future4227さんのレビュー
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捜査一課殺人班イルマ ファイアスターター(祥伝社文庫)
結城充考 / 祥伝社文庫
この女の行く所、常に犯罪あり
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イルマシリーズ2作目。東京湾上のメタンガス掘削施設。初めは1人の作業員の転落事故に過ぎなかったものが、女刑事イルマが単身乗り込んできたことによって、事件解決どころか、あれよあれよという間にテロ犯罪にま…で発展。その存在はまさにファイアスターター(着火剤)のよう。台風直撃の中、通信も応援も途絶した孤立無援状態でたった1人で犯人と対峙するイルマ。生意気な小娘のくせに満身創痍で戦い続けるまさにダイ・ハードの世界観。そして今回も難読漢字あり。「捩る(の旧字体、もはやデジタル上では表示できない)」 続きを読む
投稿日:2019.10.22
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アウシュヴィッツの図書係
アントニオ・G・イトゥルベ, 小原京子 / 集英社文芸単行本
絶望の淵でいかに生きるべきかを問う感動作
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読書すら禁止のアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所。たった8冊の本を命を懸けて守る少女ディタ。絶滅収容所とも呼ばれるその中では、常に死の恐怖と隣り合わせ。1日に何千という命が何の躊躇もなく流れ作業のご…とく殺されていく。さらに暴力、飢え、チフス、コレラ、悪臭、シラミ、強制労働。生きていくこと自体が辛い中にあって、人間らしさや希望を保つ原動力となるのは紙の本や教師たちの話す物語、生きた本だ。勉強や本が嫌いという日本の子どもたちにぜひ読んでもらいたい一冊。そして90歳近い現在のディタの生き様にも感服。 続きを読む
投稿日:2019.11.02
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わが心のジェニファー
浅田次郎 / 小学館文庫
やっぱ日本って凄い!
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「私と結婚したいなら日本で1人旅をしてきて」というミッションをジェニファーから与えられてしまって、やむなくアメリカから日本へやって来たラリー。日本では当たり前の些細なことにいちいち感動したり、誤解をし…たり。外国人から見た日本人や日本文化の捉え方が笑える。そんなコミカルな旅行記が終始続くのかと思いきや最後にはホロッとさせる仕掛けが待ち受けている。複雑な生い立ちと家庭環境で育ったラリーにとって、自分のルーツを知ることは自分の進むべき道を知ることでもあるのだ。彼の祖父の言葉がキラリと光る。「常に航跡を振り返れ」 続きを読む
投稿日:2019.11.08
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国家と教養(新潮新書)
藤原正彦 / 新潮新書
読書は国家存亡にも影響するってことです
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超ざっくり言うと、民主主義国家を維持するには国民一人一人が高い教養を身につけなければならず、そのためにはいっぱい本を読めと。グローバリゼーションとか言って欧米文化ばかりを追っかけるな。日本の方が断然凄…いんだぞと。とまあ、いつもの藤原節が炸裂。チャーチルを無能な政治家と言い切るあたりも気持ちいい。国家の繁栄や衰退と学問や教養との相関関係を世界史の流れを通して説明してくれるので大変勉強になった。「1日に1頁も本を読まない人間はケダモノと同じだ」という藤原先生の祖父様の言葉は強烈だけど頷ける。 続きを読む
投稿日:2019.11.15
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スキン・コレクター 上
ジェフリー・ディーヴァー, 池田真紀子 / 文春文庫
毒殺タトゥー魔に挑むライム
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リンカーン・ライムシリーズ11作目。1作目『ボーン・コレクター』の模倣犯的な皮膚とタトゥーに執着する連続殺人犯。捜査陣が突き止める前に、読者には早々に犯人の名前も明かしてしまい、もはや謎解きの要素はな…いのか?あとはひたすら犯人とライムとの知恵比べの勝負が見所となるのか?まだ上巻だし、ディーヴァーだし、まだ何か新展開がありそうな予感。サックスとボーン・コレクターの被害者パムとの母娘的な対立も気になるところ。下巻に期待しよう。 続きを読む
投稿日:2019.12.01
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あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。
汐見夏衛, あんよ / スターツ出版文庫
平和に感謝せずにはいられない
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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続編。胸がキュンキュンしてしまう話だった。目を合わせるだけでドキドキしてしまうようなピュアな恋愛。でも、ただの恋愛話でないのは、そこに生まれ変わりというテイ…ストが加わっていること。そして、平和を願う作者の強い思いが、前作で戦時中にタイムスリップした百合のひと言ひと言に託されていることも単なる恋愛小説とはひと味違う。期待通りの結末でホッとした。ただ、前作を読んでいないと百合が時折見せる驚きの表情が、なんでなのかがわからないかもしれない。やはり前作から読むべき作品。 続きを読む
投稿日:2021.09.16