大きな悲劇を生んでしまった。それにしても中学生が主人公のわりには展開がハードボイルド過ぎないか?ホ…ストあがりの義理の父がいい味出していて、二人の距離が縮まる様子が微笑ましかった。「しゃばけ」の作者とは思えない作風の変化。いろんなものを書ける作家なのですね。 続きを読む
投稿日:2014.07.04