Reader Store
jukeiさんのレビュー
いいね!された数38
  • 墨東綺譚

    墨東綺譚

    永井荷風

    オリオンブックス

    過去の幻影

    古き良き時代を夢想させる随筆というべきものか。 明治に生まれ、大正、昭和と駆け足で近代化していった日本で生きた筆者とともに、 過去に思いを馳せ、ノスタルジーに浸るには最高の本です。 それにしても興味深いのは今も昔も最近の風潮は・・・と苦言を呈しているところですかね^^ 若者は未来を思い、年寄は過去を想う。こういうのは不変なんでしょうね。 舞台が東京だけに、ちょっとした事も粋なのがいいですねぇ~ 日本の原風景を知りたい方にお勧めです^^

    0
    投稿日: 2016.10.12
  • 新編 日本の怪談

    新編 日本の怪談

    ラフカディオ・ハーン,池田雅之

    角川ソフィア文庫

    西洋人から見た日本風俗の不思議

    京極作品から妖怪に興味を持って前から読みたいな。と思ってました。 訳者がジャンル別に分けた話はどれもシンプル。 でもそれ故に奥深いと言いますか、読める行間が広いと言いますか・・・w 同じ現象でも西洋と東洋の解釈の違いに興味を持ち、 追求していった事が結果として、当時の世俗、風習を知る一助となるとは、その位置づけ自体が不思議です。 日本人であれば、そういうもんでしょと流してしまうところを分析しているからこそ、 現代の日本人にも面白く読めるんでしょうね。 妖怪好き、日本人の土着的発想なんかに興味のある方にお勧めです^^

    1
    投稿日: 2016.09.08
  • 娘に語るお父さんの歴史(新潮文庫)

    娘に語るお父さんの歴史(新潮文庫)

    重松清

    新潮文庫

    歴史に名を刻まなくても生きていくという事

    タイトル通りの内容です。 生を受けても世の大半の人々は歴史に名を残すなんて事は出来ない。 吹けば飛ぶ様な人生でも歴史の渦に揉まれながらしっかり生きている。 1963年生まれの主人公カズアキが娘の一言から、 自分はどういう時代に生まれ、育ったのかと振り返るというもの。 面白そうな雰囲気だったんですけど、時代をなぞって主人公(重松さん?)の思想を語られるだけだった。 ほぼ同年代の私が読んでも説教くさいし、少なくとも私は重松作品にこういうのは求めてない。 もっとちゃんとした小説だと思って買ってしまった。 重松さんの自分の思想語りに興味のある方はどうぞ。 それ以外の方にはお勧めしませんw

    0
    投稿日: 2016.09.08
  • 西巷説百物語

    西巷説百物語

    京極夏彦

    角川文庫

    シリーズ5作目にして0.5的な位置づけの作品

    4作目と1作目を繋ぐ0.5的な位置づけです。 前作で江戸に残った又市と大坂へ帰った林蔵の林蔵側のお話。 又市に比べ仕掛けが弱く、仕掛けられた人に最後の選択をさせてあげるあたりが、 読み手をスカっとさせる要素が減っている理由かも分からないですね。 最後にはちょろっと登場するものの、やっぱりいつもの又市一座の活躍が読みたかったかなー シリーズのファンの方にはお勧めです!^^

    0
    投稿日: 2016.08.04
  • 前巷説百物語

    前巷説百物語

    京極夏彦

    角川文庫

    又市シリーズ4作目!

    又市のシリーズ4作目にして、時代的にはゼロという位置づけ。 つまりは1作目の前の時代の話です。 又市もまだ御行になっておらず、自分で仕掛けを考えたり、段取りをしたりしていません。 何故、御行又市となり、裏の世界の住人となったかが描かれてます。 このシリーズは1~3作と見事な仕掛けにスッキリする結末が売りですが、 若き又市が思い通りに出来なかったり、予期せぬ助けのお蔭で生きながらえたりと計算づくではありません。 でもそこに御行又市のルーツを見ることが出来、これまでの3作を楽しめた人なら間違いなく楽しめます^^ 1~3作を読んだ方にはお勧め!この機会に興味を持った方には1作目を進めします!!

