Bookberyさんのレビュー
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170
このユーザーのレビュー
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伝え方が9割
佐々木圭一 / ダイヤモンド社
いわゆる相手コントロール本ではありません
47
コピーライターである著者は、言い方一つで結果に違いが出ることを解説しています。
言葉ひとつで・・・と聞くと、いわゆる相手にYesと言わせる交渉本のようなイメージを持たれるかもしれませんが違います。相手…の気持ちを思いやり、WINWINになるようにはどうすればいいのか。そこから考え始め、著者の豊富なボキャブラリーの中から珠玉の1粒を私達に示してくれます。その優しさはときには手紙など、物理的なものを使っても解説されます。
作品全体がそういう優しさであふれていて、そこはかとなく上品さを醸しだしているところが売れている理由かもしれません。
著者は、博報堂に入りながらも苦しみながらライターとしての実績を積んだという努力型の人です。しかし、その粘り強い活動から、ついには日本人初、米国の広告賞OneShow Designでゴールド賞を獲得するほどとなります。
言い方本としては、「言い方大全」といった書籍もありますが、こちらはエッセイテイストなので、気軽に読めます。一方、辞書的なある程度のボリュームを期待している人は物足りないかもしれません、その部分で★マイナス1としました。
しかし、言い方を変えたい、コミュニケーションで悩んでいる、といった方には、まず最初の処方箋として、強くオススメできます。 続きを読む投稿日:2013.09.25
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坂本ですが? 1
佐野菜見 / HARTA COMIX
時代が望んだニューウェーブギャグ漫画
21
ギャグ漫画はどうしても人それぞれ笑いのツボが違うところが難しい。
しかし、本書では、「イケメン+スタイリッシュ」というアプローチで、広いユーザーへの爆笑を届けることに成功している。
主人公は、そのクー…ルな振る舞いから、一部の不良などからいじめなどの妨害を受けるが、それをスタイリッシュにスルーしてしまいます。それが、あまりにも斜め上、超人的なので、予想外からの笑いの波動に、「電車内で読めない」と称されるほど。
とは言え、こういったギャグ漫画はありそうで無かったのが不思議なくらい。それくらい、公約数的な笑いを提供してくれる。
一方で、こういうキャラクターで落とすギャグは、単調になるリスクもはらんでいる。「こち亀」など人気ギャグマンガではそういった冗長化を、キャラクターを増やすことで解決しているが、今のところ、本書ではその予兆は無いように見える。紙の書籍は2巻まですでに発売されているので、一部のレビューではそういった心配も指摘されているようではあるが、1巻に関しては、十分勢いだけでも読ませる、絶妙なテンポとキャラクターで、買って損は無い。
ライトノベルなど、軽めのギャグテイストとの差別化が年々難しくなっているギャグ漫画。そんな時代が、本物のギャグ漫画を望んだすえの「待望」の作品と言える。
今年のギャグ漫画の金字塔として、漫画編集者が選ぶ「コミックナタリー大賞 2013」1位にも選ばれるほどの実力を刮目して欲しい。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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進撃の巨人(12)
諫山創 / 別冊少年マガジン
ミカサの笑顔とユミルの笑顔と
15
物語は奪われたエレン奪還を軸に進んで行きます。12巻はまるまるそれらのバトルが中心です。
奇行種、鎧の巨人、調査兵団入り乱れての複雑なバトルに惹き込まれ、またまた一気に読破してしまうことでしょう。
…今回もさまざまな登場人物の人間模様が描かれ、感情移入させてくれます。
エレン:新たな展開、としか言えません!
