だいじんさんのレビュー
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獣の奏者 全5冊合本版
上橋菜穂子 / 講談社文庫
主人公と獣 人間と自然
8
舞台はリョザ神王国。戦闘用に育てられる穢れた獣「闘蛇」、真王の神威を示すされる聖なる獣「王獣」。主人公エリンは、闘蛇ノ医術師である母と静かに暮らしている。しかし、そんな平和な暮らしも、長くは続かなかっ…た。
ハイファンタジーです。上橋菜穂子氏の最高傑作であると思っています。
自分の身に降りかかった災難を、必死に乗り越えようとする主人公の姿に胸を打たれました。
また特別な力を持つ主人公を、己の縦にしようとする人々や、自国の利益のために戦を起こす
隣国の姿から、人々の生の虚しさが描かれ、逆に、力一杯生きる獣たちの姿からは、自然の美しさが描かれているのだと思いました。クライマックスも感動的です。思わず落涙しました。
ぜひ、読んでみてください。おすすめです。
続きを読む投稿日:2015.03.27
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ユージニア
恩田陸, 松本コウシ / 角川文庫
長閑な町に現れた、死神
5
ユージニア、私のユージニア。
私はあなたと巡りあうために、
ずっと一人で旅を続けてきた。 (本文より)
舞台は日本、k市。医院を営む旧家で、大量毒殺事件発生。何十年かの時を経て、真相を紐解こうと…する人々。
恩田陸さんらしい小説です。真実は曖昧にされて、人々の思いや供述、回想によって、ストーリーが展開されていきます。一体、犯人の動機は?ページをめくる手が止まらない、徹夜覚悟。強くオススメします。
続きを読む投稿日:2015.03.27
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太陽の子
灰谷健次郎 / 角川文庫
海よ宇宙よ、神よ命よ。このまま永久に夕凪を。
2
沖縄出身の両親を持つ、神戸育ちのふうちゃん。
「てだのふぁ・おきなわ亭」という食事処を家族で営んでいる。
沖縄出身の人々も、そうでない人々も、おとずれればみんな笑顔になる。
しかし、ふうちゃんのお父さ…んには、ある病気が…。その背景には、戦争があるようで―。
タイトルに、「島唄」の歌詞を引用させていただきました。
戦争が、沖縄にのこした深い傷。人々の心にも、大きな闇を残していった。
ふうちゃんをはじめ、人々は、その闇とどう付き合って生きていくのか。
ぜひ、手に取ってみてください。 続きを読む投稿日:2015.03.30
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キッチン
吉本ばなな / 幻冬舎
死の向こう側へ
2
涙があふれてしまって、読むのに一苦労でした。
大事な人を失って、哀しみの中にいる人々。
それでも、生きていかなければならない。
名作です。とても読みやすいです。投稿日:2015.04.01
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ブラフマンの埋葬
小川洋子 / 講談社文庫
ブラフマンってなんだろう
1
その名が示す通り、謎の生き物「ブラフマン」。カワウソのようでもあり、犬のようでもあり…。
芸術家たちが集まるアパートで、ほのぼのと暮らす「僕」とブラフマン。
どんなときも、飼い主の傍を離れないブラフマ…ン。失恋したときも、ご近所トラブルに見舞われた時も、遊ぶ時も。
優しい情景描写が、感動を増幅させます。クライマックスでは、死という重いものが描かれます。でも、なぜか悲しみよりも、不思議ないとおしさがこみ上げました。
心が傷ついたときに、読んでみるといいかもしれません。よく効く薬になる、そんな一冊です。
続きを読む投稿日:2015.03.27
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獣の奏者 I闘蛇編
上橋菜穂子 / 講談社文庫
この世に生きるものが、なぜこの世にあるのかを知りたい
1
舞台はリョザ神王国。神の子孫とされる真王が治める国。
戦闘用に育てられる、大公が所有する穢れた獣「闘蛇」。真王の神威を示す聖なる獣「王獣」。
主人公エリンは、アケ村で、闘蛇ノ医術師である母とともに暮ら…していた。しかし、ある日突然悲劇が起こる―。
感動の物語です。一気にシリーズ読破しました。親も故郷もすべてを失ったエリンが、差別や偏見にもがきながらも懸命に生きる姿に感動し、思わず落涙しました。
争いに巻き込まれながらも、顔を上げて前を見続ける。
周囲に反対され、禁忌に触れると分かっていながらも、王獣と心を通わせ続ける。
そんなエリンの生き様を、ぜひ手に取ってみてください。
必ず、心に響きます。
続きを読む投稿日:2015.03.28