    0
    投稿日: 2016.07.20
  • 後巷説百物語

    後巷説百物語

    京極夏彦

    角川文庫

    終わりゆく小股潜り

    シリーズ3作目。 後のとある様に又市達と別れてから、年老いた百介が語るという体を取っています。 この昔話は過去作で語られた小股潜りの仕事となっていますが、 この作中の現在に起きている事件と上手く繋げています。 とは言え全体的には過去の話が語られる事が多いし、百介も歳老いていてるというのもあり、 これまでのシリーズとは違う、時代の変わり目というか、妖怪達の滅びを感じさせ哀愁が漂ってます。 賞も取ったし作品としては一級品なんでしょうが、その何とも言えない悲しさがあるので星4で^^ 読み応えもあり、素晴らしい作品なので万人にお勧めですよ!

    0
    投稿日: 2016.06.27
  • 天切り松 闇がたり 第四巻 昭和侠盗伝

    天切り松 闇がたり 第四巻 昭和侠盗伝

    浅田次郎

    集英社文庫

    黄昏ていく感じが物悲しい

    普通の本で読んだものをリーダーで再読。 相変わらずの江戸前小説。 粋な奴らの不器用な生き様をスカっと読ませてくれます。 内容は素晴らしいのですが、 語る松も歳をとり、話に出てくるいつもの面々も歳をとっていってるのがホント物悲しい。 このシリーズに外れ無し。万人にお勧めできます! あ、読むときは1巻からどーぞ^^

    2
    投稿日: 2016.03.02
  • 天切り松 闇がたり 第三巻 初湯千両

    天切り松 闇がたり 第三巻 初湯千両

    浅田次郎

    集英社文庫

    素晴らしき江戸前小説!

    普通の本でも読んで、今回リーダーで再読。 まぁシリーズ読むたびに書いてますが、とても面白い江戸前小説です。 粋で不器用な生き方しか出来ない人達を描かせれば超一流ですね。 今回も素晴らしい登場人物達がスカっとさせてくれたり泣かせてくれたりします。 浅田次郎の小説は結構読んでますが、その中でも好きなシリーズです。 万人にお勧めです。あ、でも読むなら1巻から順番にどーぞ^^

    1
    投稿日: 2016.02.02
  • その女アレックス

    その女アレックス

    ピエール・ルメートル,橘明美

    文春文庫

    さすがの読み応え!

    話題になっていたようなので読んでみました。 ストーリーの内容や構成は素晴らしく、グイグイ惹きこまれていきますね。 また文章も読みやすく表現なんかも非常に映画的。(まぁ翻訳なんですがw) その分グロテスクなシーンは苦しかったです。 ベタ褒めしたいのは山々なのですが、 丁寧な序盤、中盤に比べ、終盤はちょっと急ぎ足だったのかなーって感じが少し残念でしたね。 小説として面白いし良くできてるのでお勧めです! あ、グロいのがダメな人や止めておいた方が良いかもしれないですね^^;

    0
    投稿日: 2016.01.16
  • 続巷説百物語

    続巷説百物語

    京極夏彦

    角川文庫

    引き込まれますね~

    以前、紙の本で読みましたが再購入して再読了。 シリーズ二作目で相変わらず短編でテンポがいいです。 ただ今作は連作の様な作りになっていて、ある意味長編と言えるかもしれないです。 妖怪仕立てで悪を倒す痛快さや各キャラクターの存在感はそのままに! 読み始めるとグイグイ引き込まれて面白さは前作を上回ってると思います。 万人にお勧めしますが作順通りに読んだ方がより楽しめる事間違いないので、 初めて読むって人は一作目からどうぞ^^

    0
    投稿日: 2015.09.01