ミカサ:エレンにあることを打ち明けます、笑顔のはずなのに泣ける
アルミン:ある決断をします
エルヴィン:すごいことになります
あの人:こちらも凄いことになります、というか悲しい
ライナー:やっぱりいいアニキだった
ベルトルト:謎の一端を感じさせる重要な一言
ユミル:本当の意味で救われた、その笑顔が泣ける
一方で、今回リヴァイ兵長は出ませんので、ファンの方は寂しいかもしれません。そこくらいでしょうかね、マイナスは。
とはいえ、いろいろな人がそれぞれの決断をする、見応えのあるエピソードが盛りだくさんですが、私が個人的に一番気に入ったのは、最後の4ページの月夜のシーン。皆さんもよく知ってるあの場所です。そこで見せるユミルの笑顔、泣けてきます、優しい気持ちなります、ある意味あれで良かったのだと思います。
絶望と希望が折り重なる圧倒的なスピード感に、そして交わる人間模様の描写、そしてまだまだ失速感を全く感じさせない展開、本当に凄いですね、進撃は。 続きを読む投稿日:2013.12.08
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ワールドトリガー 1
葦原大介 / 週刊少年ジャンプ
読者を選ばないSFアクション漫画、ジャンプの次世代人気タイトルの予感
15
すでに一部では話題になっていますが、TVアニメ化などされれば間違いなくブレイクする予感ひしひしの本作。
比較的厳しいと言われているAmazonでも高評価、さらには紙では2巻も出てますが、続巻は更に高評…価という、とんでも無い作品です。
サンプル読んだ、超面白い。
実際買ってみた。うわぁ(;´∀`)、スゲーよ、ほんとスゲー面白い・・・。
主人公は超リアリズムだけど好戦的だけど、ちょっとおとぼけなキャラ。一方もう一人の主人公は熱血漢だけど実力が伴ってないキャラ。それぞれが立っていて、バディものが好きな人にはまず刺さる。
SF好きな人にも世界観がしっかり練られていてGOOD。ネイバーと呼ばれる異世界の怪物が日本の三門市を襲います。しかし、ボーダーと呼ばれる一団が防衛し、市民は平和に暮らす。そこに現れる主人公、そして出会いが、さらに、なぜ怪物は人を襲うのか、彼はどこからやってきたのか、すぐに回収される小さいものから、大きめの伏線まで、飽きさせないテンポで展開が進みます。
そして、こういったSFものが苦手、という方にこそ読んで欲しい。舞台は日本の中学校、そしてシンプルなまでに削ぎとった主線、わかりやすく個性がはっきりした登場人物、ページ送りを意識した描画、どれをとってもページをめくる手がとまりません。主人公は最初からある程度強いですが、インフレの懸念を吹き飛ばす世界観と伏線で、中だるみは今のところしていません。
ひさしぶりに何度も読み返す漫画に出会えました。ファンになった方は紙の本も買いましょう。カバーの折り返しやカバー裏のカットなど、作者のサービス精神満載のカットがさらに描かれています。
オススメです、気持ちとしては★10個です。 続きを読む投稿日:2013.10.05
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坊っちゃん
夏目漱石 / 青空文庫
活字から離れてた人にもお薦め
12
無料で、かつ近代小説のようにライトに読めます。
青空文庫は無料ながら、昔の作品ですので、漢字や聞きなれない言葉、さらに改行が少ないなど、ライトに読みたい人にはちょっと壁が高いのも事実。
しかし、この坊…っちゃんは違います。
歯切れの良い、短めの文章で、ストーリーが進みます。人気作「吾輩は猫である」の約半分というコンパクトさも売りです。しかし、読み返すごとに発見がある名作です。より深く知りたい方は、解説付きの各社から出ている有料のものを購入すると良いでしょう。
主人公である坊っちゃんこと「おれ」は、田舎の学校に赴任し、持ち前の無鉄砲さからいろいろと事件に巻き込まれます。そして、同僚の山嵐と共闘である人物に天誅を食らわせます。ただ、その表現も「ぽかり」「ぽかぽかと殴る」といった、漱石らしい軽快な表現で、作品全体の明るさを表現しています。一方で、「おれ」は、対決した人物の手によって・・・。と光と影のある、そして現代にも通じる人間模様が描かれた名作です。
個人的には、東京での下女・清とのやりとりが泣けました。何度読んでもエンディングでは涙がじんわりしてきてします。
作品通じて、坊っちゃんこと「おれ」は、「おれ」で描かれ、私はこの作品は、実は「おれ」が清に送った手紙だと思っています。タイトルも本当は、「坊っちゃんから清へ」と。
そんないろいろな読み方ができる「坊っちゃん」。端末に入れておいてぜったいに損はありません。 続きを読む投稿日:2013.10.05
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亜人(1)
三浦追儺, 桜井画門 / good!アフタヌーン
圧倒的なスピード感と亜人のこれからが気になる
11
本書の世界では、亜人という人格とは別の人格が備わる人類が認知されており、その特殊能力をめぐるストーリーです。1巻では主人公とそれらを取り巻く世界、敵組織(まだ敵かどうかもわかりませんが)、能力の紹介が…メインです。一部にはジョジョのスタンドのように見る人もいるかもしれませんが、(これから亜種も出るかもしれませんが)今のところ、ある人物の亜人以外は、特殊能力は露呈していません。主人公が逃避を行うという点では、ジョジョとは全く異なります。どちらかというと、ハリソン・フォード主演の映画「逃亡者」のようなスリリングな展開で引きこまれます。作者はこの「亜人」が初めての連載ということですが、その圧倒的なスピード感の描写には驚くばかりです。今後が楽しみです。 続きを読む
投稿日:2013.09.24