hoge2さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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始皇帝
塚本青史 / 講談社文庫
手軽に中国史
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始皇帝が誕生する少し前から、その最後までを描いた小説です。
戦国時代末期の状況を多くの登場人物を交えて描いていますが、整理されているので、あまり混乱せずに読むことが出来ると思います。
専門書ではありま…せんが、一般向けの中国史の本で読んだ内容と比べると大きく脚色されていないようなので、(中国の)戦国時代を舞台にした漫画やドラマを楽しむための予備知識を仕入れるのにも便利な一冊ではないでしょうか? 続きを読む投稿日:2016.01.23
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本能寺遊戯
高井忍 / 東京創元社
歴史のif...を面白くエンターテイメント
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雑誌の検証に応募するため、本能寺の変などの歴史的な事件の真相を女子高生3人がワイワイガヤガヤと推理し合うというのが、各短編の基本的な枠組みです。
学術的な検証というよりも、あくまでエンターテイメントと…して、このようなことがあったかもしれない(可能性がある)という説が展開されていて、専門に歴史を勉強したわけではない私としては、楽しく読むことが出来ました。
物語の性質上、通常の推理小説のフォーマットと異なり、真相が確定して終わりという書き方ではないので、そこを割り切ってよんでほしいと思います。 続きを読む投稿日:2016.01.23
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フォックスの死劇
霞流一 / 角川文庫
捻った文章が面白い
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映画界を巡る連続殺人事件を描いたミステリですが、人を喰った文章が面白く読めます。
空を飛ぶ死体など、いろいろな謎も盛りだくさんですが、解決編はかなり無理な点もあったように思いました。
真面目に謎解きを…しながら読むというよりも、要所要所に仕込まれたくすぐりネタを楽しみながら読むような本だと思います。 続きを読む投稿日:2016.01.23
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男の首
ジョルジュ・シムノン, 宗左近 / グーテンベルク21
悪役の人物像が秀逸
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メグレが当初犯人と思われた男をあえて逃がして、その裏に潜む真犯人を追うというストーリーです。
この真犯人は、すぐにメグレの前に姿を現すもののなかなかシッポをつかませません。黙っていれば、完全犯罪になり…そうなのに、メグレを挑発するような態度を取り続けるしたたかな人物で、メグレも苦戦します。この犯人の屈折した人物像が本作の読みどころだと思います。
謎解きよりも、人物描写を重視する人におすすめです。 続きを読む投稿日:2016.01.23
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みんなバーに帰る
パトリック・デウィット, 茂木健 / 東京創元社
冷めた文体
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酔っ払いたちの姿を次々に紹介していく第1章、主人公が壊れていく第2章、主人公の更生努力?を描いた第3章と、(内容略)第4章から成り立っています。
中心的なストーリーがあるわけではなく、主人公を含む、酒…場に集まる酔っ払いと麻薬中毒者の救いのない破滅的な姿が短いエピソードを積み重ねながら描かれていきます。
救いのない暗い物語かもしれませんが、自己憐憫も他者批判も感じられない冷めた視線で語る文体は、以外にもからっとした読後感を与えてくれます。
好き嫌いが分かれるかもしれませんが、同著者の「シスターズ・ブラザーズ」の文章が好きだった人には、文句なくお勧めできると思います。
一方で小説に起承転結のはっきりしたスリルあふれる物語を求める人は、不満に思うかもしれません 続きを読む投稿日:2015.10.11
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土星の衛星タイタンに生命体がいる! 「地球外生命」を探す最新研究(小学館新書)
関根康人 / 小学館新書
丁寧な語り口の良書
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少々タイトルが扇動的ですが、そこは割り切って。
地球との比較から、金星、火星の成り立ちと生命が存在する可能性を説明する第1章、タイタンを中心に木星、土星の衛星について論じる第2章、太陽系の外の世界での…生命の可能性を論じた第3章と、大体3部構成になっています。
説明はとても丁寧で、初学者にも分かりやすい内容だと思います。
その一方で、内容も豊富で、水を前提にした地球の生態系の説明から、発展して、水の代わりにメタンやそのほかを前提とした生命体の可能性についての議論まで話を拡張してくれています。たまに一般紙の科学ニュースで、系外惑星が水のハビタブルゾーンに見つかった、生命の存在が期待できるかも?といった趣旨の記事が載ることがありますが、本書は水は必ずしも生命体の必須条件とは限らないこと、そのうえで、他の化合物を利用した生命活動の可能性が宇宙に満ちていることを読者に提示してくれます。
一般紙の報道をみて、興味を持った人が次に読む本として、お勧めできます。 続きを読む投稿日:2015.10.11