
木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」
通崎睦美
講談社
今までになかった音楽史を描いた本
著者は、マリンバ奏者として堂々たるキャリアを持つ演奏家ですが、エッセイスト・アンティーク着物コレクターとしての顔の方が有名になってしまったかもしれません。 この作品には着物もアンティークも出てきませんので、肩透かしと感じる読者もおられるかも。また音楽に興味がない方には、退屈と感じられるかもしれません。 しかし、一人の小柄な日本人がアメリカに楽器を携えて渡り、如何にして彼の音楽がアメリカで愛されたか。日本で如何にして木琴が普及し、愛されたか。彼を取り巻く西洋音楽史を飾った人々に、どんな顔があったか。 この本は、今までになかった木琴の歴史書であり、日本の西洋音楽史書です。 かく言う私はアマチュアのマリンバ演奏者であり、明治以降の西洋音楽史に興味を持っていますので、この本は大いにツボにハマりました。万人に喜ばれる本ではないと思いますが、このレビューを読んで一人でも多くの人に読みたいなと思って頂きたい、また、マリンバという楽器に興味を持って頂きたいと願う次第です。
2投稿日: 2014.11.14
蜩ノ記
葉室麟
祥伝社文庫
「蝉しぐれ」へのオマージュ?
読み進めて20ページで、藤沢周平の名作「蝉しぐれ」と重なりました。「初恋の女性が殿の側室」「権力争いに巻き込まれて襲撃される側室、それを守る主人公」「祭りに出かける主人公と女性」更に言えば源吉の亡くなり方は「ベロ出しチョンマ」のオマージュですよね。まあ「蝉しぐれ」との共通点は直木賞選考委員が納得の上との事なので、これはこれでアリなのでしょうか。しかし、いくら小説としての出来が良くても、ここまで他の作家の作品が目の前をちらつくのは如何なものか。今一つ世界に入り込めませんでした。
7投稿日: 2014.08.24アブノーマル・スイッチ―誘惑の誤算―
かのこ, 雨
アブノーマル・スイッチ―誘惑の誤算―
かのこ,雨
らぶドロップス
エロスと純愛のバランスが絶妙
書かれている内容は相当過激ですし、主人公二人は立派?なSM関係なのですが、不思議な清涼感がある作品です。 仕事が出来て人当たりが良くて、でも女の子に対してはSになって虐めてしまうという秘密を持つ藤澤くん。一方の芽衣は、3年付き合った彼氏に振られてなかなか立ち直れない。そんな二人が酔った勢いで秘密を共有する関係になってしまう。 真面目すぎて、言いたいことも言えない自分が嫌で、少しずつ自分を変えていこうとする芽衣の姿勢は好感が持てる。藤澤くんの芽衣への気持ちが少しずつ変わっていく行程もとても自然で、大好きな作品です。
1投稿日: 2014.06.28
