jukeiさんのレビュー
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墨東綺譚
永井荷風 / オリオンブックス
過去の幻影
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古き良き時代を夢想させる随筆というべきものか。
明治に生まれ、大正、昭和と駆け足で近代化していった日本で生きた筆者とともに、
過去に思いを馳せ、ノスタルジーに浸るには最高の本です。
それにしても興味深…いのは今も昔も最近の風潮は・・・と苦言を呈しているところですかね^^
若者は未来を思い、年寄は過去を想う。こういうのは不変なんでしょうね。
舞台が東京だけに、ちょっとした事も粋なのがいいですねぇ~
日本の原風景を知りたい方にお勧めです^^
続きを読む投稿日:2016.10.12
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新編 日本の怪談
ラフカディオ・ハーン, 池田雅之 / 角川ソフィア文庫
西洋人から見た日本風俗の不思議
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京極作品から妖怪に興味を持って前から読みたいな。と思ってました。
訳者がジャンル別に分けた話はどれもシンプル。
でもそれ故に奥深いと言いますか、読める行間が広いと言いますか・・・w
同じ現象でも西洋と…東洋の解釈の違いに興味を持ち、
追求していった事が結果として、当時の世俗、風習を知る一助となるとは、その位置づけ自体が不思議です。
日本人であれば、そういうもんでしょと流してしまうところを分析しているからこそ、
現代の日本人にも面白く読めるんでしょうね。
妖怪好き、日本人の土着的発想なんかに興味のある方にお勧めです^^ 続きを読む投稿日:2016.09.08
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娘に語るお父さんの歴史
重松清 / 新潮文庫
歴史に名を刻まなくても生きていくという事
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タイトル通りの内容です。
生を受けても世の大半の人々は歴史に名を残すなんて事は出来ない。
吹けば飛ぶ様な人生でも歴史の渦に揉まれながらしっかり生きている。
1963年生まれの主人公カズアキが娘の一言か…ら、
自分はどういう時代に生まれ、育ったのかと振り返るというもの。
面白そうな雰囲気だったんですけど、時代をなぞって主人公(重松さん?)の思想を語られるだけだった。
ほぼ同年代の私が読んでも説教くさいし、少なくとも私は重松作品にこういうのは求めてない。
もっとちゃんとした小説だと思って買ってしまった。
重松さんの自分の思想語りに興味のある方はどうぞ。
それ以外の方にはお勧めしませんw 続きを読む投稿日:2016.09.08
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川あかり
葉室麟 / 双葉文庫
落ちこぼれ侍、奮闘記!
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自他ともに認める藩で一番臆病者の伊東七十郎が藩の派閥争いに巻き込まれ、刺客に仕立てられ・・・
川止めというシュチエーションを使って、人出会いや人情の機微を上手く描いてますね。
全てにおいて頼りない主人…公七十郎を他の登場人物だけじゃなく、
読み手もいつのまにかほっとけなくなっているはず^^
そんな七十郎が何も出来ないなりに頑張る姿に感動して力を貰えますね。
読後は爽やかな気持ちになれるそよ風の様な小説です。
全ての人にお勧めです! 続きを読む投稿日:2016.08.16
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西巷説百物語
京極夏彦 / 角川文庫
シリーズ5作目にして0.5的な位置づけの作品
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4作目と1作目を繋ぐ0.5的な位置づけです。
前作で江戸に残った又市と大坂へ帰った林蔵の林蔵側のお話。
又市に比べ仕掛けが弱く、仕掛けられた人に最後の選択をさせてあげるあたりが、
読み手をスカっとさせ…る要素が減っている理由かも分からないですね。
最後にはちょろっと登場するものの、やっぱりいつもの又市一座の活躍が読みたかったかなー
シリーズのファンの方にはお勧めです!^^ 続きを読む投稿日:2016.08.04
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前巷説百物語
京極夏彦 / 角川文庫
又市シリーズ4作目!
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又市のシリーズ4作目にして、時代的にはゼロという位置づけ。
つまりは1作目の前の時代の話です。
又市もまだ御行になっておらず、自分で仕掛けを考えたり、段取りをしたりしていません。
何故、御行又市となり…、裏の世界の住人となったかが描かれてます。
このシリーズは1~3作と見事な仕掛けにスッキリする結末が売りですが、
若き又市が思い通りに出来なかったり、予期せぬ助けのお蔭で生きながらえたりと計算づくではありません。
でもそこに御行又市のルーツを見ることが出来、これまでの3作を楽しめた人なら間違いなく楽しめます^^
1~3作を読んだ方にはお勧め!この機会に興味を持った方には1作目を進めします!! 続きを読む投稿日:2016.07.20